社会保険労務士(社労士) 過去問
第56回(令和6年度)
問55 (厚生年金保険法 問5)
問題文
遺族厚生年金に関する次のアからオの記述のうち、正しいものの組合せはどれか。なお、本問では、遺族厚生年金に係る保険料納付要件は満たされているものとする。
ア 死亡した者が短期要件に該当する場合は、遺族厚生年金の年金額を算定する際に、死亡した者の生年月日に応じた給付乗率の引上げが行われる。
イ 厚生年金保険の被保険者である甲は令和2年1月1日に死亡した。甲の死亡時に甲によって生計を維持されていた遺族は、妻である乙(当時40歳)と子である丙(当時10歳)であり、乙が甲の死亡に基づく遺族基礎年金と遺族厚生年金を受給していた。しかし、令和6年8月1日に、乙も死亡した。乙は死亡時に厚生年金保険の被保険者であった。また、乙によって生計を維持されていた遺族は丙だけである。この場合、丙が受給権を有する遺族厚生年金は、甲の死亡に基づく遺族厚生年金と乙の死亡に基づく遺族厚生年金である。丙は、そのどちらかを選択して受給することができる。
ウ 厚生年金保険の被保険者が死亡したときに、被保険者によって生計を維持されていた遺族が50歳の父と54歳の母だけであった場合、父には遺族厚生年金の受給権は発生せず、母にのみ遺族厚生年金の受給権が発生する。
エ 夫(70歳)と妻(70歳)は、厚生年金保険の被保険者期間を有しておらず、老齢基礎年金を受給している。また、夫妻と同居していた独身の子は厚生年金保険の被保険者であったが、3年前に死亡しており、夫妻は、それに基づく遺族厚生年金も受給している。この状況で夫が死亡し、遺族厚生年金の受給権者の数に増減が生じたときは、増減が生じた月の翌月から、妻の遺族厚生年金の年金額が改定される。
オ 繰下げにより増額された老齢厚生年金を受給している夫(厚生年金保険の被保険者ではない。)が死亡した場合、夫によって生計を維持されていた妻には、夫の受給していた老齢厚生年金の額(繰下げによる加算額を含む。)の4分の3が遺族厚生年金として支給される。なお、妻は老齢厚生年金の受給権を有しておらず、老齢基礎年金のみを受給しているものとする。
ア 死亡した者が短期要件に該当する場合は、遺族厚生年金の年金額を算定する際に、死亡した者の生年月日に応じた給付乗率の引上げが行われる。
イ 厚生年金保険の被保険者である甲は令和2年1月1日に死亡した。甲の死亡時に甲によって生計を維持されていた遺族は、妻である乙(当時40歳)と子である丙(当時10歳)であり、乙が甲の死亡に基づく遺族基礎年金と遺族厚生年金を受給していた。しかし、令和6年8月1日に、乙も死亡した。乙は死亡時に厚生年金保険の被保険者であった。また、乙によって生計を維持されていた遺族は丙だけである。この場合、丙が受給権を有する遺族厚生年金は、甲の死亡に基づく遺族厚生年金と乙の死亡に基づく遺族厚生年金である。丙は、そのどちらかを選択して受給することができる。
ウ 厚生年金保険の被保険者が死亡したときに、被保険者によって生計を維持されていた遺族が50歳の父と54歳の母だけであった場合、父には遺族厚生年金の受給権は発生せず、母にのみ遺族厚生年金の受給権が発生する。
エ 夫(70歳)と妻(70歳)は、厚生年金保険の被保険者期間を有しておらず、老齢基礎年金を受給している。また、夫妻と同居していた独身の子は厚生年金保険の被保険者であったが、3年前に死亡しており、夫妻は、それに基づく遺族厚生年金も受給している。この状況で夫が死亡し、遺族厚生年金の受給権者の数に増減が生じたときは、増減が生じた月の翌月から、妻の遺族厚生年金の年金額が改定される。
オ 繰下げにより増額された老齢厚生年金を受給している夫(厚生年金保険の被保険者ではない。)が死亡した場合、夫によって生計を維持されていた妻には、夫の受給していた老齢厚生年金の額(繰下げによる加算額を含む。)の4分の3が遺族厚生年金として支給される。なお、妻は老齢厚生年金の受給権を有しておらず、老齢基礎年金のみを受給しているものとする。
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問題
社労士試験 第56回(令和6年度) 問55(厚生年金保険法 問5) (訂正依頼・報告はこちら)
遺族厚生年金に関する次のアからオの記述のうち、正しいものの組合せはどれか。なお、本問では、遺族厚生年金に係る保険料納付要件は満たされているものとする。
ア 死亡した者が短期要件に該当する場合は、遺族厚生年金の年金額を算定する際に、死亡した者の生年月日に応じた給付乗率の引上げが行われる。
