通関士 過去問
第55回(令和3年)
問98 (通関書類の作成要領その他通関手続の実務 問98)
問題文
次の取引内容に係る輸入貨物の課税価格を計算しなさい。
1 本邦の輸入者Mは、A国の輸出者Xに生地を無償で提供し、当該生地によりA国で生産された鞄1,000個を取得することを内容とする委託加工契約を締結し、当該契約により当該鞄1,000個を輸入する。
2 MとXとの間の当該契約における当該鞄1,000個の加工賃(EXW価格)は、4,500,000円である。
3 Mは、本邦の生地生産工場Nから当該生地を2,000,000円で取得する。なお、Nが当該生地の生産に要する費用は、1,400,000円である。また、Mは、当該生地をXに提供するために要する運賃80,000円及び保険料30,000円を負担する。
4 Xは、A国における当該生地の輸入通関手続に要する費用10,000円を負担する。
5 Mは、この取引に関連してA国所在のYと委託契約を締結する。Yは、当該委託契約により、Mの管理の下で、Mの計算と危険負担により、当該鞄の引渡しに関する業務を行う。Mは、当該業務の対価として50,000円の手数料をYに支払う。
6 Mは、上記費用等とは別に当該鞄の輸入に関し、次に掲げる費用等を負担する。
イ A国のXの工場から輸出港までの運送に要する運賃及び保険料・・・82,000円
ロ コンテナー賃借料・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 30,000円
ハ 輸出港から輸入港までの運送に要する運賃及び保険料・・・・・・203,000円
ニ 輸入港における船卸しに要する費用・・・・・・・・・・・・・・ 55,000円
ホ 輸入港からMの販売店までの運送に要する運賃及び保険料・・・・ 36,000円
7 Xは、Mから提供を受けた生地を全て使用して当該契約に係る当該鞄1,000個を生産するものとする。
8 M、N、X及びYの間には、それぞれ特殊関係はない。
1 本邦の輸入者Mは、A国の輸出者Xに生地を無償で提供し、当該生地によりA国で生産された鞄1,000個を取得することを内容とする委託加工契約を締結し、当該契約により当該鞄1,000個を輸入する。
2 MとXとの間の当該契約における当該鞄1,000個の加工賃(EXW価格)は、4,500,000円である。
3 Mは、本邦の生地生産工場Nから当該生地を2,000,000円で取得する。なお、Nが当該生地の生産に要する費用は、1,400,000円である。また、Mは、当該生地をXに提供するために要する運賃80,000円及び保険料30,000円を負担する。
4 Xは、A国における当該生地の輸入通関手続に要する費用10,000円を負担する。
5 Mは、この取引に関連してA国所在のYと委託契約を締結する。Yは、当該委託契約により、Mの管理の下で、Mの計算と危険負担により、当該鞄の引渡しに関する業務を行う。Mは、当該業務の対価として50,000円の手数料をYに支払う。
6 Mは、上記費用等とは別に当該鞄の輸入に関し、次に掲げる費用等を負担する。
イ A国のXの工場から輸出港までの運送に要する運賃及び保険料・・・82,000円
ロ コンテナー賃借料・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 30,000円
ハ 輸出港から輸入港までの運送に要する運賃及び保険料・・・・・・203,000円
ニ 輸入港における船卸しに要する費用・・・・・・・・・・・・・・ 55,000円
ホ 輸入港からMの販売店までの運送に要する運賃及び保険料・・・・ 36,000円
7 Xは、Mから提供を受けた生地を全て使用して当該契約に係る当該鞄1,000個を生産するものとする。
8 M、N、X及びYの間には、それぞれ特殊関係はない。
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問題
通関士試験 第55回(令和3年) 問98(通関書類の作成要領その他通関手続の実務 問98) (訂正依頼・報告はこちら)
次の取引内容に係る輸入貨物の課税価格を計算しなさい。
1 本邦の輸入者Mは、A国の輸出者Xに生地を無償で提供し、当該生地によりA国で生産された鞄1,000個を取得することを内容とする委託加工契約を締結し、当該契約により当該鞄1,000個を輸入する。
2 MとXとの間の当該契約における当該鞄1,000個の加工賃(EXW価格)は、4,500,000円である。
3 Mは、本邦の生地生産工場Nから当該生地を2,000,000円で取得する。なお、Nが当該生地の生産に要する費用は、1,400,000円である。また、Mは、当該生地をXに提供するために要する運賃80,000円及び保険料30,000円を負担する。
4 Xは、A国における当該生地の輸入通関手続に要する費用10,000円を負担する。
5 Mは、この取引に関連してA国所在のYと委託契約を締結する。Yは、当該委託契約により、Mの管理の下で、Mの計算と危険負担により、当該鞄の引渡しに関する業務を行う。Mは、当該業務の対価として50,000円の手数料をYに支払う。
