通関士 過去問
第58回(令和6年)
問34 (通関業法 問34)
問題文
次の記述は、通関業法第10条に規定する通関業の許可の消滅及び同法第11条に規定する通関業の許可の取消しに関するものであるが、その記述の正しいものはどれか。一つを選びなさい。なお、正しい記述がない場合には、「該当なし」を選びなさい。
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問題
通関士試験 第58回(令和6年) 問34(通関業法 問34) (訂正依頼・報告はこちら)
次の記述は、通関業法第10条に規定する通関業の許可の消滅及び同法第11条に規定する通関業の許可の取消しに関するものであるが、その記述の正しいものはどれか。一つを選びなさい。なお、正しい記述がない場合には、「該当なし」を選びなさい。
- 財務大臣は、法人である通関業者が解散したときは、その通関業の許可を取り消すことができる。
- 通関業者が破産手続開始の申立てを行ったときは、当該通関業者の通関業の許可は消滅する。
- 通関業を廃止したことにより通関業の許可が消滅した場合において、現に進行中の通関手続があるときは、当該手続については、依頼者の指示する通関業者に引き継がなければならない。
- 財務大臣は、偽りその他不正の手段により通関業の許可を受けたことが判明した通関業者について、その通関業の許可の取消しをしようとする場合には、当該通関業者の意見を聞かなければならない。
- 財務大臣は、法人である通関業者の役員が関税法第108条の4(輸出してはならない貨物を輸出する罪)の規定に該当する違反行為をして罰金の刑に処せられたときは、その通関業の許可を取り消すことができる。
- 該当なし
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この過去問の解説 (3件)
01
正しい記述は次の一つだけです。
「財務大臣は、法人である通関業者の役員が関税法第108条の4(輸出してはならない貨物を輸出する罪)の規定に該当する違反行為をして罰金の刑に処せられたときは、その通関業の許可を取り消すことができる。」
誤りです。
その記述は誤りです。法人が解散すると、通関業の許可は法律上自動的に消滅します。したがって、財務大臣が改めて「取り消す」(裁量で取消処分を行う)場面はありません。
誤りです。
許可が消滅するのは「破産手続開始の決定」が確定した時点です。
申立て段階では消滅しません。
誤りです。
法10条は「帳簿や書類の保管」を規定するのみで、引継ぎ義務までは定めていません。
誤りです。
通関業法は取消処分に先立ち行政手続法上の聴聞を要すると規定しています(意見陳述より厳格)。「意見を聞く」だけでは要件を満たしません。
正しいです。
通関業法第9条第1項は、法人の役員が関税法第108条の2から第108条の11までに掲げる罪(108条の4を含む)で罰金以上の刑に処せられた場合、財務大臣はその法人の通関業許可を「取消すことができる」と定めています。
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02
本問は、通関業の許可の消滅と取消の区別と、それぞれに該当する事由について知識を問う問題です。
誤りです。
「法人が解散したとき」「に該当するときは、当該通関業の許可は、消滅する」と規定されています(通関業法10条1項3号)。
誤りです。
破産手続開始の「申立て」を行ったときについて通関業の許可が消滅する、としている部分が誤りです。
「破産手続開始の決定を受けたとき」「当該通関業の許可は、消滅する」と規定されています(通関業法10条1項3号)。
破産手続開始の申立を受けて裁判所がするのが破産手続開始決定ですが、この決定により、破産を申し立てた者は破産財団に属する財産の管理処分権を失います。それと同時に各種の資格につき制限が加えられます。
【破産手続の流れ】
破産手続開始申立・免責許可申立
↓
裁判所による破産手続開始決定
:破産を申し立てた者は破産財団に属する財産の管理処分権を失う→各種資格制限
↓
破産管財人選任 ※換価・配当すべき財産のない場合はなし
↓
破産管財人による換価・債権者への配当 ※換価・配当すべき財産のない場合はなし
↓
裁判所による免責許可決定
:破産者は債務を免れる
誤りです。
「依頼者の指示する通関業者に引き継がなければならない」とする部分が誤りです。
通関業法10条1項の規定により通関業の許可が消滅した場合、
「現に進行中の通関手続があるときは、当該手続については、当該許可を受けていた者(中略)が引き続き当該許可を受けているものとみなす」と規定されています(通関業法10条3項)。
【通関業法10条1項の許可消滅事由と、引き続き当該許可を受けているものとみなされる者】
・通関業を廃止したときーー当該許可を受けていた者
・死亡した場合で、地位の承継の申請や承認がされないときーー相続人
・法人が解散したときーー合併により消滅した場合には、合併後存続する法人又は合併により設立された法人
・破産手続開始の決定を受けたときーー当該許可を受けていた者 ※破産管財人ではないことに注意しましょう。
誤りです。
許可を取り消される通関業者の意見を聴かなくてはならないとしている部分が誤りです。
財務大臣は、通関業者が次の各号のいずれかに該当する「偽りその他不正の手段により通関業の許可を受けたことが判明したとき」は、その許可を取り消すことができますが(通関業法11条1項1号)、
その際は「審査委員の意見を聴かなければならない」と規定されています(通関業法11条2項)。
通関業法において、通関業者の意見を聴くという規定は、
更正に関する意見の聴取(通関業法15条)と、
通関士に対する懲戒処分の際「当該通関士がその業務に従事する通関業者の意見を、それぞれ聴かなければならない」(通関業法37条1項)という規定のみです。
正しいです。
財務大臣は、法人である通関業者の役員が関税法第108条の4(輸出してはならない貨物を輸出する罪)の規定に該当する違反行為をして罰金の刑に処せられたときは、その通関業の許可を取り消すことができます(通関業法11条1項2号、6条10号、4号イ)。
許可の消滅と取消については、以下の違いがあります。
消滅:財務大臣の行為なしで効果が発生。
・通関業の廃止や死亡(通関業務が継続できないことが明らか)
・破産手続開始の決定を受けたとき(裁判所の決定があり明らか)
取消:財務大臣の取消という行為によって消滅の効果を発生させる。
要件に該当するかの判断が必要、審査委員の意見を聴いて行われる
・偽りその他不正の手段により通関業の許可を受けたことが判明したとき
・欠格事由に該当するに至つたとき
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03
通関業法に規定されている、通関業の許可の消滅、通関業の許可の取消しに関する問題です。
誤った内容です。
法人である通関業者が解散したときは、当該通関業の許可は消滅すると規定されております。
取り消しではなく消滅が正しい内容です。
(通関業法第10条1項)
誤った内容です。
破産手続開始の決定を受けたときは、当該通関業の許可は消滅すると規定されております。
破産手続開始の申立てを行ったときはではありません。
(通関業法第10条1項)
誤った内容です。
通関業の許可が消滅した場合において、現に進行中の通関手続があるときは、当該手続については、当該許可を受けていた者(その者が死亡した場合には、その相続人とし、法人が合併により消滅した場合には、合併後存続する法人又は合併により設立された法人とする。)が引き続き当該許可を受けているものとみなすと規定されております。
(通関業法第10条3項)
誤った内容です。
財務大臣は、偽りその他不正の手段により通関業の許可を受けたことが判明した通関業者の許可を取り消すことができるとありますが、当該通関業者の意見を聞かなければならないという規定はありません。
(通関業法第11条3項)
正しい内容です。
財務大臣は、法人である通関業者の役員が輸出してはならない貨物を輸出する罪の規定に該当する違反行為をして罰金の刑に処せられたときは、その通関業の許可を取り消すことができる。
(通関業法第11条)
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