社会保険労務士の過去問
第53回(令和3年度)
雇用保険法 問8

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問題

社労士試験 第53回(令和3年度) 択一式 雇用保険法 問8 (訂正依頼・報告はこちら)

特例納付保険料の納付等に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
  • 雇用保険の被保険者となる労働者を雇い入れ、労働者の賃金から雇用保険料負担額を控除していたにもかかわらず、労働保険徴収法第4条の2第1項の届出を行っていなかった事業主は、納付する義務を履行していない一般保険料のうち徴収する権利が時効によって既に消滅しているものについても、特例納付保険料として納付する義務を負う。
  • 特例納付保険料の納付額は、労働保険徴収法第26条第1項に規定する厚生労働省令で定めるところにより算定した特例納付保険料の基本額に、当該特例納付保険料の基本額に100分の10を乗じて得た同法第21条第1項の追徴金の額を加算して求めるものとされている。
  • 政府は、事業主から、特例納付保険料の納付をその預金口座又は貯金口座のある金融機関に委託して行うことを希望する旨の申出があった場合には、その納付が確実と認められ、かつ、その申出を承認することが労働保険料の徴収上有利と認められるときに限り、その申出を承認することができる。
  • 労働保険徴収法第26条第2項の規定により厚生労働大臣から特例納付保険料の納付の勧奨を受けた事業主が、特例納付保険料を納付する旨を、厚生労働省令で定めるところにより、厚生労働大臣に対して書面により申し出た場合、同法第27条の督促及び滞納処分の規定並びに同法第28条の延滞金の規定の適用を受ける。
  • 所轄都道府県労働局歳入徴収官は、労働保険徴収法第26条第4項の規定に基づき、特例納付保険料を徴収しようとする場合には、通知を発する日から起算して30日を経過した日をその納期限と定め、事業主に、労働保険料の増加額及びその算定の基礎となる事項並びに納期限を通知しなければならない。

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この過去問の解説 (3件)

01

解説は以下のとおりです。

選択肢1. 雇用保険の被保険者となる労働者を雇い入れ、労働者の賃金から雇用保険料負担額を控除していたにもかかわらず、労働保険徴収法第4条の2第1項の届出を行っていなかった事業主は、納付する義務を履行していない一般保険料のうち徴収する権利が時効によって既に消滅しているものについても、特例納付保険料として納付する義務を負う。

保険料徴収権の時効である2年経過後も保険料を納付することができる、という記載です。特例保険料の納付を申し出た場合に義務が発生します。

雇用保険の被保険者となる労働者を雇い入れ、労働者の賃金から雇用保険料負担額を控除していたにもかかわらず、労働保険徴収法第4条の2第1項の届出を行っていなかった事業主は、納付する義務を履行していない一般保険料のうち徴収する権利が時効によって既に消滅しているものについても、特例納付保険料として納付する義務を負う。

選択肢2. 特例納付保険料の納付額は、労働保険徴収法第26条第1項に規定する厚生労働省令で定めるところにより算定した特例納付保険料の基本額に、当該特例納付保険料の基本額に100分の10を乗じて得た同法第21条第1項の追徴金の額を加算して求めるものとされている。

100分の10は追徴金の額ではありません。特例納付保険料の基本額に加算する額であり、追徴金ではなく、特例納付保険料の一部です。追徴金は2種類で、確定保険料に係るものと印紙保険料に係るものです。

特例納付保険料の納付額は、労働保険徴収法第26条第1項に規定する厚生労働省令で定めるところにより算定した特例納付保険料の基本額に、当該特例納付保険料の基本額に100分の10を乗じて得た同法第21条第1項の追徴金の額を加算して求めるものとされている。

選択肢3. 政府は、事業主から、特例納付保険料の納付をその預金口座又は貯金口座のある金融機関に委託して行うことを希望する旨の申出があった場合には、その納付が確実と認められ、かつ、その申出を承認することが労働保険料の徴収上有利と認められるときに限り、その申出を承認することができる。

口座振替の対象となる労働保険料はレギュラーなもの、年度更新、延納によるものに限定されます。イレギュラー、変則的なもの、労働保険以外のもの(追徴金等)は口座振替による納付の対象外です。

(口座振替による納付)

第三十八条の四 法第二十一条の二第一項の厚生労働省令で定める納付は、納付書によつて行われる法第十五条第一項又は第二項の規定により納付すべき労働保険料及び法第十八条の規定により延納する場合における法第十五条第一項又は第二項の労働保険料並びに法第十九条第三項の規定により納付すべき労働保険料の納付とする。

政府は、事業主から、特例納付保険料の納付をその預金口座又は貯金口座のある金融機関に委託して行うことを希望する旨の申出があった場合には、その納付が確実と認められ、かつ、その申出を承認することが労働保険料の徴収上有利と認められるときに限り、その申出を承認することができる。

選択肢4. 労働保険徴収法第26条第2項の規定により厚生労働大臣から特例納付保険料の納付の勧奨を受けた事業主が、特例納付保険料を納付する旨を、厚生労働省令で定めるところにより、厚生労働大臣に対して書面により申し出た場合、同法第27条の督促及び滞納処分の規定並びに同法第28条の延滞金の規定の適用を受ける。

申出をすると納付義務が発生します(申し出をしなければ納付義務はない)。ちゃんと納付しないと督促、滞納処分が行われることがあります。延滞金の規定の適用を受けることになります。

(特例納付保険料の納付等)