イ 厚生年金保険の被保険者である甲は令和2年1月1日に死亡した。甲の死亡時に甲によって生計を維持されていた遺族は、妻である乙(当時40歳)と子である丙(当時10歳)であり、乙が甲の死亡に基づく遺族基礎年金と遺族厚生年金を受給していた。しかし、令和6年8月1日に、乙も死亡した。乙は死亡時に厚生年金保険の被保険者であった。また、乙によって生計を維持されていた遺族は丙だけである。この場合、丙が受給権を有する遺族厚生年金は、甲の死亡に基づく遺族厚生年金と乙の死亡に基づく遺族厚生年金である。丙は、そのどちらかを選択して受給することができる。
ウ 厚生年金保険の被保険者が死亡したときに、被保険者によって生計を維持されていた遺族が50歳の父と54歳の母だけであった場合、父には遺族厚生年金の受給権は発生せず、母にのみ遺族厚生年金の受給権が発生する。
エ 夫(70歳)と妻(70歳)は、厚生年金保険の被保険者期間を有しておらず、老齢基礎年金を受給している。また、夫妻と同居していた独身の子は厚生年金保険の被保険者であったが、3年前に死亡しており、夫妻は、それに基づく遺族厚生年金も受給している。この状況で夫が死亡し、遺族厚生年金の受給権者の数に増減が生じたときは、増減が生じた月の翌月から、妻の遺族厚生年金の年金額が改定される。
オ 繰下げにより増額された老齢厚生年金を受給している夫(厚生年金保険の被保険者ではない。)が死亡した場合、夫によって生計を維持されていた妻には、夫の受給していた老齢厚生年金の額(繰下げによる加算額を含む。)の4分の3が遺族厚生年金として支給される。なお、妻は老齢厚生年金の受給権を有しておらず、老齢基礎年金のみを受給しているものとする。
ア 死亡した者が短期要件に該当する場合は、遺族厚生年金の年金額を算定する際に、死亡した者の生年月日に応じた給付乗率の引上げが行われる。
イ 厚生年金保険の被保険者である甲は令和2年1月1日に死亡した。甲の死亡時に甲によって生計を維持されていた遺族は、妻である乙(当時40歳)と子である丙(当時10歳)であり、乙が甲の死亡に基づく遺族基礎年金と遺族厚生年金を受給していた。しかし、令和6年8月1日に、乙も死亡した。乙は死亡時に厚生年金保険の被保険者であった。また、乙によって生計を維持されていた遺族は丙だけである。この場合、丙が受給権を有する遺族厚生年金は、甲の死亡に基づく遺族厚生年金と乙の死亡に基づく遺族厚生年金である。丙は、そのどちらかを選択して受給することができる。
ウ 厚生年金保険の被保険者が死亡したときに、被保険者によって生計を維持されていた遺族が50歳の父と54歳の母だけであった場合、父には遺族厚生年金の受給権は発生せず、母にのみ遺族厚生年金の受給権が発生する。
エ 夫(70歳)と妻(70歳)は、厚生年金保険の被保険者期間を有しておらず、老齢基礎年金を受給している。また、夫妻と同居していた独身の子は厚生年金保険の被保険者であったが、3年前に死亡しており、夫妻は、それに基づく遺族厚生年金も受給している。この状況で夫が死亡し、遺族厚生年金の受給権者の数に増減が生じたときは、増減が生じた月の翌月から、妻の遺族厚生年金の年金額が改定される。
オ 繰下げにより増額された老齢厚生年金を受給している夫(厚生年金保険の被保険者ではない。)が死亡した場合、夫によって生計を維持されていた妻には、夫の受給していた老齢厚生年金の額(繰下げによる加算額を含む。)の4分の3が遺族厚生年金として支給される。なお、妻は老齢厚生年金の受給権を有しておらず、老齢基礎年金のみを受給しているものとする。
- (アとイ)
- (アとウ)
- (イとエ)
- (ウとオ)
- (エとオ)
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この過去問の解説 (3件)
01
組み合わせ問題です。
出だしのアが難しいと感じた方が多いと思います。
そのような場合は、
他の分かりそうな選択肢から解いていきましょう。
ア→短期要件に該当する場合は、読み替えは行いません。
給付乗率は「定率」です。
長期要件に該当する場合に、
読み替えを行います。
アは誤りです。
【60条1項】
イ→乙と甲の死亡は同一事由ではありません。
同一事由でなければ併給できないため、
丙は乙と甲のいずれかの遺族厚生年金を選択しなければなりません。
イは正しいです。
【58条1項】
ウ→夫、父母、祖父母は55歳以上でなければ、
受給権が発生しません。
母(54歳)には遺族厚生年金の受給権は、
発生しません。
ウは誤りです。
【59条1項1号】
エ→増減が生じた月の翌月から改定されるので、
正しい内容です。
遺族厚生年金に関わらず、
年金給付は受給権者の増減で生じた月の翌月から改定されます。
