社会保険労務士の過去問
第53回(令和3年度)
労働基準法及び労働安全衛生法 問8
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問題
社労士試験 第53回(令和3年度) 択一式 労働基準法及び労働安全衛生法 問8 (訂正依頼・報告はこちら)
労働安全衛生法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 労働安全衛生法では、「労働者」は、労働基準法第9条に規定する労働者だけをいうものではなく、建設業におけるいわゆる一人親方(労災保険法第35条第1項の規定により保険給付を受けることができることとされた者)も下請負人として建設工事の業務に従事する場合は、元方事業者との関係において労働者としている。
- 二以上の建設業に属する事業の事業者が、一の場所において行われる当該事業の仕事を共同連帯して請け負った場合においては、厚生労働省令で定めるところにより、そのうちの一人を代表者として定め、これを都道府県労働局長に届け出なければならないが、この場合においては、当該事業をその代表者のみの事業と、当該代表者のみを当該事業の事業者と、当該事業の仕事に従事する労働者を下請負人の労働者も含めて当該代表者のみが使用する労働者とそれぞれみなして、労働安全衛生法が適用される。
- 労働安全衛生法では、事業者は、作業方法又は作業手順を新規に採用し、又は変更したときは、1か月以内に建設物、設備、原材料、ガス、蒸気、粉じん等による、又は作業行動その他業務に起因する危険性又は有害性等を調査し、その結果に基づいて、労働安全衛生法又はこれに基づく命令の規定による措置を講ずるほか、労働者の危険又は健康障害を防止するため必要な措置を講ずるように努めなければならないとされている。
- 労働安全衛生法では、化学物質による労働者の健康障害を防止するため、新規化学物質を製造し、又は輸入しようとする事業者は、あらかじめ、厚生労働省令で定めるところにより、厚生労働大臣の定める基準に従って有害性の調査(当該新規化学物質が労働者の健康に与える影響についての調査をいう。)を行うよう努めなければならないとされている。
- 労働安全衛生法では、厚生労働大臣は、化学物質で、がんその他の重度の健康障害を労働者に生ずるおそれのあるものについて、当該化学物質による労働者の健康障害を防止するため必要があると認めるときは、厚生労働省令で定めるところにより、当該化学物質を製造し、輸入し、又は使用している事業者その他厚生労働省令で定める事業者に対し、政令で定める有害性の調査(当該化学物質が労働者の健康障害に及ぼす影響についての調査をいう。)を行い、その結果を報告すべきことを指示することができることとされ、また、その指示を行おうとするときは、あらかじめ、厚生労働省令で定めるところにより、学識経験者の意見を聴かなければならないとされている。
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この過去問の解説 (3件)
01
解答:「労働安全衛生法では、厚生労働大臣は、化学物質で、がんその他の重度の健康障害を労働者に生ずるおそれのあるものについて・・・」が正解です。
×
「労働者」とは、労働基準法に規定する労働者(同居の親族のみを使用する事業又は事業所に使用されるもの及び家事使用人を除く)のことをいいます。
×
当該事業を代表者のみの事業と、当該代表者のみを当該事業の事業者と、当該事業の仕事に従事する労働者を当該代表者のみが使用する労働者とそれぞれみなして、この法律を適用しますので、下請負人の労働者は含まれません。
×
「1か月以内」という規定はなく、「作業方法又は作業手順を新規に採用し、又は変更するとき」に行うものです。
×
「行うよう努めなければならない」ではなく「行い、当該新規化学物質の名称、有害性の調査の結果その他の事項を厚生労働大臣に届け出なければならない」です。
〇
あらかじめ学識経験者の意見を聴いたうえで、事業者に有害性の調査を行い、その結果を報告すべきことを指示することができます。
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02
解説は以下のとおりです。
誤
二 労働者 労働基準法第九条に規定する労働者(同居の親族のみを使用する事業又は事務所に使用される者及び家事使用人を除く。)をいう、とされています。
労働安全衛生法では、「労働者」は、労働基準法第9条に規定する労働者だけをいうものではなく、建設業におけるいわゆる一人親方(労災保険法第35条第1項の規定により保険給付を受けることができることとされた者)も下請負人として建設工事の業務に従事する場合は、元方事業者との関係において労働者としている。
誤
条文表現から下請負人の労働者は含みません。
(事業者に関する規定の適用)
第五条 二以上の建設業に属する事業の事業者が、一の場所において行われる当該事業の仕事を共同連帯して請け負つた場合においては、厚生労働省令で定めるところにより、そのうちの一人を代表者として定め、これを都道府県労働局長に届け出なければならない。
2 前項の規定による届出がないときは、都道府県労働局長が代表者を指名する。
3 前二項の代表者の変更は、都道府県労働局長に届け出なければ、その効力を生じない。
4 第一項に規定する場合においては、当該事業を同項又は第二項の代表者のみの事業と、当該代表者のみを当該事業の事業者と、当該事業の仕事に従事する労働者を当該代表者のみが使用する労働者とそれぞれみなして、この法律を適用する。
二以上の建設業に属する事業の事業者が、一の場所において行われる当該事業の仕事を共同連帯して請け負った場合においては、厚生労働省令で定めるところにより、そのうちの一人を代表者として定め、これを都道府県労働局長に届け出なければならないが、この場合においては、当該事業をその代表者のみの事業と、当該代表者のみを当該事業の事業者と、当該事業の仕事に従事する労働者を下請負人の労働者も含めて当該代表者のみが使用する労働者とそれぞれみなして、労働安全衛生法が適用される。