第二十六条

 対象事業主は、前項の規定により勧奨を受けた場合においては、特例納付保険料を納付する旨を、厚生労働省令で定めるところにより、厚生労働大臣に対し、書面により申し出ることができる。

 政府は、前項の規定による申出を受けた場合には、特例納付保険料の額を決定し、厚生労働省令で定めるところにより、期限を指定して、これを対象事業主に通知するものとする。

 対象事業主は、第三項の規定による申出を行つた場合には、前項の期限までに、厚生労働省令で定めるところにより、同項に規定する特例納付保険料を納付しなければならない。

選択肢5. 所轄都道府県労働局歳入徴収官は、労働保険徴収法第26条第4項の規定に基づき、特例納付保険料を徴収しようとする場合には、通知を発する日から起算して30日を経過した日をその納期限と定め、事業主に、労働保険料の増加額及びその算定の基礎となる事項並びに納期限を通知しなければならない。

通知対象となる事項は特例納付保険料の額及び納期限です。

(特例納付保険料に係る通知)

第五十九条 所轄都道府県労働局歳入徴収官は、法第二十六条第四項の規定に基づき、特例納付保険料を徴収しようとする場合には、通知を発する日から起算して三十日を経過した日をその納期限と定め、事業主に、次に掲げる事項を通知しなければならない。

一 特例納付保険料の額

二 納期限

(平二二厚労令一〇七・追加)

所轄都道府県労働局歳入徴収官は、労働保険徴収法第26条第4項の規定に基づき、特例納付保険料を徴収しようとする場合には、通知を発する日から起算して30日を経過した日をその納期限と定め、事業主に、労働保険料の増加額及びその算定の基礎となる事項並びに納期限を通知しなければならない。

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02

解答:「労働保険徴収法第26条第2項の規定により・・・」が正解です。

選択肢1. 雇用保険の被保険者となる労働者を雇い入れ、労働者の賃金から雇用保険料負担額を控除していたにもかかわらず、労働保険徴収法第4条の2第1項の届出を行っていなかった事業主は、納付する義務を履行していない一般保険料のうち徴収する権利が時効によって既に消滅しているものについても、特例納付保険料として納付する義務を負う。

×

保険料として納付する義務は時効までの「2年分」です。

「特例納付保険料の納付を申し出をした場合」は、2年を超えて遡って雇用保険料を納付することができ、特例納付保険料の納付義務が発生します。

選択肢2. 特例納付保険料の納付額は、労働保険徴収法第26条第1項に規定する厚生労働省令で定めるところにより算定した特例納付保険料の基本額に、当該特例納付保険料の基本額に100分の10を乗じて得た同法第21条第1項の追徴金の額を加算して求めるものとされている。

×

追徴金の額として加算するのではなく、特例納付保険料の基本額に100分の10を乗じて得た額(加算額)を「特例納付保険料」として納付することになります。

選択肢3. 政府は、事業主から、特例納付保険料の納付をその預金口座又は貯金口座のある金融機関に委託して行うことを希望する旨の申出があった場合には、その納付が確実と認められ、かつ、その申出を承認することが労働保険料の徴収上有利と認められるときに限り、その申出を承認することができる。

× 

特例納付保険料は、預金口座又は貯金口座で納付することが出来ません。

選択肢4. 労働保険徴収法第26条第2項の規定により厚生労働大臣から特例納付保険料の納付の勧奨を受けた事業主が、特例納付保険料を納付する旨を、厚生労働省令で定めるところにより、厚生労働大臣に対して書面により申し出た場合、同法第27条の督促及び滞納処分の規定並びに同法第28条の延滞金の規定の適用を受ける。

特例納付保険料は、事業主が特例納付保険料を納付する旨を「書面により申し出た場合」は、納付義務が発生します。納付義務が発生した保険料を納付期限までに納付しない時は、延滞金の対象となります。

選択肢5. 所轄都道府県労働局歳入徴収官は、労働保険徴収法第26条第4項の規定に基づき、特例納付保険料を徴収しようとする場合には、通知を発する日から起算して30日を経過した日をその納期限と定め、事業主に、労働保険料の増加額及びその算定の基礎となる事項並びに納期限を通知しなければならない。

×

特例納付保険料を徴収しようとする場合に通知するのは、「特例納付保険料の額」と「納期限」になります。

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03

正解:4

1.「特例納付保険料として納付する義務を負う」ではなく、「納付することができる」となります(労働保険の保険料の徴収等に関する法律第26条第1項、労働保険の保険料の徴収等に関する法律施行規則第56条第1項)。

 義務ではなく、「納付することができる」という規定となっています。

2:「100分の10を乗じて得た同法第21条第1項の追徴金の額を加算して求めるもの」ではなく、「100分の10を乗じて得た額」となります(労働保険の保険料の徴収等に関する法律第26条第1項、労働保険の保険料の徴収等に関する法律施行規則第57条)。

 100分の10は「追徴金」ではありません。

3:特例納付保険料は、口座振替による納付の対象外です(労働保険の保険料の徴収等に関する法律第21条の2)。

4:設問の通りです(労働保険の保険料の徴収等に関する法律第26条)。

5:「労働保険料の増加額及びその算定の基礎となる事項並びに納期限を通知しなければならない」ではなく、「労働保険料の増加額及び納期限を通知しなければならない」となります(労働保険の保険料の徴収等に関する法律施行規則第59条)。

 「その算定の基礎となる事項」は通知不要です。

以上より、正しい選択肢は4で、これが正解となります。

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