社会保険労務士の過去問
第54回(令和4年度)
雇用保険法 問10
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問題
社労士試験 第54回(令和4年度) 択一式 雇用保険法 問10 (訂正依頼・報告はこちら)
労働保険の保険料の徴収等に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
- 雇用保険法第6条に該当する者を含まない4人の労働者を雇用する民間の個人経営による農林水産の事業(船員が雇用される事業を除く。)において、当該事業の労働者のうち2人が雇用保険の加入を希望した場合、事業主は任意加入の申請をし、認可があったときに、当該事業に雇用される者全員につき雇用保険に加入することとなっている。
- 雇用保険の適用事業に該当する事業が、事業内容の変更、使用労働者の減少、経営組織の変更等により、雇用保険暫定任意適用事業に該当するに至ったときは、その翌日に、自動的に雇用保険の任意加入の認可があったものとみなされ、事業主は雇用保険の任意加入に係る申請書を所轄公共職業安定所長を経由して所轄都道府県労働局長に改めて提出することとされている。
- 事業の期間が予定されており、かつ、保険関係が成立している事業の事業主は、当該事業の予定されている期間に変更があったときは、その変更を生じた日の翌日から起算して10日以内に、①労働保険番号、②変更を生じた事項とその変更内容、③変更の理由、④変更年月日を記載した届書を所轄労働基準監督署長又は所轄公共職業安定所長に提出することによって届け出なければならない。
- 政府は、労働保険の事業に要する費用にあてるため保険料を徴収するが、当該費用は、保険給付に要する費用、社会復帰促進等事業及び雇用安定等の事業に要する費用、事務の遂行に要する費用(人件費、旅費、庁費等の事務費)、その他保険事業の運営のために要する一切の費用をいう。
- 政府は、労働保険料その他労働保険徴収法の規定による徴収金を納付しない事業主に対して、同法第27条に基づく督促を行ったにもかかわらず、督促を受けた当該事業主がその指定の期限までに労働保険料その他同法の規定による徴収金を納付しないとき、同法に別段の定めがある場合を除き、政府は、当該事業主の財産を差し押さえ、その財産を強制的に換価し、その代金をもって滞納に係る労働保険料等に充当する措置を取り得る。
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この過去問の解説 (3件)
01
適用徴収に関する出題です。「雇用保険暫定任意適用事業の適用」はテキスト等記載の基本事項、「保険関係の成立に係る変更事項の届出」は過去にも類似の出題実績があり、「労働保険料の用途」は見たことがないかと思いますが、推測、「督促及び滞納処分」は基本事項と思います。
「擬制適用」は少々細かいですが、擬制適用は届出不要とおさえていれば他の選択肢の正誤が曖昧でも正解が特定できそうです。
正:雇用保険暫定任意適用事業の適用に関する問です。5人未満、個人経営、農林水産の事業は暫定任意適用事業です。事業主が使用される労働者の1/2以上の同意を得て申請することで適用事業となり、厚生労働大臣の認可により成立するとされています。法附則2条
誤:擬制任意適用に関する問です。法附則2条4項 強制適用事業が雇用保険暫定任意適用事業に該当するに至ったときは翌日に任意加入の認可があったものとみなされます。
みなされる行為に関してわざわざ届出を提出する必要がありません。
正:保険関係の成立に係る変更事項の届出に関する問です。
①労働保険番号、②変更を生じた事項とその変更内容、③変更の理由、④変更年月日は届出に記載する事項とされています。
成立届出と変更届出の記載内容は異なるため異なる点を確認した方が良いでしょう。
(保険関係の成立の届出等)
第四条の二 前二条の規定により保険関係が成立した事業の事業主は、その成立した日から十日以内に、その成立した日、事業主の氏名又は名称及び住所、事業の種類、事業の行われる場所その他厚生労働省令で定める事項を政府に届け出なければならない。
2 保険関係が成立している事業の事業主は、前項に規定する事項のうち厚生労働省令で定める事項に変更があつたときは、厚生労働省令で定める期間内にその旨を政府に届け出なければならない。