エは正しいです。
【61条1項】
オ→繰下げ加算は含みません。
オは誤りです。
【60条】
以上から正しい組み合わせはイ、エです。
イ、エが正しい組み合わせです。
イ、エが正しい組み合わせです。
イ、エが正しい組み合わせです。
解説は冒頭をご参照ください。
イ、エが正しい組み合わせです。
イ、エが正しい組み合わせです。
アとオの正誤判断が難しい問題でした。
ウは比較的簡単な選択肢でしたので、
簡単な選択肢を足がかりに答えを推測していきましょう。
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02
遺族厚生年金に関する問題です。
遺族厚生年金は厚生年金保険法第58条から
第68条までが関連条文になっています。
まず、ア~オについてみていきましょう。
ア 誤りです。
生年月日ではなく被保険者期間によります。
厚生年金保険法第60条第1項にあります。
イ 正しいです。
1人1年金の原則により、どちらか1つになります。
関連は厚生年金保険法第38条第1項です。
ウ 誤りです。
厚生年金保険法第59条第1項第1号の要件を満たしていないため、
父母ともに受給権がありません。
エ 正しいです。
根拠は厚生年金保険法第61条第1項です。
オ 誤りです。
文中の「(繰下げによる加算額を含む)」の部分が誤まりです。
繰下げによる加算額は未支給年金として受け取ることになるため、
遺族厚生年金に関しては厚生年金保険法第60条第1項第1号の額です。
以上を踏まえ選択肢をみていきましょう。
アは誤り、イは正しいです。冒頭を参照ください。
アもウもどちらも誤りです。冒頭を参照ください。
正しいものの組み合わせです。冒頭を参照ください。
ウもオもどちらも誤りです。冒頭を参照ください。
エは正しく、オは誤りです。冒頭を参照ください。
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03
遺族厚生年金についての問題です。
全体的に細かい論点からの出題が多いですが、図をしっかりと書くことで、情報の整理をすることが解答への最短ルートとなったのではないかと思われます。
それぞれの選択肢の正誤判定は以下のようになります。
ア 誤りです。 法60条1項
死亡した者(昭和21年4月1日以前に死亡した者)の生年月日に応じた給付乗率の読み替え規定があるのは「長期要件」に該当する場合です。短期要件の場合は「300月の最低保障」の規定があります。
イ 正しいです。 法38条1項、法58条1項1号、法59条1項2号
甲が死亡した当時、遺族厚生年金の受給権を乙と丙は取得していたが、乙が受給していたため、丙は支給停止所帯であったことになります。
その後、甲の遺族厚生年金の受給権者たる乙が死亡したため、同じく受給権を取得していたが支給停止状態であった丙が受給権を取得することになります。この時、乙は厚生年金保険の被保険者であったため、乙の遺族厚生年金の受給権も丙は取得することになります。
その結果として、丙は甲の遺族厚生年金と乙の遺族厚生年金の2つの遺族厚生年金の受給権を主地区することになるため、どちらか一方の遺族厚生年金を受給することになります。→一人一年金の原則により、同じ年金制度において、2以上の年金の受給権が発生した場合は、いずれか1の年金の受給権を選択し、残りの受給権は支給停止とすることになります。
ウ 誤りです。 法59条1項1号
父母の受給権の発生要件は、被保険者が死亡した当時「55歳以上」であることであるため、母についても受給権は発生しません。
エ 正しいです。 法61条1項
設問の場合は、夫妻(3年前に亡くなった子から見たら「父母」)がそれぞれ遺族厚生年金の受給をしており、夫が死亡した場合は、受給権者が妻(母)だけとなるため、遺族厚生年金の受給額も2人で按分されていたものが1人で受給する形に変わるので、受給権者の数に増減が生じた月の翌月から、妻の遺族厚生年金の受給額が改定されます。
オ 誤りです。 法60条1項1号
遺族厚生年金の年金額は夫の老理恵厚生年金の額(繰下げによる加算額は「含まない」)の4分の3相当額となります。
よって、正しい組み合わせはイとエになります。
誤りです。 正しい組み合わせはイとエになります。
誤りです。 正しい組み合わせはイとエになります。
正しいです。 正しい組み合わせはイとエになります。
誤りです。 正しい組み合わせはイとエになります。
誤りです。 正しい組み合わせはイとエになります。
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