通関士の過去問
第53回(令和元年)
通関書類の作成要領その他通関手続の実務 問41

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問題

通関士試験 第53回(令和元年) 通関書類の作成要領その他通関手続の実務 問41 (訂正依頼・報告はこちら)

次の記述は、関税の確定及び納付に関するものであるが、その記述の正しいものはどれか。すべてを選び、その番号をマークしなさい。
  • 納税申告は、輸入申告書に輸入しようとする貨物に係る課税標準その他の事項のほか、その税額その他必要な事項を記載して、これを税関長に提出することによって行うものとされているが、特例輸入者は、これによらず、当該貨物に係る課税標準、税額その他必要な事項を記載した特例申告書を税関長に提出することによって納税申告(特例申告)を行うことができる。
  • 特例輸入者が、自動車を輸入しようとする場合において、輸入申告に併せて納税申告を行わないときは、当該自動車については、特例申告を行うことを選択したものとみなすこととされている。
  • 環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定の規定に基づき同協定の原産品とされる貨物に係る納税申告をした者は、当該納税申告に係る貨物について同協定の規定に基づく関税の譲許の便益の適用を受けていない場合において、当該貨物につき当該譲許の便益の適用を受けることにより、当該納税申告に係る納付すべき税額が過大となるときは、当該貨物の輸入の許可の日から5年以内に限り、税関長に対し、当該納税申告に係る税額について更正の請求をすることができる。
  • 延滞税の額の計算の基礎となる関税額が1万円未満である場合においては、延滞税の納付は要しない。
  • 税関長は、過少申告加算税を徴収しようとするときは、納付すべき税額、納期限及び納付場所を記載した納税告知書を送達して納税の告知をしなければならない。

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この過去問の解説 (3件)

01

正解は1,2,4となります。

【解説】

毎年頻出の関税の確定及び納付です。内容は文字通り関税の確定及び納付と守備範囲が広いので、残念ながら、予想がつけづらく、これを確実に抑えておけば点数が取れるということはありません。本問の場合、経済連携協定に関することから、延滞税に関することまで幅広く取り上げられています。総合的に理解を深めて学習していきましょう。

1. 正しいです。

特例輸入者の特権についてです。一般的な輸入の申告は、輸入申告(引取申告)と納税申告がセットですが、特例申告は輸入申告(引取申告)のみ先に行われ、納税申告は特例申告の納期限までに行われます。関税法第7条の2より、特例輸入者は、課税標準、税額その他必要な事項を記載した特例申告書を税関長に提出することで特例申告をすることができます。

2.正しいです。

 関税法第7条の3より、特例輸入者が輸入申告(引取申告)に併せて納税申告を行わないときは、特例申告をしたものとしてみなされます。尚、特例申告ができない貨物は、関税暫定措置法の別表第1の6の、特別緊急関税の多少になっている物品です。自動車でよく引っかけられる問題として見かけるのは、関税定率法第14条第7項及び8項の無条件免税(引越貨物)です。輸入入国者またはその家族が個人的な使用に供するもの若しくは職業上必要な器具には関税を課さないとありますが、自動車等は例外と定められており、ここのポイントを問題作成されているところを見かけます。

3.誤りです。

 関税暫定措置法第12条の2に、更正の請求の特例について触れられています。TPP11協定に基づいて、TPP11協定の規定に基づく関税の便益の適用を受けていない場合、輸入の許可の日から1年以内において更正の請求をすることができると規定されています。数多い経済連携協定の中で、更正の請求の特例を認めているのはTPP11協定のみです(令和3年6月現在)。他の協定と混同させて問題作成してくる可能性もありますので、しっかり覚えましょう。

4.正しいです。

 関税法第12条第3項より、延滞税の額の計算の基礎となる関税額が1万円未満である場合においては、延滞税の納付は要しません。

5.誤りです。

 関税法第9条の3第1項及び関税法第9条の3第1項3号より、税関長は、賦課課税方式による関税で過少申告加算税は納税の告知をしなければならないものの例外として定めています。

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02

幅広い条文に関わる、関税の確定及び納付に関する問題です。

選択肢1. 納税申告は、輸入申告書に輸入しようとする貨物に係る課税標準その他の事項のほか、その税額その他必要な事項を記載して、これを税関長に提出することによって行うものとされているが、特例輸入者は、これによらず、当該貨物に係る課税標準、税額その他必要な事項を記載した特例申告書を税関長に提出することによって納税申告(特例申告)を行うことができる。

正しい内容です。

関税法第7条2に、申告納税方式が適用される貨物について、前条第二項の規定にかかわらず、当該貨物に係る課税標準、税額その他必要な事項を記載した申告書を税関長に提出することによって、同条第一項の申告を行うことができると規定されております。

選択肢2. 特例輸入者が、自動車を輸入しようとする場合において、輸入申告に併せて納税申告を行わないときは、当該自動車については、特例申告を行うことを選択したものとみなすこととされている。

正しい内容です。

関税法第7条の3に、特例輸入者又は特例委託輸入者は、当該輸入申告に係る貨物については、特例申告を行うことを選択したものとみなすと規定されております。

選択肢3. 環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定の規定に基づき同協定の原産品とされる貨物に係る納税申告をした者は、当該納税申告に係る貨物について同協定の規定に基づく関税の譲許の便益の適用を受けていない場合において、当該貨物につき当該譲許の便益の適用を受けることにより、当該納税申告に係る納付すべき税額が過大となるときは、当該貨物の輸入の許可の日から5年以内に限り、税関長に対し、当該納税申告に係る税額について更正の請求をすることができる。

