社会保険労務士の過去問
第53回(令和3年度)
労働基準法及び労働安全衛生法 問7

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問題

社労士試験 第53回(令和3年度) 択一式 労働基準法及び労働安全衛生法 問7 (訂正依頼・報告はこちら)

労働基準法に定める就業規則等に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
  • 労働基準法第89条第1号から第3号までの絶対的必要記載事項の一部を記載しない就業規則も、その効力発生についての他の要件を具備する限り有効であり、使用者は、そのような就業規則を作成し届け出れば同条違反の責任を免れることができるが、行政官庁は、このような場合においては、使用者に対し、必要な助言及び指導を行わなければならない。
  • 欠勤(病気事故)したときに、その日を労働者の請求により年次有給休暇に振り替える取扱いが制度として確立している場合には、当該取扱いについて就業規則に規定する必要はない。
  • 同一事業場において当該事業場の全労働者の3割について適用される就業規則を別に作成する場合、当該事業場において当該就業規則の適用を受ける労働者のみの過半数で組織する労働組合又は当該就業規則の適用を受ける労働者のみの過半数を代表する者の意見を聴くことで、労働基準法第90条による意見聴取を行ったこととされる。
  • 就業規則中に懲戒処分を受けた場合は昇給させないという欠格条件を定めることは、労働基準法第91条に違反する。
  • 労働基準法第91条にいう「一賃金支払期における賃金の総額」とは、「当該賃金支払期に対し現実に支払われる賃金の総額」をいい、一賃金支払期に支払われるべき賃金の総額が欠勤や遅刻等により少額となったときは、その少額となった賃金総額を基礎として10分の1を計算しなければならない。

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この過去問の解説 (3件)

01

解説は以下のとおりです。

選択肢1. 労働基準法第89条第1号から第3号までの絶対的必要記載事項の一部を記載しない就業規則も、その効力発生についての他の要件を具備する限り有効であり、使用者は、そのような就業規則を作成し届け出れば同条違反の責任を免れることができるが、行政官庁は、このような場合においては、使用者に対し、必要な助言及び指導を行わなければならない。

必要記載事項の一部を欠く就業規則の効力に関する問です(昭25.2.20基収276号、平11.3.31基発168号)。設問のような就業規則も、その効力発生についての他の要件を具備する限り有効である。ただし、設問のような就業規則を作成し届出ても使用者の労働基準法第89条違反(就業規則の作成及び届出義務違反)の責任は免れない。

https://sr-memorandum.hatenablog.com/entry/2019/03/13/221905

労働基準法第89条第1号から第3号までの絶対的必要記載事項の一部を記載しない就業規則も、その効力発生についての他の要件を具備する限り有効であり、使用者は、そのような就業規則を作成し届け出れば同条違反の責任を免れることができるが、行政官庁は、このような場合においては、使用者に対し、必要な助言及び指導を行わなければならない。

選択肢2. 欠勤(病気事故)したときに、その日を労働者の請求により年次有給休暇に振り替える取扱いが制度として確立している場合には、当該取扱いについて就業規則に規定する必要はない。

欠勤日を年次有給休暇に振替える場合の就業規則への規定に関する問です(昭23.12.15基収4281号、昭63.3.14基発150号)。当該取扱いが制度として確立している場合には、就業規則に規定することが必要です。

https://sr-memorandum.hatenablog.com/entry/2019/03/13/221905

欠勤(病気事故)したときに、その日を労働者の請求により年次有給休暇に振り替える取扱いが制度として確立している場合には、当該取扱いについて就業規則に規定する必要はない。

選択肢3. 同一事業場において当該事業場の全労働者の3割について適用される就業規則を別に作成する場合、当該事業場において当該就業規則の適用を受ける労働者のみの過半数で組織する労働組合又は当該就業規則の適用を受ける労働者のみの過半数を代表する者の意見を聴くことで、労働基準法第90条による意見聴取を行ったこととされる。

一部の労働者に適用される別個の就業規則に関する問です(昭63.3.14基発150号、平11.3.31基発168号)。

同一事業場において、労働基準法第3条に反しない限りにおいて、一部の労働者についてのみ適用される別個の就業規則を作成することは差し支えないが、この場合は、就業規則の本則において当該別個の就業規則の適用の対象となる労働者に係る適用除外規定又は委任規定を設けることが望ましい。

なお、別個の就業規則を定めた場合には、当該二以上の就業規則を合わせたものが労働基準法第89条の就業規則になるのであって、それぞれ単独に同条に規定する就業規則となるものではない。https://sr-memorandum.hatenablog.com/entry/2019/03/13/204504

当該二以上の就業規則の作成又は変更に際しての意見聴取については、当該事業場の全労働者の過半数で組織する労働組合又は全労働者の過半数を代表する者」の意見を聴くことが必要である。

