通関士の過去問
第49回(平成27年)
通関書類の作成要領その他通関手続の実務 問51

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問題

通関士試験 第49回(平成27年) 通関書類の作成要領その他通関手続の実務 問51 (訂正依頼・報告はこちら)

次の記述は、関税暫定措置法第8条の2( 特恵関税等 )に規定する特恵関税制度に係る原産地認定に関するものであるが、その記述の正しいものはどれか。一つを選びなさい。
  • 特恵受益国であるA国において生まれ、かつ、特恵受益国であるB国において成育された生きている羊は、B国の原産品である。
  • 特恵受益国であるA国の船舶により特恵受益国でないB国の排他的経済水域で採捕された魚のみから当該船舶において生産された魚の干物は、B国の原産品である。
  • 関税定率法別表第50類から第63類までに該当する物品にあっては、当該物品の生産に使用された非原産品からの加工が実質的な変更を加える加工に該当するか否かを決定するに当たり、当該非原産品の総重量が当該物品の総重量の15%以下の場合には、当該非原産品からの加工が実質的な変更を加える加工に該当するか否かは考慮しないものとされている。
  • 特恵受益国でないB国から輸出された材料を使用して、特恵受益国であるA国において、実質的な変更を加える製造により生産された物品は、B国の原産品である。
  • 特恵受益国であるA国の原産品は、B国を経由して本邦に運送された場合には、B国の原産品となる。
  • 該当なし。

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この過去問の解説 (3件)

01

正解は6.該当なし

【解説】
1:正しくない
関税暫定措置法施行規則第八条三号により
「"一の国または地域"において生まれ、かつ生育した動物(生きているものに限る)」
が原産品として認定されます。
本問では羊は「A国で生まれた」ため、上記の条件を満たさず、B国の原産品としては認められません。

2:正しくない
関税暫定措置法施行規則第八条六号
「一の国又は地域の船舶により公海並びに本邦の排他的経済水域の海域
及び外国の排他的経済水域の海域で採捕された水産物」
並びに同七号
「一の国又は地域の船舶において前号に掲げる物品のみを原料又は材料
として生産された物品」
が原産品として認定されます。
本問では魚の干物はA国の船舶により採捕され、当該船舶で生産されたものであるため、
B国の原産品とはならず、A国の原産品となります

3:正しくない
関税暫定措置法施行規則第九条には
実質的な変更を加える加工に該当するか否かを考慮しない非原産品の重量の割合と
して「10%以下」と記載されています。
したがって、本問の「15%以下」は誤りとなります。

4:正しくない
関税暫定措置法施行令第二十六条二号では
実質的な変更を加える製造により生産された物品は、当該生産した国の原産品
とされています。
本問では実質的な加工を加えたのはA国であるため、B国の原産品とはなりません。

5:正しくない
関税暫定措置法施行令第三十一条により
特恵受益国から本邦まで輸送するにあたり、運送上の理由で第三国を経由した場合は
当該原産品は特恵受益国の原産品となります。
したがって本問のケースではB国の原産品とはなりません。

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02

【正解】

6.該当なし

【解説】

1.誤った記述です

特恵受益国であるA国において生まれ、かつ、特恵受益国であるB国において

成育された生きている羊は、暫定規則第8条の3「一の国又は地域において

生まれ、かつ、成育した動物」という条件に該当しないため、B国の原産品

であるとは認められないです。

2.誤った記述です

特恵受益国であるA国の船舶により特恵受益国でないB国の排他的経済水域で

採捕された魚のみから当該船舶において生産された魚の干物は、暫定規則

第8条の6「一の国又は地域の船舶により公海並びに本邦の排他的経済水域の

海域及び外国の排他的経済水域の海域で採捕された水産物」に該当せず、

また、暫定規則第8条の7「一の国又は地域の船舶において前号に掲げる物品

のみを原料又は材料として生産された物品」に該当しないため、B国の原産品

とは認められないです。

3.誤った記述です

関税暫定則9条2項には「第五十類から第六十三類までに該当する物品に

あっては、当該物品の生産に使用された非原産品からの加工又は製造が同項

に定める加工又は製造に該当するか否かを決定するに当たり、当該非原産品

の総重量が当該物品の総重量の「10パーセント以下」の場合には、当該非原産品

からの加工又は製造が同項に定める加工又は製造に該当するか否かは考慮

しないものとする。」と規定されており、設問は15%以下と明記されている為

誤っております。

4.誤った記述です

関税法施行令第4条の2第4項に、輸入申告において申告する貨物の原産地は、

次に掲げる物品の区分に応じて規定する国又は地域と規定されています。

・一の国又は地域において完全に生産された物品として財務省令で定める物品

・一の国又は地域において、完全に生産された物品以外の物品をその原料又は

 材料の全部又は一部として、 これに実質的な変更を加えるものとして

 財務省令で定める加工又は製造により生産された物品

よって設問の特恵受益国であるA国において、実質的な変更を加える製造により

生産された物品はA国の原産品になります。

5.誤った記述です

関税暫定措置法施行令第31条2項には原産地である特恵受益国等から非原産国を

経由して本邦へ向けて運送される物品で、当該非原産国において運送上の理由

による積替え及び一時蔵置以外の取扱いがされなかつたものは、特恵受益国

原産品として適用しない。と規定されており、設問の場合だと特恵受益国

であるA国の原産品が認められます。

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03

【関税定率法等】〖特恵関税制〗

完全生産品と実質加工品の違いを理解し、原産地を認定する必要があります。

選択肢1. 特恵受益国であるA国において生まれ、かつ、特恵受益国であるB国において成育された生きている羊は、B国の原産品である。

完全生産品以外の物品は実質的な変更(関税定率法別表の項の変更)の有無で原産地が認定されますが、当該設問では項の変更がないのでB国の原産品にはなりません。

選択肢2. 特恵受益国であるA国の船舶により特恵受益国でないB国の排他的経済水域で採捕された魚のみから当該船舶において生産された魚の干物は、B国の原産品である。

排他的経済水域で採捕された水産物は公海で採捕されたものとして扱われるため、A国の船舶により採捕された魚はA国の原産品となります。

選択肢3. 関税定率法別表第50類から第63類までに該当する物品にあっては、当該物品の生産に使用された非原産品からの加工が実質的な変更を加える加工に該当するか否かを決定するに当たり、当該非原産品の総重量が当該物品の総重量の15%以下の場合には、当該非原産品からの加工が実質的な変更を加える加工に該当するか否かは考慮しないものとされている。

15%が誤りです。非原産品の総重量が当該物品の総重量の10%以下の場合には、実質的な変更を加える加工又は製造に該当するか否かは考慮しないものとされています。

選択肢4. 特恵受益国でないB国から輸出された材料を使用して、特恵受益国であるA国において、実質的な変更を加える製造により生産された物品は、B国の原産品である。

実質的な変更を加える製造により生産された物品はこれらの物品が生産された国又は地域を原産地とするため、A国の原産品となります。

選択肢5. 特恵受益国であるA国の原産品は、B国を経由して本邦に運送された場合には、B国の原産品となる。

運送上の理由による積替え及び一時蔵置以外の取扱いがされなかったもの、非原産国における一時蔵置又は博覧会等への出品のため輸出された物品で、その輸出をした者により当該非原産国から本邦に輸出されるものはA国の原産品として認められます。

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