通関士の過去問
第53回(令和元年)
通関書類の作成要領その他通関手続の実務 問55
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問題
通関士試験 第53回(令和元年) 通関書類の作成要領その他通関手続の実務 問55 (訂正依頼・報告はこちら)
次の記述は、環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(以下「TPP11協定」という。)における関税についての特別の規定による便益に係る税率(以下「TPP11協定税率」という。)の適用に関するものであるが、その記述の誤っているものはどれか。一つを選び、その番号をマークしなさい。なお、誤っている記述がない場合には、「該当なし」をマークしなさい。
- TPP11協定に基づく締約国原産品申告書は、これに係る貨物につき関税法第73条第1項の規定に基づき輸入の許可前における貨物の引取りの承認を受ける場合には、当該貨物に係る輸入申告後相当と認められる期間内に提出しなければならない。
- TPP11協定に基づく締約国原産品申告書は、これに係る貨物の輸入申告の日において、その作成の日から6月以上を経過したものであってはならない。
- 税関長は、TPP11協定の規定に基づきTPP11協定税率の適用を受けようとする貨物を輸入する者がTPP11協定税率の適用を受けるために必要な手続をとらないときは、当該貨物について、TPP11協定の規定に基づき、TPP11協定税率の適用をしないことができることとされている。
- 関税法第7条第3項の規定に基づく事前照会に対する文書による回答においてTPP11協定に基づいた原産品であるとの回答を受けた貨物と同一の産品について、TPP11協定税率の適用を受けようとする場合において、その回答書に係る登録番号を当該産品の輸入申告書の「添付書類」欄に記載したときは、税関長が当該産品の原産性に疑義があると認めた場合を除き、当該貨物の契約書、仕入書、価格表、総部品表、製造工程表その他の当該産品がTPP11協定の原産品とされるもの(締約国原産品)であることを明らかにする書類を提出することを要しないこととされている。
- 税関長は、輸入申告がされた貨物について、TPP11協定税率を適用する場合において、当該貨物がTPP11協定の規定に基づきTPP11協定の締約国の原産品とされるもの(締約国原産品)であるかどうかの確認をするために必要があるときは、TPP11協定の規定に基づき、当該貨物を輸入する者に対し、当該貨物が締約国原産品であることを明らかにする資料の提供を求める方法により、その確認をすることができる。
- 該当なし
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この過去問の解説 (3件)
01
【解説】
経済連携協定(EPA)に関する問題になります。近年、TPP11協定や日EU協定を皮切りに、二国間の経済発展を促す趣旨のバイ協定から、多国間の経済連携を意図したメガ協定が主流になってきています。もちろん、今までの協定は、第三者機関が証明する原産地証明書を取得してきましたが、近年は輸出者や輸入者、製造者等貨物に関わった者が自分で原産性を証明する自己証明制度に変わりつつあります。本問ではTPP11協定が題材にされていますが、その他の協定も理解をして違いを抑えましょう。
1.正解です。
関税法施行令第64条第4項より、TPP11協定に基づく締約国原産地証明書は、関税法第73第1項の規定に基づき輸入の許可前における貨物の引取りの承認を受ける場合には、当該貨物の輸入申告後相当と認められる期間内に提出しなければいけません。これは、TPP11だけでなく、どの経済連携協定にも当てはまりますが、証明書の名称は締約国原産地証明書、締約国品目証明書と変わります。
2.誤りです。
関税法施行令第64条第5項より、TPP11協定に基づく締約国原産地証明書は、その作成の日から1年以上を経過したものではならないとあります。
3.正解です。
関税暫定法措置法第12条の4第6項第2号より、TPP11協定の規定に基づきTPP11協定税率の適用を受けようとする貨物を輸入する者がTPP11協定税率の適用を受けるために必要な手続きをとらないときは、当該貨物について、TPP11協定に基づき、TPP11協定税率の適用をしないことができるとされています。本文において、TPP11協定と縛らず、経済連携協定とありますので、どの協定にもこの法律は当てはまります。よく、輸入者、通関業者が誤って経済連携協定の譲許の便益の適用を受ける必要な手続きを忘れて重大な事故につながる場合がありますので、皆さんも注意しましょう。
4.正解です。
大前提として、関税法施行令第61条第1項第2号イ(2)より、TPP11協定税率の便益の適用を受けて輸入申告をする場合、当該貨物の契約書、仕入書、価格表総部品表、製造工程表その他の当該貨物が当該締約国原産品であることを明らかにする書類を、税関長がその提出に必要のない場合を除いて)、必要であると定めています。
