通関士の過去問
第57回(令和5年)
通関業法 問32

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問題

通関士試験 第57回(令和5年) 通関業法 問32 (訂正依頼・報告はこちら)

次の記述は、通関業の許可及び営業所の新設に関するものであるが、その記述の正しいものはどれか。一つを選びなさい。なお、正しい記述がない場合には、「該当なし」を選びなさい。
  • 通関業者の通関業の許可に条件が付されていない場合において、財務大臣が当該通関業者の通関業務を行う営業所の新設の許可を行うときは、その営業所の新設の許可に条件を付することはできない。
  • 通関業の許可を受けようとする者は、通関業許可申請書に、年間において取り扱う見込みの通関業務の量を記載した書面及び当該通関業務を依頼しようとする者の推薦状を添付しなければならない。
  • 財務大臣は、通関業の許可をしようとするときは、その許可申請に係る通関業の経営の基礎が確実であることに適合するかどうかを審査しなければならないとされており、この「通関業の経営の基礎が確実であること」とは、許可申請者の資産内容が充実し、収支の状況が健全であり、かつ、通関業務を営むための必要な設備が整っていると認められることをいうこととされている。
  • 財務大臣は、通関業務を行う営業所の新設の許可をしようとするときは、その許可申請に係る通関業務を行う営業所につき、通関業法第13条の要件を備えることとなっていることを審査しなければならないとされており、この「通関業法第13条の要件を備えることとなっていること」には、許可申請の際、通関士試験合格者を雇用する単なる見通しがある場合を含むこととされている。
  • 認定通関業者である通関業者が通関業務を行う営業所を新たに設けようとする場合には、財務大臣にその旨を届け出ることにより当該営業所を新設することはできない。
  • 該当なし

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この過去問の解説 (3件)

01

通関業の許可及び営業所の新設に関する問題です。

選択肢1. 通関業者の通関業の許可に条件が付されていない場合において、財務大臣が当該通関業者の通関業務を行う営業所の新設の許可を行うときは、その営業所の新設の許可に条件を付することはできない。

財務大臣がその営業所の新設の許可に条件を付することはできると規定されております。

😃許可に条件を付することは、財務大臣の職権です。

すでに付されている条件を変更することもできます。

選択肢2. 通関業の許可を受けようとする者は、通関業許可申請書に、年間において取り扱う見込みの通関業務の量を記載した書面及び当該通関業務を依頼しようとする者の推薦状を添付しなければならない。

通関業許可申請書に、年間において取り扱う見込みの通関業務の量を記載した書面を添付しなければならないと規定されております。

「当該通関業務を依頼しようとする者の推薦状を添付しなければならない。」という規定はないです。

選択肢3. 財務大臣は、通関業の許可をしようとするときは、その許可申請に係る通関業の経営の基礎が確実であることに適合するかどうかを審査しなければならないとされており、この「通関業の経営の基礎が確実であること」とは、許可申請者の資産内容が充実し、収支の状況が健全であり、かつ、通関業務を営むための必要な設備が整っていると認められることをいうこととされている。

正しい記述です。

😃経営の基礎がポイントです。

選択肢4. 財務大臣は、通関業務を行う営業所の新設の許可をしようとするときは、その許可申請に係る通関業務を行う営業所につき、通関業法第13条の要件を備えることとなっていることを審査しなければならないとされており、この「通関業法第13条の要件を備えることとなっていること」には、許可申請の際、通関士試験合格者を雇用する単なる見通しがある場合を含むこととされている。

許可申請の際、通関士試験合格者を雇用する単なる見通しがある場合を含むこととされている。」という記述が誤っています。

😃通関士となるべき者の名簿及び履歴書を添付しなければならないと規定されております。

「見通し」が実際の結果と一致しない可能性が高いので、判断の基準にならないですね。

選択肢5. 認定通関業者である通関業者が通関業務を行う営業所を新たに設けようとする場合には、財務大臣にその旨を届け出ることにより当該営業所を新設することはできない。

認定通関業者である通関業者が通関業務を行う営業所を新たに設けようとする場合には、財務大臣にその旨を届け出ることにより当該営業所を新設することはできると規定されております。

