皮膚粘膜眼症候群(スティーブンス・ジョンソン症候群)及び中毒性表皮壊死融解症(TEN)に関する問題です。
各選択肢をみながら、解説と照らし合わせてみましょう。
a. 皮膚粘膜眼症候群は、最初に報告をした二人の医師の名前にちなんでスティーブンス・ジョンソン症候群(SJS)とも呼ばれる。
発生頻度は、人口100万人当たり年間1~6人と報告されている。発症機序の詳細は不明であり、発症の可能性がある医薬品の種類も多いため、発症の予測は極めて困難である。
これにより、この選択肢は正解です。
b. 皮膚粘膜眼症候群(スティーブンス・ジョンソン症候群)は、38℃以上の高熱を伴って、発疹 しん ・発赤、火傷様の水疱等の激しい症状が比較的短時間のうちに全身の皮膚、口、眼等の粘膜に現れる病態である。
これにより、この選択肢は正解です。
c. 両眼に現れる急性結膜炎(結膜が炎症を起こし、充血、目やに、流涙、痒み、腫れ等を生じる病態)は、皮膚や粘膜の変化とほぼ同時期又は半日~1日程度先行して生じることが知られているので、そのような症状が現れたときは、皮膚粘膜眼症候群又は中毒性表皮壊死融解症の前兆である可能性を疑うことが重要である。
これにより、この選択肢は正解です。
●中毒性表皮壊死融解症は、
38℃以上の高熱を伴って広範囲の皮膚に発赤が生じ、全身の10%以上に火傷様の水疱、皮膚の剥離、びらん等が認められ、かつ、口唇の発赤・びらん、眼の充血等の症状を伴う病態で、最初に報告をした医師の名前にちなんでライエル症候群とも呼ばれる。
皮膚粘膜眼症候群と関連のある病態と考えられており、中毒性表皮壊死融解症の症例の多くが皮膚粘膜眼症候群の進展型とみられる。発生頻度は、人口100万人当たり年間0.4~1.2人と報告されている。皮膚粘膜眼症候群と同様に、発症機序の詳細は不明であり、発症の予測は困難である。
皮膚粘膜眼症候群及び中毒性表皮壊死融解症のいずれもが発生は非常にまれであるとはいえ、一旦発症すると多臓器障害の合併症等により致命的な転帰をたどることがあり、また、皮膚症状が軽快した後も眼や呼吸器等に障害が残ったりする重篤な疾患である。従って、
○ 38℃以上の高熱
○ 目の充血、目やに(眼分泌物)、まぶたの腫れ、目が開けづらい
○ 口唇の違和感、口唇や陰部のただれ
○ 排尿・排便時の痛み
○ 喉の痛み
○ 広範囲の皮膚の発赤
等の症状が持続したり、又は急激に悪化したりする場合には、原因と考えられる医薬品の使用を中止して、直ちに皮膚科の専門医を受診する必要がある。
d. 皮膚粘膜眼症候群と中毒性表皮壊死融解症は、いずれも原因医薬品の使用開始後2週間以内に発症することが多いが、1ヶ月以上経ってから起こることもある。
これにより、「起こることはない」→「起こることもある」
よって、この選択肢は誤りです。