誤
1か月以内にという期限の規定がありません。
第二章の四 危険性又は有害性等の調査等(危険性又は有害性等の調査)
第二十四条の十一 法第二十八条の二第一項の危険性又は有害性等の調査は、次に掲げる時期に行うものとする。
一 建設物を設置し、移転し、変更し、又は解体するとき。
二 設備、原材料等を新規に採用し、又は変更するとき。
三 作業方法又は作業手順を新規に採用し、又は変更するとき。
四 前三号に掲げるもののほか、建設物、設備、原材料、ガス、蒸気、粉じん等による、又は作業行動その他業務に起因する危険性又は有害性等について変化が生じ、又は生ずるおそれがあるとき。
2 法第二十八条の二第一項ただし書の厚生労働省令で定める業種は、令第二条第一号に掲げる業種及び同条第二号に掲げる業種(製造業を除く。)とする。
労働安全衛生法では、事業者は、作業方法又は作業手順を新規に採用し、又は変更したときは、1か月以内に建設物、設備、原材料、ガス、蒸気、粉じん等による、又は作業行動その他業務に起因する危険性又は有害性等を調査し、その結果に基づいて、労働安全衛生法又はこれに基づく命令の規定による措置を講ずるほか、労働者の危険又は健康障害を防止するため必要な措置を講ずるように努めなければならないとされている。
誤
新規化学物質を製造し、又は輸出しようとする事業者は、・・・厚生労働大臣に届け出なければなりません。新規化学物質は必ず届出てもらわないと困ってしまう。届出ればその後は名称の公表を待たず、製造及び輸入できます。
(化学物質の有害性の調査)
第五十七条の四 化学物質による労働者の健康障害を防止するため、既存の化学物質として政令で定める化学物質(第三項の規定によりその名称が公表された化学物質を含む。)以外の化学物質(以下この条において「新規化学物質」という。)を製造し、又は輸入しようとする事業者は、あらかじめ、厚生労働省令で定めるところにより、厚生労働大臣の定める基準に従つて有害性の調査(当該新規化学物質が労働者の健康に与える影響についての調査をいう。以下この条において同じ。)を行い、当該新規化学物質の名称、有害性の調査の結果その他の事項を厚生労働大臣に届け出なければならない。
労働安全衛生法では、化学物質による労働者の健康障害を防止するため、新規化学物質を製造し、又は輸入しようとする事業者は、あらかじめ、厚生労働省令で定めるところにより、厚生労働大臣の定める基準に従って有害性の調査(当該新規化学物質が労働者の健康に与える影響についての調査をいう。)を行うよう努めなければならないとされている。
正
新規化学物質の有害性調査後の措置に関する規定からの出題です。がんその他の重度の健康障害を労働者に生ずるということで、既に危険なことが分かり切っています。その事業所から病気になる人が多いような場合、この事業者は本当に大丈夫か?といった場合に特別に調査を指示できます。
第五十七条の五
厚生労働大臣は、化学物質で、がんその他の重度の健康障害を労働者に生ずるおそれのあるものについて、当該化学物質による労働者の健康障害を防止するため必要があると認めるときは、厚生労働省令で定めるところにより、当該化学物質を製造し、輸入し、又は使用している事業者その他厚生労働省令で定める事業者に対し、政令で定める有害性の調査(当該化学物質が労働者の健康障害に及ぼす影響についての調査をいう。)を行い、その結果を報告すべきことを指示することができる。(中略)
3 厚生労働大臣は、第一項の規定による指示を行おうとするときは、あらかじめ、厚生労働省令で定めるところにより、学識経験者の意見を聴かなければならない。
労働安全衛生法では、厚生労働大臣は、化学物質で、がんその他の重度の健康障害を労働者に生ずるおそれのあるものについて、当該化学物質による労働者の健康障害を防止するため必要があると認めるときは、厚生労働省令で定めるところにより、当該化学物質を製造し、輸入し、又は使用している事業者その他厚生労働省令で定める事業者に対し、政令で定める有害性の調査(当該化学物質が労働者の健康障害に及ぼす影響についての調査をいう。)を行い、その結果を報告すべきことを指示することができることとされ、また、その指示を行おうとするときは、あらかじめ、厚生労働省令で定めるところにより、学識経験者の意見を聴かなければならないとされている。
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03
1 誤りです。
労働安全衛生法において「労働者」とは、労働基準法に規定する労働者(同居の親族のみを使用する事業又は事業所に使用されるもの及び家事使用人を除く)のことをいいます。
2 誤りです。
請負人の労働者は含まれません。
代表者が責任を負うということを頭に入れましょう。
3 誤りです。
「1か月以内」という期限はありません。
「新規に採用し、又は変更するとき」に行うものとされています。
4 誤りです。
新規化学物質に係る有害性の調査は努力義務ではなく、義務とされているので誤りです。
5 設問のとおり正しいです。
労働安全衛生法では、厚生労働大臣は、化学物質で、がんその他の重度の健康障害を労働者に生ずるおそれのあるものについて、当該化学物質による労働者の健康障害を防止するため必要があると認めるときは、厚生労働省令で定めるところにより、当該化学物質を製造し、輸入し、又は使用している事業者その他厚生労働省令で定める事業者に対し、政令で定める有害性の調査(当該化学物質が労働者の健康障害に及ぼす影響についての調査をいう。)を行い、その結果を報告すべきことを指示することができることとされ、また、その指示を行おうとするときは、あらかじめ、厚生労働省令で定めるところにより、学識経験者の意見を聴かなければならないとされています。
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