6 Mは、上記費用等とは別に当該鞄の輸入に関し、次に掲げる費用等を負担する。
イ A国のXの工場から輸出港までの運送に要する運賃及び保険料・・・82,000円
ロ コンテナー賃借料・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 30,000円
ハ 輸出港から輸入港までの運送に要する運賃及び保険料・・・・・・203,000円
ニ 輸入港における船卸しに要する費用・・・・・・・・・・・・・・ 55,000円
ホ 輸入港からMの販売店までの運送に要する運賃及び保険料・・・・ 36,000円
7 Xは、Mから提供を受けた生地を全て使用して当該契約に係る当該鞄1,000個を生産するものとする。
8 M、N、X及びYの間には、それぞれ特殊関係はない。
1 本邦の輸入者Mは、A国の輸出者Xに生地を無償で提供し、当該生地によりA国で生産された鞄1,000個を取得することを内容とする委託加工契約を締結し、当該契約により当該鞄1,000個を輸入する。
2 MとXとの間の当該契約における当該鞄1,000個の加工賃(EXW価格)は、4,500,000円である。
3 Mは、本邦の生地生産工場Nから当該生地を2,000,000円で取得する。なお、Nが当該生地の生産に要する費用は、1,400,000円である。また、Mは、当該生地をXに提供するために要する運賃80,000円及び保険料30,000円を負担する。
4 Xは、A国における当該生地の輸入通関手続に要する費用10,000円を負担する。
5 Mは、この取引に関連してA国所在のYと委託契約を締結する。Yは、当該委託契約により、Mの管理の下で、Mの計算と危険負担により、当該鞄の引渡しに関する業務を行う。Mは、当該業務の対価として50,000円の手数料をYに支払う。
6 Mは、上記費用等とは別に当該鞄の輸入に関し、次に掲げる費用等を負担する。
イ A国のXの工場から輸出港までの運送に要する運賃及び保険料・・・82,000円
ロ コンテナー賃借料・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 30,000円
ハ 輸出港から輸入港までの運送に要する運賃及び保険料・・・・・・203,000円
ニ 輸入港における船卸しに要する費用・・・・・・・・・・・・・・ 55,000円
ホ 輸入港からMの販売店までの運送に要する運賃及び保険料・・・・ 36,000円
7 Xは、Mから提供を受けた生地を全て使用して当該契約に係る当該鞄1,000個を生産するものとする。
8 M、N、X及びYの間には、それぞれ特殊関係はない。
- 6,974,000円
- 6,975,000円
- 6,976,000円
- 6,985,000円
- 6,995,000円
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この過去問の解説 (3件)
01
【正解】
697,5000
【解説】
1.契約価格(EXW価格)(2)
鞄1,000個分の加工賃4,500,000円を課税価格の計算の基礎とします。
2.MがXに提供した生地の取得価格(3)…算入(2,000,000円加算)
問題文8より,MとXの間には、特殊関係はないので,生産費ではなく、
取得費 用2,000,000円を課税価格に算入します。
3.Mが負担する生地の提供のための運賃・保険料(3)…算入
(110,000円加算)
Mが負担した、生地をXに提供するために要した運賃80,000円と
保険料30,000円 (合計110,000円)は課税価格に算入します。
4.A国における生地の輸入通関費用(4)…算入しません。
5.MがYに支払う手数料(5)…算入(50,000円加算)
Yは買手Mの管理の下で、Mの計算と危険により、
貨物の引き渡しに関する業務を行っており、
これについてMがYに支払う手数料は課税価格に算入します。
なお、買手の管理の下で買手の計算と危険負担により、
商品の引渡しを行うことは買付けに係る業務に該当しますが、
委託加工貿易取引は売買そのものではなく「買付け」という行為が存在しないため、
買付手数料を非加算とする取扱いはないです。
6.Xの工場から輸出港までの運賃・保険料(6イ)…算入(82,000円加算)
7.コンテナー賃借料(5ロ)…算入(30,000円加算)
8.輸出港から輸入港までの運送に要する運賃・保険料(5ハ)…算入
(203,000円加算)
9.輸入港における船卸しに要する費用(5ニ)…算入しません
10.輸入港からMの販売店までの運送に要する運賃及び保険料(5ホ)
…算入しません
以上より、課税価格は以下のようになります。
4,500,000円+2,000,000円+110,000円+50,000円+82,000円
+30,000円+203,000円 =6,975,000円
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02
加算するもの
