通関士 過去問
第58回(令和6年)
問81 (関税法、関税定率法その他関税に関する法律及び外国為替及び外国貿易法 問41)

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問題

通関士試験 第58回(令和6年) 問81(関税法、関税定率法その他関税に関する法律及び外国為替及び外国貿易法 問41) (訂正依頼・報告はこちら)

次の記述は、特例輸入者、特例委託輸入者、特定輸出者及び特定委託輸出者に関するものであるが、その記述の正しいものはどれか。一つを選びなさい。なお、正しい記述がない場合には、「該当なし」を選びなさい。
  • 税関長は、関税、内国消費税及び地方消費税の保全のために必要があると認めるときは、特例輸入者に対し、金額及び期間を指定して、これらの税につき担保の提供を命じることができるが、その提供を命じた後においては、その金額又は期間を変更することはできない。
  • 特定委託輸出者が特定委託輸出申告を行うときは、その申告に係る貨物が置かれている場所から当該貨物を外国貿易船等に積み込もうとする開港、税関空港又は不開港までの運送を認定通関業者が契約する運送業者に委託しなければならない。
  • 特例輸入者又は特例委託輸入者でその特例申告に係る特例申告書をその提出期限までに提出していない者が、その提出期限後において特例申告書を提出する場合は、あらかじめその旨を税関長に届け出なければならない。
  • 保税地域以外の場所にある特例輸出貨物が亡失した場合には、当該特例輸出貨物に係る特定輸出者は、直ちにその旨を当該貨物の置かれていた場所の所在地を所轄する税関長に届け出なければならない。
  • 特例委託輸入者は、申告納税方式が適用される貨物であっても、関税暫定措置法別表第一の六に掲げる輸入数量が輸入基準数量を超えた場合の特別緊急関税が課される物品については、特例申告を行うことはできない。
  • 該当なし

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この過去問の解説 (3件)

01

関税法等に規定されている、特例輸入者、特例委託輸入者、特定輸出者及び特定委託輸出者に関する問題です。

選択肢1. 税関長は、関税、内国消費税及び地方消費税の保全のために必要があると認めるときは、特例輸入者に対し、金額及び期間を指定して、これらの税につき担保の提供を命じることができるが、その提供を命じた後においては、その金額又は期間を変更することはできない。

誤った内容です。

税関長は、必要があると認めるときは、その提供を命じた後においても金額又は期間を変更することができると規定されております。

(関税法第7条の8第2項)

選択肢2. 特定委託輸出者が特定委託輸出申告を行うときは、その申告に係る貨物が置かれている場所から当該貨物を外国貿易船等に積み込もうとする開港、税関空港又は不開港までの運送を認定通関業者が契約する運送業者に委託しなければならない。

誤った内容です。

特定委託輸出申告を行うときは、その申告に係る貨物が置かれている場所から当該貨物を外国貿易船等に積み込もうとする開港、税関空港又は不開港までの運送を特定保税運送者に委託しなければならないと規定されております。

認定通関業者が契約する運送業者という記載はありません。

(関税法第67条の3)

選択肢3. 特例輸入者又は特例委託輸入者でその特例申告に係る特例申告書をその提出期限までに提出していない者が、その提出期限後において特例申告書を提出する場合は、あらかじめその旨を税関長に届け出なければならない。

誤った内容です。

特例輸入者又は特例委託輸入者でその特例申告に係る特例申告書をその提出期限までに提出していない者は、その提出期限後においても、第七条の十六第二項(決定)の規定による決定があるまでは、その期限内特例申告書に記載すべきものとされている事項を記載した特例申告書を税関長に提出することができると規定されております。

(関税法第7条の4)

選択肢4. 保税地域以外の場所にある特例輸出貨物が亡失した場合には、当該特例輸出貨物に係る特定輸出者は、直ちにその旨を当該貨物の置かれていた場所の所在地を所轄する税関長に届け出なければならない。

誤った内容です。

保税地域以外の場所にある特例輸出貨物を廃棄する場合や亡失した場合は、特例輸出貨物に係る特定輸出者は、その輸出許可をした税関長に届け出る必要があります。

(関税法施行令第59条の11)

選択肢5. 特例委託輸入者は、申告納税方式が適用される貨物であっても、関税暫定措置法別表第一の六に掲げる輸入数量が輸入基準数量を超えた場合の特別緊急関税が課される物品については、特例申告を行うことはできない。

正しい内容です。

関税暫定措置法別表第一の六に掲げる輸入数量が輸入基準数量を超えた場合の特別緊急関税が課される物品については、申告の特例を適用しない貨物に該当します。

(関税法施行令第4条の3)

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02

特例輸入者・輸出者、特例委託輸入者、輸出者はコンプライアンスに優れた業者として認定されています。通常の輸出・輸入とは異なる手続きを試験では問われる事が多いので混同しがちです。何が違うのかを意識して学習をすることで理解が深まります。引っ掛け問題も頻発しているので問題文を注意して読む事がポイントです。

選択肢1. 税関長は、関税、内国消費税及び地方消費税の保全のために必要があると認めるときは、特例輸入者に対し、金額及び期間を指定して、これらの税につき担保の提供を命じることができるが、その提供を命じた後においては、その金額又は期間を変更することはできない。