誤った内容です。

関税暫定措置法第12条の2に、納税申告をした者は、環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定の規定に基づき、環太平洋包括的及び先進的協定の規定に基づく関税の譲許の便益の適用を受けていない場合において、当該貨物につき当該譲許の便益の適用を受けることにより、当該納税申告に係る納付すべき税額の規定による更正が過大となるときは、当該貨物の輸入の許可の日から一年以内に限り、政令で定めるところにより、税関長に対し、当該納税申告に係る税額更正の請求をすることができると規定されております。

選択肢4. 延滞税の額の計算の基礎となる関税額が1万円未満である場合においては、延滞税の納付は要しない。

正しい内容です。

納付すべき関税額が1万円未満の端数は切り捨てて計算します。したがって、関税額1万円未満の場合は延滞税がかかりません。

ちなみに、算出された延滞税の額が1000円未満の場合、こちらも納付する必要はありません。

選択肢5. 税関長は、過少申告加算税を徴収しようとするときは、納付すべき税額、納期限及び納付場所を記載した納税告知書を送達して納税の告知をしなければならない。

誤った内容です。

賦課課税方式による関税で過少申告加算税は、納税告知書を送達して、納税の告知しなければならないものの例外として規定されております。

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03

本問は、関税の確定および納付の手続きについての知識を問う問題です。

選択肢1. 納税申告は、輸入申告書に輸入しようとする貨物に係る課税標準その他の事項のほか、その税額その他必要な事項を記載して、これを税関長に提出することによって行うものとされているが、特例輸入者は、これによらず、当該貨物に係る課税標準、税額その他必要な事項を記載した特例申告書を税関長に提出することによって納税申告(特例申告)を行うことができる。

正しい

関税法7条2項、7条の2の通りです。

 

納税申告については「輸入申告書に(中略)当該貨物に係る課税標準その他の事項のほか、その税額その他必要な事項を記載して、これを税関長に提出することによって行なう」ことが規定されています(関税法7条2項)。

そして、特例輸入者については、「当該貨物に係る課税標準、税額その他必要な事項を記載した申告書(以下「特例申告書」という。)を税関長に提出することによって(中略)申告を行うことができる」と規定されています(関税法7条の2)。

選択肢2. 特例輸入者が、自動車を輸入しようとする場合において、輸入申告に併せて納税申告を行わないときは、当該自動車については、特例申告を行うことを選択したものとみなすこととされている。

正しい

関税法7条の3で「輸入申告に併せて第7条第2項(申告)の規定による申告を行っていない特例輸入者(中略)は、当該輸入申告に係る貨物(前条第4項に規定する貨物を除く。)については、特例申告を行うことを選択したものとみなす。」と規定されています。

そして、「前条第4項に規定する貨物」とは、特別緊急関税制度の対象となっている物品、豚肉、ハム、ベーコン(関税法7条の2第4項、関税暫定措置法別表第1の6、関税法施行令4条の3)で、自動車はこれに該当しません。

※ 納税申告

選択肢3. 環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定の規定に基づき同協定の原産品とされる貨物に係る納税申告をした者は、当該納税申告に係る貨物について同協定の規定に基づく関税の譲許の便益の適用を受けていない場合において、当該貨物につき当該譲許の便益の適用を受けることにより、当該納税申告に係る納付すべき税額が過大となるときは、当該貨物の輸入の許可の日から5年以内に限り、税関長に対し、当該納税申告に係る税額について更正の請求をすることができる。

誤り

「5年以内」という部分が誤りです。正しくは「1年以内」です。

 

更正の請求について、原則は、関税法7条の15で規定されている「輸入の許可があるまで又は当該許可の日(中略)から5年以内」ですが、

本肢は、関税暫定措置法12条の2で規定されている更正の請求の特例に該当します。同条では「納税申告(中略)をした者は、当該納税申告に係る貨物(環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(以下「環太平洋包括的及び先進的協定」という。)の規定に基づき環太平洋包括的及び先進的協定の原産品とされる貨物に限る。)について環太平洋包括的及び先進的協定の規定に基づく関税の譲許の便益の適用を受けていない場合において、当該貨物につき当該譲許の便益の適用を受けることにより、当該納税申告に係る納付すべき税額(中略)が過大となるときは、当該貨物の輸入の許可の日から1年以内に限り(中略)税関長に対し、当該納税申告に係る税額(中略)について(中略)更正の請求をすることができる。」と規定されています。

 

選択肢4. 延滞税の額の計算の基礎となる関税額が1万円未満である場合においては、延滞税の納付は要しない。

正しい

延滞税の額の計算の基礎となる関税額が1万円未満である場合においては、延滞税の納付の規定を適用しないことが規定されています(関税法12条3項)。

なお、延滞税の額が千円未満である場合については、「これを徴収せず」と規定されています(関税法12条4項)。

選択肢5. 税関長は、過少申告加算税を徴収しようとするときは、納付すべき税額、納期限及び納付場所を記載した納税告知書を送達して納税の告知をしなければならない。

誤り

過少申告加算税を徴収しようとするときに納税の告知をしなければならない、としている部分が誤りです。

関税の徴収の際には原則として納税の告知が必要ですが、過少申告加算税などについては例外的に不要とされています(関税法9条の3第1項)。

まとめ

それぞれ、特例にあたる場合について確認しておきましょう。

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