・鞄1,000個分の加工賃4,500,000円が、課税価格の計算の基礎になります。
・MとXの間には特殊関係はないので、MがXに提供した生地の価格2,000,000円は加算します。
・Mが負担した、生地をXに提供する際の運賃80,000円と保険料30,000円 (合計110,000円)は課税価格に加算します。
・MがYに支払う手数料50,000円は加算します。
・Xの工場から輸出港までの運賃・保険料82,000円は加算します。
・コンテナ賃借料30,000円は加算します。
・輸出港から輸入港までの運送に要する運賃・保険料203,000円は加算します。
加算しないもの
・生地の輸入通関費用
・輸入港における船卸しに要する費用
・輸入港からMの販売店までの運送に要する運賃及び保険料
以上より、課税価格の計算は以下になります。
4,500,000円+2,000,000円+110,000円+50,000円+82,000円+30,000円+203,000円
=6,975,000円
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03
本問は、委託加工貿易において材料を無償提供した場合の課税価格の求め方について問う問題です。
課税価格は、原則として、「現実に支払われた又は支払われるべき価格」に、その含まれていない限度において運賃等の額を加えた価格(取引価格)とすることが規定されています(関税定率法4条1項柱書)。
そして、本問のように、本邦にある委託者から委託を受けた受託者が、委託者から提供された材料を外国において加工等して、委託者ができた製品を取得することを内容とする取引(委託加工契約)に基づき当該製品が本邦に到着することとなる場合について、
委託加工契約を輸入取引、当該委託者を買手、当該受託者を売手、当該加工等の対価として現実に支払われた又は支払われるべき額を輸入貨物につき現実に支払われた又は支払われるべき価格とみなすことが規定されています(関税定率法4条3項)。
本問のM、N、XおよびYの間には特殊関係がない(問題文8より)ので、関税定率法4条3項、1項により課税価格を決定します。
1. 本問のM、N、XおよびYの間には特殊関係がない(問題文8より)ので、関税定率法4条3項、1項により課税価格を決定します。
2. 現実支払価格は4,500,000円です。
(関税定率法4条3項、Mにより加工賃としてXに対し支払われた金額、問題文2より)
3. 次に、本問に挙げられた各費用が加算要素に該当するか検討します。
問題文3
・生地の取得費用2,000,000円
→加算要素に該当
「輸入貨物に組み込まれている材料、部分品又はこれらに類するもの」(関税定率法4条1項3号イ)に該当
・Mが生地をXに提供するために要する運賃80,000円、保険料30,000円合計110,000円
→加算要素に該当
「買手が当該物品を取得するために通常要する費用」(関税定率法4条1項3号イ、関税定率法施行令1条の5第2項2号)に該当
問題文4
A国における生地の輸入通関手続に要した費用 10,000円
→加算要素に該当しない
「買手が当該物品を取得するために通常要する費用」(関税定率法4条1項3号イ、関税定率法施行令1条の5第2項2号)に該当しません。
問題文5
鞄の引渡しに関する業務についてYに支払った手数料 50,000円
→加算要素に該当
「仲介料その他の手数料」(関税定率法4条1項2号イ)に該当(関税定率法基本通則4-9(3)イ)
問題文6
Mが負担したその他の費用
イ Xの工場から輸出港までの運送に要する運賃及び保険料 82,000円
→加算要素に該当
「当該輸入貨物が輸入港に到着するまでの運送に要する運賃(中略)保険料」(関税定率法4条1項1号)に該当
ロ コンテナー賃借料 30,000円
→加算要素に該当
「その他当該運送に関連する費用」(関税定率法4条1項1号)に該当(関税定率法基本通達4-8(5)ハより)
ハ 輸出港から輸入港までの運送に要する運賃及び保険料 203,000円
→加算要素に該当
「当該輸入貨物が輸入港に到着するまでの運送に要する運賃(中略)保険料」(関税定率法4条1項1号)に該当
ニ 輸入港における船卸しに要する費用 55,000円
→加算要素に該当しない
「輸入港までの運賃等は、次に掲げるような輸入貨物の輸入港到着後の運賃等を含まない」(関税定率法基本通達4-8(7)より)
ホ 輸入港からMの販売店までの運送に要する運賃及び保険料 36,000円
→加算要素に該当しない
「輸入港までの運賃等は、次に掲げるような輸入貨物の輸入港到着後の運賃等を含まない」(関税定率法基本通達4-8(7)より)
以上より、加算要素に該当する費用の合計額は、
2,000,000+110,000+50,000+82,000+30,000+203,000=2,475,000円
4. 課税価格は現実支払価格+加算要素に該当する費用の合計額なので、
4,500,000+2,475,000=6,975,000円となります。
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