誤りです。
税関長は担保の提供を命じた後、その金額又は期間を必要に応じ変更する事が出来るとされています。よって誤りです。
 

選択肢2. 特定委託輸出者が特定委託輸出申告を行うときは、その申告に係る貨物が置かれている場所から当該貨物を外国貿易船等に積み込もうとする開港、税関空港又は不開港までの運送を認定通関業者が契約する運送業者に委託しなければならない。

誤りです。
特定委託輸出者が保税運送をする場合、開港、空港又は不開港までの運送を特定保税運送者に委託しなければならないとされています。よって誤りです。

選択肢3. 特例輸入者又は特例委託輸入者でその特例申告に係る特例申告書をその提出期限までに提出していない者が、その提出期限後において特例申告書を提出する場合は、あらかじめその旨を税関長に届け出なければならない。

誤りです。
特例申告書は本来輸入許可日の翌月の末日までに提出しなければいけませんが、提出期限後であっても税関長から決定を受けるまでは特例申告貨物の輸入許可をした税関長に提出することができます。

選択肢4. 保税地域以外の場所にある特例輸出貨物が亡失した場合には、当該特例輸出貨物に係る特定輸出者は、直ちにその旨を当該貨物の置かれていた場所の所在地を所轄する税関長に届け出なければならない。

誤りです。
特例輸出貨物が亡失した場合は直ちに輸出の許可をした税関長に届け出なければいけないとされています

選択肢5. 特例委託輸入者は、申告納税方式が適用される貨物であっても、関税暫定措置法別表第一の六に掲げる輸入数量が輸入基準数量を超えた場合の特別緊急関税が課される物品については、特例申告を行うことはできない。

正しいです。
特例委託輸入者は申告納税方式が適用される貨物でも関税暫定措置法別表第一の六に掲げる輸入数量(特定の品目に対して一定の数量又は低い関税を適用し、それを超えた分には高い関税を適用します。)が輸入基準数量を超えた場合の特別緊急関税が課される物品については特例申告を行う事はできないとされています。
 

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03

本問は、特例輸出入等、特例申告について、知識を問う問題です。

 

選択肢1. 税関長は、関税、内国消費税及び地方消費税の保全のために必要があると認めるときは、特例輸入者に対し、金額及び期間を指定して、これらの税につき担保の提供を命じることができるが、その提供を命じた後においては、その金額又は期間を変更することはできない。

誤りです。

特例輸入者または特例委託輸入者が特例申告を行う場合について、税関長は、「当該関税等の保全のために必要があると認めるとき(中略)担保の提供を命ずることができ」、「必要があると認めるときは、前項の金額又は期間を変更することができる」と規定されています(関税法7条の8)。

選択肢2. 特定委託輸出者が特定委託輸出申告を行うときは、その申告に係る貨物が置かれている場所から当該貨物を外国貿易船等に積み込もうとする開港、税関空港又は不開港までの運送を認定通関業者が契約する運送業者に委託しなければならない。

誤りです。

「認定通関業者が契約する運送業者」という部分が誤りです。正しくは「特定保税運送者」です。

 

特定委託輸出者が特定委託輸出申告を行うときは、「申告に係る貨物が置かれている場所から当該貨物を外国貿易船等に積み込もうとする開港、税関空港又は不開港までの運送を特定保税運送者に委託しなければならない」と規定されています(関税法67条の3第1項2号)。

「特定保税運送者」とは、国際運送貨物取扱業者で、あらかじめ税関長の承認を受けた者です(関税法63条の2第1項)。

選択肢3. 特例輸入者又は特例委託輸入者でその特例申告に係る特例申告書をその提出期限までに提出していない者が、その提出期限後において特例申告書を提出する場合は、あらかじめその旨を税関長に届け出なければならない。

誤りです。

「特例輸入者又は特例委託輸入者でその特例申告に係る特例申告書をその提出期限までに提出していない者」は提出期限後でも「期限内特例申告書に記載すべきものとされている事項を記載した特例申告書を(中略)提出することができ」、これを「期限後特例申告書」というと規定されています(関税法7条の4第1項、2項)。

この規定には、予め届け出るなどの手続きは定められていません。

 

選択肢4. 保税地域以外の場所にある特例輸出貨物が亡失した場合には、当該特例輸出貨物に係る特定輸出者は、直ちにその旨を当該貨物の置かれていた場所の所在地を所轄する税関長に届け出なければならない。

誤りです。

届出先を「当該貨物の置かれていた場所の所在地を所轄する税関長」としている部分が誤り、正しくは「輸出の許可をした税関長」です。

 

保税地域以外の場所にある特例輸出貨物が亡失した場合については、関税法45条3項の規定が一部読み替えた上で準用されます(関税法67条の5)。

関税法45条3項を関税法67条の5により読み替えて準用すると以下の内容となります。

 

保税地域以外の場所にある特例輸出貨物が亡失した場合、「当該特例輸出貨物に係る特定輸出者、特定委託輸出者又は特定製造貨物輸出者は、直ちにその旨を輸出の許可をした税関長に届け出なければならない。」

選択肢5. 特例委託輸入者は、申告納税方式が適用される貨物であっても、関税暫定措置法別表第一の六に掲げる輸入数量が輸入基準数量を超えた場合の特別緊急関税が課される物品については、特例申告を行うことはできない。

正しいです。

特例申告の規定(関税法7条の2第1項)は、「関税暫定措置法(中略)別表第一の六に掲げる物品その他政令で定める貨物については、適用しない」と規定されています(関税法7条の2第4項)。

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