😃認定通関業者→届出ok

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02

通関業法等に規定されている、通関業の許可及び営業所の新設に関する問題です。

選択肢1. 通関業者の通関業の許可に条件が付されていない場合において、財務大臣が当該通関業者の通関業務を行う営業所の新設の許可を行うときは、その営業所の新設の許可に条件を付することはできない。

誤った内容です。

財務大臣が当該通関業者の通関業務を行う営業所の新設の許可を行うときは、その営業所の新設の許可に条件を付することができると規定されております。

(通関業法第3条第2項)

選択肢2. 通関業の許可を受けようとする者は、通関業許可申請書に、年間において取り扱う見込みの通関業務の量を記載した書面及び当該通関業務を依頼しようとする者の推薦状を添付しなければならない。

誤った内容です。

営業所の新設の許可の申請手続に掲げる書類とは、通関業務の用に供される資産の明細を記載した書面及び行われる見込みの通関業務の量の算出の基礎を記載した書面であると規定されております。

(通関業法基本通達9-1)

選択肢3. 財務大臣は、通関業の許可をしようとするときは、その許可申請に係る通関業の経営の基礎が確実であることに適合するかどうかを審査しなければならないとされており、この「通関業の経営の基礎が確実であること」とは、許可申請者の資産内容が充実し、収支の状況が健全であり、かつ、通関業務を営むための必要な設備が整っていると認められることをいうこととされている。

正しい内容です。

「通関業の経営の基礎が確実であること」とは、申請者の資産内容が充実し、収支の状況が健全であり(申請者に繰越欠損金がなく、当期利益がある。)、かつ、通関業務を営むための必要な設備が整っていると認められることをいうと規定されております。

(通関業法基本通達5-1(1))

選択肢4. 財務大臣は、通関業務を行う営業所の新設の許可をしようとするときは、その許可申請に係る通関業務を行う営業所につき、通関業法第13条の要件を備えることとなっていることを審査しなければならないとされており、この「通関業法第13条の要件を備えることとなっていること」には、許可申請の際、通関士試験合格者を雇用する単なる見通しがある場合を含むこととされている。

誤った内容です。

「第13条の要件を備えることとなつていること」とは、申請の際、通関士試験合格者を現に雇用しているか、又は通関士試験合格者を雇用することが雇用契約等により確実と認められる場合をいい、単なる見通しは含まれないと規定されております。

(通関業法基本通達5-4)

選択肢5. 認定通関業者である通関業者が通関業務を行う営業所を新たに設けようとする場合には、財務大臣にその旨を届け出ることにより当該営業所を新設することはできない。

誤った内容です。

認定通関業者の営業所の新設に係る届出手続については、「営業所新設届出書」に同条第2項に規定する書面を添付して提出することにより行うことができると規定されております。

(通関業法基本通達8-6)

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03

本問は、通関業の許可、営業所の新設の手続きと許可基準について問う問題です。

選択肢1. 通関業者の通関業の許可に条件が付されていない場合において、財務大臣が当該通関業者の通関業務を行う営業所の新設の許可を行うときは、その営業所の新設の許可に条件を付することはできない。

誤り

営業所の新設の許可に、財務大臣は条件を付することができ(通関業法8条2項、3条2項)、その際、通関業者の通関業の許可に条件が付されていることは必要とされていません。

選択肢2. 通関業の許可を受けようとする者は、通関業許可申請書に、年間において取り扱う見込みの通関業務の量を記載した書面及び当該通関業務を依頼しようとする者の推薦状を添付しなければならない。

誤り

通関業の許可申請について、「当該通関業務を依頼しようとする者の推薦状」の許可申請書への添付は必要とされていません。

(通関業法基本通達4-2(7)ロでは、「提出を求める書類は必要最小限のものとし、主要荷主等依頼者の推薦 状及び委任状といった書類を求めることのないよう留意する」と規定されてもいます。)
 

なお、「年間において取り扱う見込みの通関業務の量及びその算定の基礎を記載した書面」は、通関業許可申請書に添付することとされています(通関業法施行規則1条6号)。

選択肢3. 財務大臣は、通関業の許可をしようとするときは、その許可申請に係る通関業の経営の基礎が確実であることに適合するかどうかを審査しなければならないとされており、この「通関業の経営の基礎が確実であること」とは、許可申請者の資産内容が充実し、収支の状況が健全であり、かつ、通関業務を営むための必要な設備が整っていると認められることをいうこととされている。