同一事業場において当該事業場の全労働者の3割について適用される就業規則を別に作成する場合、当該事業場において当該就業規則の適用を受ける労働者のみの過半数で組織する労働組合又は当該就業規則の適用を受ける労働者のみの過半数を代表する者の意見を聴くことで、労働基準法第90条による意見聴取を行ったこととされる。

選択肢4. 就業規則中に懲戒処分を受けた場合は昇給させないという欠格条件を定めることは、労働基準法第91条に違反する。

このような欠格条件を定めることは91条に違反しません。91条に違反する場合として例えば降給について、職務内容に変更がなく、賃金のみ減ずる趣旨が相当します。減給の制裁は働いているのに懲戒処分により賃金が減額される場合に適用となります。

(制裁規定の制限)

第九十一条 就業規則で、労働者に対して減給の制裁を定める場合においては、その減給は、一回の額が平均賃金の一日分の半額を超え、総額が一賃金支払期における賃金の総額の十分の一を超えてはならない。

就業規則中に懲戒処分を受けた場合は昇給させないという欠格条件を定めることは、労働基準法第91条に違反する。

選択肢5. 労働基準法第91条にいう「一賃金支払期における賃金の総額」とは、「当該賃金支払期に対し現実に支払われる賃金の総額」をいい、一賃金支払期に支払われるべき賃金の総額が欠勤や遅刻等により少額となったときは、その少額となった賃金総額を基礎として10分の1を計算しなければならない。

欠勤や遅刻等で賃金が減額された場合の減給制裁の制限に関する問です(昭和25.9.8基収1338号)。

欠勤、遅刻等で減額された分は賃金の総額に含まれません。当該減給額が当該賃金支払期に対し現実に支払われる賃金の総額の10分の1を超えてはならない趣旨です。

https://sr-memorandum.hatenablog.com/entry/2019/04/17/211254

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02

解答:「労働基準法第91条にいう「一賃金支払期における賃金の総額」とは・・・」が正解です。

選択肢1. 労働基準法第89条第1号から第3号までの絶対的必要記載事項の一部を記載しない就業規則も、その効力発生についての他の要件を具備する限り有効であり、使用者は、そのような就業規則を作成し届け出れば同条違反の責任を免れることができるが、行政官庁は、このような場合においては、使用者に対し、必要な助言及び指導を行わなければならない。

×

絶対的必要記載事項の⼀部を記載しない就業規則でも、他の要件を具備する限り有効ですが、就業規則を作成し届け出ても同条違反の責任を免れることはできません。

選択肢2. 欠勤(病気事故)したときに、その日を労働者の請求により年次有給休暇に振り替える取扱いが制度として確立している場合には、当該取扱いについて就業規則に規定する必要はない。

×

欠勤(病気事故)したときに、その日を労働者の請求により年次有給休暇に振り替える取扱いが制度として確立している場合は、就業規則に規定することが必要です。

選択肢3. 同一事業場において当該事業場の全労働者の3割について適用される就業規則を別に作成する場合、当該事業場において当該就業規則の適用を受ける労働者のみの過半数で組織する労働組合又は当該就業規則の適用を受ける労働者のみの過半数を代表する者の意見を聴くことで、労働基準法第90条による意見聴取を行ったこととされる。

× 

二以上の就業規則の作成又は変更に際しての意見聴取は、当該事業場の全労働者の過半数で組織する労働組合又は全労働者の過半数を代表する者の意見を聴くことが必要です。

選択肢4. 就業規則中に懲戒処分を受けた場合は昇給させないという欠格条件を定めることは、労働基準法第91条に違反する。

×

就業規則中に懲戒処分を受けた場合は昇給させないという欠格条件を定めることは、労働基準法第91条に違反にはなりません。

選択肢5. 労働基準法第91条にいう「一賃金支払期における賃金の総額」とは、「当該賃金支払期に対し現実に支払われる賃金の総額」をいい、一賃金支払期に支払われるべき賃金の総額が欠勤や遅刻等により少額となったときは、その少額となった賃金総額を基礎として10分の1を計算しなければならない。

欠勤、遅刻等で減額された分は賃金の総額に含まれませんので、減給制裁で少なくなった賃金総額を基礎として10分の1を計算します。

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03

1 誤りです。

法89条の就業規則の作成及び届出の義務違反の責任は免れないため、誤りということとなります。

2 誤りです。

制度として確立している場合は、就業規則に規定することが必要です。

3 誤りです。 

併せて初めて一つの就業規則となるため、過半数代表の意見を聞くことが必要です。

4 誤りです。

就業規則中に懲戒処分を受けた場合は昇給させないという欠格条件を定めることは、労働基準法第91条に該当しないため誤りです。

5 設問のとおり正しいです。

労働基準法第91条にいう「一賃金支払期における賃金の総額」とは、「当該賃金支払期に対し現実に支払われる賃金の総額」をいい、一賃金支払期に支払われるべき賃金の総額が欠勤や遅刻等により少額となったときは、その少額となった賃金総額を基礎として10分の1を計算しなければなりません。

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