例外的に、関税法基本通達68-5-11の4(2)ハ(ロ)より、関税法第7条第3項の規定に基づく事前照会に対する文書を受けた同一の貨物であって、当該回答書に係る登録番号を輸入申告の「添付書類」に記載した場合は、税関長が書類の提出の必要のないときに該当し、当該貨物の契約書、仕入書、価格表総部品表、製造工程表その他の当該貨物が当該締約国原産品であることを明らかにする書類の提出は不要と定めています。しかし、税関長が当該産品の原産性に疑義があると認めた時は除きます。
5.正解です。
関税暫定法措置法第12条の4第1項第1号により、税関長は、輸入申告がされた貨物において、当該貨物がTPP11協定の規定に基づきTPP11協定の締約国の原産品とされるもの(締約国原産品)であるかどうかの確認をするために必要があるときは、TPP11協定に基づき、当該貨物を輸入するものに対し、当該貨物が締約国原産品であることを明らかにする資料を求める方法により、その確認をすることができるとあります。本文において、TPP11協定と縛らず、経済連携協定とありますので、どの協定にもこの法律は当てはまります。
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02
環太平洋パートナーシップに関する、経済連携協定に関する問題です。
他の協定と共通した内容については、確実に正解出来るようにしておいて下さい。
正しい内容です。
関税法施行令第61条4に、締約国原産地証明書、締約国原産品申告書等及び締約国品目証明書は、これらに係る貨物の輸入申告又は郵便物の輸出入の簡易手続の検査その他郵便物に係る税関の審査の際、輸入の許可前における貨物の引取りに規定する税関長の承認を受ける場合には、その申告又は審査後相当と認められる期間内に、提出しなければならないと規定されております。
誤った内容です。
締約国原産地証明書及び締約国原産品申告書は、これらに係る貨物の輸入申告の日において、その発給又は作成の日から一年以上を経過したものであつてはならない。ただし、災害その他やむを得ない理由によりその期間を経過したものであるときは、この限りでないと規定されております。
正しい内容です。
関税暫定措置法12条の4第6項2号に、当該貨物を輸入する者が当該譲許の便益の適用を受けるために必要な手続をとらないときは、便益の適用を受けようとする貨物について、当該経済連携協定の規定に基づき、当該譲許の便益を与えないことができるとされております。
正しい内容です。
関税法基本通達68-5-11の4(2)ハ(ロ)に、本問の内容が規定されております。
正しい内容です。
関税暫定措置法12条の4第1項1号に、税関長は、原産品とされるものであるかどうかの確認をするために必要があるときは、当該貨物を輸入する者に対し、当該貨物が締約国原産品であることを明らかにする資料の提供を求める方法により、確認をすることが出来ると規定されております。
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03
本問は、環太平洋包括的及び先進的協定における関税についての特別の規定による便益を適用する場合の手続きについて知識を問う問題です。
正しい
関税法施行令61条4項本文の通りです。
「締約国原産地証明書、締約国原産品申告書等及び締約国品目証明書は、(中略)当該貨物につき法第73条第1項(輸入の許可前における貨物の引取り)に規定する税関長の承認を受ける場合には、その申告又は審査後相当と認められる期間内)に、提出しなければならない」と規定されています(関税法施行令61条4項本文)。
誤り
「6月以上」という部分が誤りです。正しくは「1年以上」です。
「締約国原産品申告書は、これらに係る貨物の輸入申告の日(中略)において、その発給又は作成の日から1年以上を経過したものであつてはならない。ただし、災害その他やむを得ない理由によりその期間を経過したものであるときは、この限りでない。」と規定されています(関税法施行令61条5項)。
正しい
関税暫定措置法12条の4第6項2号の通りです。
関税暫定措置法12条の4第6項柱書では「税関長は、次の各号のいずれかに該当する場合においては、経済連携協定の規定に基づき関税の譲許の便益の適用を受けようとする貨物について、当該経済連携協定の規定に基づき、当該譲許の便益を与えないことができる。」と規定され、同項2号には「当該貨物を輸入する者が当該譲許の便益の適用を受けるために必要な手続をとらないとき。」が規定されています。
正しい
事前教示制度を利用して、締約国原産品である旨の回答を得た場合には、輸入申告時に当該回答書の番号を輸入(納税)申告書に記載することにより、原産品であることを明らかにする書類の提出を省略することができます。また、当該回答書の内容は、発出後3年間、法令等の改正により取扱いが変わった場合等を除き、輸入申告時の審査の際に尊重されます(関税法基本通達7-18)。
正しい
税関長は、輸入申告がされた貨物について、経済連携協定の規定に基づき関税の譲許の便益を適用する場合において、締約国原産品か確認をするために必要があるときは、当該経済連携協定の規定に基づき、
当該貨物を輸入する者に対し、当該貨物が締約国原産品であることを明らかにする資料の提供を求める方法などをとることができると規定されています(関税暫定措置法12条の4第1項1号)。
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