通関士の過去問
第53回(令和元年)
通関書類の作成要領その他通関手続の実務 問49

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問題

通関士試験 第53回(令和元年) 通関書類の作成要領その他通関手続の実務 問49 (訂正依頼・報告はこちら)

次の取引内容に係る輸入貨物の課税価格を計算し、その額をマークしなさい。

1  本邦の輸入者M(買手)は、A国所在の映像プロデュース会社である輸出者X(売手)との間において、同国所在の映像作家であるZが同国において制作した映像を記録したDVD1,000枚に係る売買契約を締結し、当該契約により当該DVD1,000枚を輸入する。
2  MとXとの間の当該売買契約において、当該DVDの単価(FOB価格)は2,700円とされており、その内訳は次のとおりとされている。
 イ  DVDに記録されている当該映像の価格・・・・・・・・・・・・・・・・・1,600円
 ロ  DVD本体(キャリアメディア)の価格・・・・・・・・・・・・・・・・・・200円
 ハ  DVDへの当該映像の記録費用・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・550円
 ニ  DVDの容器(通常の容器)の費用・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・350円
3  Mは、当該DVDの輸入に関連して、当該DVDがA国から本邦の輸入港に到着するまでの運送に要する運賃及び保険料として110,000円を負担する。
4  当該DVDにはXの商標が付されている。Mは、本邦においてXの商標が付された当該DVD1,000枚を単価4,000円で販売し、すべてのものが売却された。
5  Mは、Xから当該DVDを購入するに当たり、Xとの間においてライセンス契約を締結し、当該ライセンス契約に基づき、当該売買契約に係る代金とは別に、当該DVDに付されているXの商標の使用に伴う対価(ロイヤルティ)として、本邦における当該DVDの販売価格の10%をXに支払うこととされている。
6  M、X及びZのいずれの間においても特殊関係はない。
  • 3201000
  • 3210000
  • 3215000
  • 3220000
  • 3221000

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この過去問の解説 (3件)

01

<輸入貨物の課税価格計算>
正解は2の3,210,000円

【解説】
 外国の輸出業者からDVDを買い入れた輸入貨物の課税価格の計算は次の通りです。

1: 現実支払価格
通常、ソフトウェアはキャリアメディアと区別されますが、関税定率法基本通達第4-5(1)から、ソフトウェアはサウンド、シネマチック及びビデオ・レコーディングは含まないとあります。従って今回の映像が記録されたDVDの場合、同法基本通達4-5(2)イに掲げられているように、ソフトウェアとの価格がキャリアメディアの価格と区別されたとしても分けて計算することはありません。2,700円×1,000枚=2,700,000円・・・①

2: 加算要素
(設問3 ) 同法第4条第1項第1号より、A国から本邦の輸入港までの運送に要する費用は加算になります。110,000円・・・②
(設問4及び5)同法第4条第1項第4号より、当該DVDに付されている商標の使用に伴う対価(ロイヤリティ)は加算になります。4,000円×1,000枚×10%=400,000円・・・③

3: 非加算の費用
今回、非加算要素はありません。

従って、課税価格は➀+②+③=3,210,000円

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02

輸入貨物の課税価格を計算する関税評価の問題です。

選択肢2. 3210000

現実支払価格

① 2,700,000円 (2,700円×1,000枚=2,700,000円)

加算要素

② 110,000円 問3) 本邦の輸入港までの運送に要する費用

③ 400,000円 問4、5)商標の使用に伴う対価(ロイヤルティ)

※③商標の使用に伴う対価(ロイヤルティ)に関する補足です。

関税定率法第4条第1項4に、加算しなければならないものとして規定されております。

「当該輸入貨物に係る特許権、意匠権、商標権その他これらに類するもの(当該輸入貨物を本邦において複製する権利を除く。)で政令で定めるものの使用に伴う対価で、当該輸入貨物に係る取引の状況その他の事情からみて当該輸入貨物の輸入取引をするために買手により直接又は間接に支払われるもの」

したがって、本問についても、加算要素として計算が必要です。

ただし、全てのロイヤルティが課税価格に含まれるわけではありません。

加算要素となるロイヤルティは、

「輸入貨物に係るもので、輸入取引をするために、買手により直接または間接に支払われるもの」に限られています。

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03

本問は、輸入貨物の課税価格を求める問題です。

選択肢2. 3210000

正しい選択肢です。

 

1.  まず、現実支払価格は、

 2,700円×1,000枚=2,700,000円

 

 ・映像の価格とキャリアメディアの価格、記録費用が区別して挙げられており、キャリアメディアと記録されたものを区別して評価する必要があるか、判断する必要があります。

 この点、本問のDVDは、映像(シネマチック及びビデオ・レコーディング)を記録したものであり、シネマチック及びビデオ・レコーディングは、キャリアメディアと区別して扱われる「ソフトウェア」には含まれない(関税定率法基本通達4-5(1)イ但書)ため、本問のDVDの評価において、キャリアメディアと記録されたものを区別する必要はありません。

 また、記録費用の評価も必要ありません(関税定率法基本通達4-5(2)ロは「ソフトウェア」の記録費用について規定)。

 ・また、容器の費用も挙げられていますが、容器の費用は仕入書価格に含まれていない場合に加算要素に該当するか検討すべきものであり、本問ではFOB価格に含まれているため、特に検討する必要はありません。

 

2. 次に、本問に挙げられた各費用が加算要素に該当するか検討します。

 問題文3

  Mが支払った、当該DVDの輸入に関連して、当該DVDがA国から本邦の輸入港に到着するまでの運送に要する運賃及び保険料 110,000円

  →加算要素に該当

 「当該輸入貨物が輸入港に到着するまでの運送に要する運賃、保険料」(関税定率法4条1項1号)に該当

 

 問題文4、5

  ライセンス契約に基づき、MがXに対し支払った、当該DVDに付されているXの商標の使用に伴う対価 400,000円

(本邦における当該DVDの販売価格の10%・DVD1,000枚を単価4,000円で販売し、すべてのものが売却された→4,000円×1,000枚×10%)

  →加算要素に該当

 「当該輸入貨物に係る特許権、意匠権、商標権その他これらに類するもの(中略)の使用に伴う対価で、(中略)買手により直接又は間接に支払われるもの」(関税定率法4条1項4号)に該当

 

 以上より、加算要素に該当する費用の合計額は、

 110,000+400,000=510,000円

 

3. 課税価格は現実支払価格+加算要素に該当する費用の合計額なので、

 2,700,000+510,000=3,210,000円となります。

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