正:労働保険料の用途に関する問です。正しい内容ですが、一切の費用という書き方が迷わせますが、記載の内容は労働保険の事業であり、正しいです。
(労働保険料)
第十条 政府は、労働保険の事業に要する費用にあてるため保険料を徴収する。
2 前項の規定により徴収する保険料(以下「労働保険料」という。)は、次のとおりとする。
一 一般保険料
二 第一種特別加入保険料
三 第二種特別加入保険料
三の二 第三種特別加入保険料
四 印紙保険料
五 特例納付保険料
正:督促及び滞納処分に関する問です。徴収金を支払わない場合は滞納処分が規定されています。
(督促及び滞納処分)
第二十七条 労働保険料その他この法律の規定による徴収金を納付しない者があるときは、政府は、期限を指定して督促しなければならない。(中略)
3 第一項の規定による督促を受けた者が、その指定の期限までに、労働保険料その他この法律の規定による徴収金を納付しないときは、政府は、国税滞納処分の例によつて、これを処分する。
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02
労働保険の保険料の徴収及びその前段となる雇用保険・労働者災害補償保険の適用について、セットにして学習するとよいでしょう。それでは問題を見ていきましょう。
雇用保険暫定任意適用事業所の事業主は、労働者の2分の1以上が希望するときは、雇用保険の任意加入の申請をしなければなりません。
本設問文のような、労働者を守る方向で規定がなされている点を理解しておくとよいでしょう。
本設問文の場合、申請書を改めて提出する必要はありません。
雇用保険の適用事業が雇用保険暫定任意適用事業に該当するに至ったときは、その翌日に、自動的に任意加入の認可があったものとみなされ、特に手続きは必要ありません。
該当の条件に至った場合も効力は変わらない点をふまえ、事業主の手間を減らすねらいで改めての提出は不要となっていると理解しておくとよいでしょう。
本設問文のとおりです。
事業の予定期間の変更については、監督官庁側にて当該事実を把握することが困難であり、確実な管理と対応を行うためにこのような規定があると理解しておくとよいでしょう。
設問文のとおりです。
このまま理解しておきましょう。
本設問文のとおりです。
労働保険徴収法に限らず、所定の保険料や納付金等を納めない場合に、本設問文のような措置をとる場合がある点を、ぜひ理解しておきましょう。
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03
この問題は、労働保険料の徴収等に関する詳細な知識を要するものです。
具体的には、雇用保険法に基づく保険の適用範囲、保険料率の変更時の対応、保険関係の変更届出の要件など、労働保険に関するさまざまな側面が問われています。
これらは、事業主や労働者が日々のビジネスや労働活動を行う上で適切な手続きを理解し、遵守することが求められるため、重要な内容です。
正しい
解説:農林水産業のような暫定任意適用事業で、労働者の半数以上が雇用保険に加入することを希望した場合、事業主は全員を対象に加入申請を行い、認可された場合には全員が雇用保険に加入することになります。
誤り
解説:暫定任意適用事業に該当する場合には、自動的に任意加入の認可があったものとみなされ、改めて申請書を提出する必要はありません。
正しい
解説:事業主は、期間の変更があった際には、変更の詳細を所轄の労働基準監督署長または公共職業安定所長に届け出なければならないとされています。
正しい
解説:労働保険の事業に要する費用として、保険給付、社会復帰促進事業、雇用安定事業、事務運営費などが含まれています。
正しい
解説:督促に応じず納付しない場合、政府は事業主の財産を差し押さえ、滞納に係る労働保険料等に充当する措置を取ることができます。
この問題を解く際には、各選択肢の内容を労働保険法や関連規則の具体的な条文や定めと照らし合わせて考えることが重要です。
特に、雇用保険の適用範囲の変更、任意加入の認可の扱い、届出要件など、法令に基づく詳細な知識が必要となります。
また、各選択肢に記載されている具体的な状況を想定し、実際のビジネスや労働環境においてどのように対応すべきかを理解することも、この問題を解く上で役立ちます。
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