社会保険労務士の過去問
第55回(令和5年度)
労務管理その他の労働に関する一般常識 問2

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問題

社労士試験 第55回(令和5年度) 選択式 労務管理その他の労働に関する一般常識 問2 (訂正依頼・報告はこちら)

次の文中の( B )の部分を選択肢の中の最も適切な語句で埋め、完全な文章とせよ。

1.最高裁判所は、会社から採用内定を受けていた大学卒業予定者に対し、会社が行った採用内定取消は解約権の濫用に当たるか否かが問題となった事件において、次のように判示した。
 大学卒業予定者(被上告人)が、企業(上告人)の求人募集に応募し、その入社試験に合格して採用内定の通知(以下「本件採用内定通知」という。)を受け、企業からの求めに応じて、大学卒業のうえは間違いなく入社する旨及び一定の取消事由があるときは採用内定を取り消されても異存がない旨を記載した誓約書(以下「本件誓約書」という。)を提出し、その後、企業から会社の近況報告その他のパンフレットの送付を受けたり、企業からの指示により近況報告書を送付したなどのことがあり、他方、企業において、「( A )ことを考慮するとき、上告人からの募集(申込みの誘引)に対し、被上告人が応募したのは、労働契約の申込みであり、これに対する上告人からの採用内定通知は、右申込みに対する承諾であつて、被上告人の本件誓約書の提出とあいまつて、これにより、被上告人と上告人との間に、被上告人の就労の始期を昭和44年大学卒業直後とし、それまでの間、本件誓約書記載の5項目の採用内定取消事由に基づく解約権を留保した労働契約が成立したと解するのを相当とした原審の判断は正当であつて、原判決に所論の違法はない。」企業の留保解約権に基づく大学卒業予定者の「採用内定の取消事由は、採用内定当時( B )、これを理由として採用内定を取消すことが解約権留保の趣旨、目的に照らして客観的に合理的と認められ社会通念上相当として是認することができるものに限られると解するのが相当である。」
2.労働者派遣法第35条の3は、「派遣元事業主は、派遣先の事業所その他派遣就業の場所における組織単位ごとの業務について、( C )年を超える期間継続して同一の派遣労働者に係る労働者派遣(第40条の2第1項各号のいずれかに該当するものを除く。)を行つてはならない。」と定めている。
3.最低賃金制度とは、最低賃金法に基づき国が賃金の最低限度を定め、使用者は、その最低賃金額以上の賃金を支払わなければならないとする制度である。仮に最低賃金額より低い賃金を労働者、使用者双方の合意の上で定めても、それは法律によって無効とされ、最低賃金額と同額の定めをしたものとされる。したがって、最低賃金未満の賃金しか支払わなかった場合には、最低賃金額との差額を支払わなくてはならない。また、地域別最低賃金額以上の賃金を支払わない場合については、最低賃金法に罰則(50万円以下の罰金)が定められており、特定(産業別)最低賃金額以上の賃金を支払わない場合については、( D )の罰則(30万円以下の罰金)が科せられる。
 なお、一般の労働者より著しく労働能力が低いなどの場合に、最低賃金を一律に適用するとかえって雇用機会を狭めるおそれなどがあるため、精神又は身体の障害により著しく労働能力の低い者、試の使用期間中の者等については、使用者が( E )の許可を受けることを条件として個別に最低賃金の減額の特例が認められている。
  • 1
  • 2
  • 3
  • 5
  • 厚生労働省労働基準局長
  • 厚生労働大臣
  • 知ることができず、また事業の円滑な運営の観点から看過できないような事実であつて
  • 知ることができず、また知ることが期待できないような事実であつて
  • 知ることができたが、調査の結果を待つていた事実であつて
  • 知ることができたが、被上告人が自ら申告しなかつた事実であつて
  • 賃金の支払の確保等に関する法律
  • 都道府県労働局長
  • パートタイム・有期雇用労働法
  • 本件採用内定通知に上告人の就業規則を同封していた
  • 本件採用内定通知により労働契約が成立したとはいえない旨を記載していなかつた
  • 本件採用内定通知の記載に基づいて採用内定式を開催し、制服の採寸及び職務で使用する物品の支給を行つていた
  • 本件採用内定通知のほかには労働契約締結のための特段の意思表示をすることが予定されていなかつた
  • 労働契約法
  • 労働基準監督署長
  • 労働基準法

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この過去問の解説 (3件)

01

正解肢は「知ることができず、また知ることが期待できないような事実であつて」です。

選択肢8. 知ることができず、また知ることが期待できないような事実であつて

大日本印刷採用内定取消事件(S54.7.20最二小判)

「企業の留保解約権に基づく大学卒業予定者の採用内定の取消事由は、採用内定当時『知ることができず、また、知ることが期待できないような事実であつて』、これを理由として採用内定を取り消すことが解約権留保の趣旨、目的に照らして客観的に合理的と認められ、社会通念上相当として是認することができるものに限られる。」

まとめ

大日本印刷採用内定取消事件(S54.7.20最二小判)からの出題です。労働基準法だけでなく、労務管理その他の労働に関する一般常識においても判例からの出題がありますので、主要判例は一通り押さえておきましょう。

参考になった数4

02

知ることができず、また知ることが期待できないような事実であつて」が正解です。

選択肢8. 知ることができず、また知ることが期待できないような事実であつて

こちらも難易度が高い問題であり、似たような選択肢が4つあることから前後の文脈から判断するのも相当厳しいです。

判例を知らない場合の前後の文脈からの判断するポイントとしては、あえて言うのであれば「どのような場合なら企業の採用内定の取消が一般的に許容されるか」という視点で考えることが重要だと思われます。

まとめ

厳しい問題ですが、本判例から出題されている2問中1問は正解しておきたいところです。頑張りましょう。

参考になった数0

03

正しいものは「知ることができず、また知ることが期待できないような事実であつて」です。

選択肢8. 知ることができず、また知ることが期待できないような事実であつて

これも、判例からの出題でやや難しいかもしれません。採用内定の取り消しについては採用当時知ることができず、また知ることが期待できないような事実があった場合に認められるという趣旨ですが、「知ることができず〜」から始まる選択肢が4つあり、文脈から判断することも不可能ではありませんが、いずれにしてもやや難しい問題です。

参考になった数0