正しい

通関業の許可基準として、「許可申請に係る通関業の経営の基礎が確実であること」が規定されています(通関業5条1号)。そして、「経営の基礎が確実であること」の意義は通関業法基本通達5-1(1)に規定されています。

 

通関業法基本通達5-1(1)では、「経営の基礎が確実であること」とは、「申請者の資産内容が充実し収支の状況が健全であり(申請者に繰越欠損金がなく、当期利益がある。)、かつ、通関業務を営むための必要な設備(例えば、予定される通関業務に係る取扱貨物の種類及び量に応じた営業所並びに通関書類等の作成及び保存に必要な設備)が整っていると認められること」とされています。

選択肢4. 財務大臣は、通関業務を行う営業所の新設の許可をしようとするときは、その許可申請に係る通関業務を行う営業所につき、通関業法第13条の要件を備えることとなっていることを審査しなければならないとされており、この「通関業法第13条の要件を備えることとなっていること」には、許可申請の際、通関士試験合格者を雇用する単なる見通しがある場合を含むこととされている。

誤り

「通関業法第13条の要件を備えることとなっていること」には、「許可申請の際、通関士試験合格者を雇用する単なる見通しがある場合を含む」としているところが誤りです。

 

営業所の新設の許可にあたっては、その許可申請に係る通関業務を行う営業所につき、通関業法第13条の要件を備えることとなっていることを審査しなければならないとされています(通関業法8条2項、5条3号)。

そして通関業法基本通達5-4では、「通関業法第13条の要件を備えることとなっていること」とは、「申請の際、通関士試験合格者を現に雇用しているか、又は通関士試験合格者を雇用することが雇用契約等により確実と認められる場合をいい、単なる見通しは含まれない」とされています。

選択肢5. 認定通関業者である通関業者が通関業務を行う営業所を新たに設けようとする場合には、財務大臣にその旨を届け出ることにより当該営業所を新設することはできない。

誤り

認定通関業者が営業所を新設する場合は、届出書を財務大臣に提出することとされています(通関業法9条、通関業法施行令2条)。

 

認定通関業者は、通関業務その他の輸出及び輸入に関する業務を適正かつ確実に遂行することができるものと認められる旨、税関長の認定を受けているので、許可申請(営業所新設が認められないことがある)よりも緩やかな手続きである届出(基本的に届け出たとおり営業所新設できる)で足りるとされています。

まとめ

●通関業許可申請の必要書類は、通関業法4条、通関業法施行規則1条に規定されています。

・許可申請書

・許可申請書の添付書類として以下のもの

 1 申請者の住民票の写し又はこれに代わる書面及び履歴書

  法人の場合は、定款、登記事項証明書並びに役員名簿及び履歴書
 2 申請者(申請者が法人である場合には、当該法人及びその役員)が欠格事由に該当しない旨の宣誓書
 3 申請者(申請者が法人である場合には、その役員)が「破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者」に該当しない旨の官公署の証明書又はこれに代わる書面
 4 通関士となるべき者その他の通関業務の従業者(申請者が法人である場合における通関業務を担当する役員を含む。)の名簿及びこれらの者の履歴書
 5 申請者が通関業以外の事業を営んでいる場合、その事業の概要、規模及び最近における損益の状況を示す書面
 6 年間において取り扱う見込みの通関業務の量及びその算定の基礎を記載した書面
 7 その他参考となるべき書面

 

●通関業許可と営業所の新設許可の許可基準は、それぞれ通関業法5条、8条2項に規定されています。確認しておきましょう。

【通関業の許可基準】
 1 許可申請に係る通関業の経営の基礎が確実であること。
 2 許可申請者が、その人的構成から見て、行おうとする通関業務を適正に遂行することができる能力と十分な社会的信用を有すること。
 3 許可申請に係る通関業を営む営業所につき、法令上必要な数の通関士が設置されていること。

 

【営業所の新設許可の基準】(上の通関業の許可基準の1,2)

 1 許可申請者が、その人的構成から見て、行おうとする通関業務を適正に遂行することができる能力と十分な社会的信用を有すること。
 2 許可申請に係る通関業を営む営業所につき、法令上必要な数の通関士が設置されていること。

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