薬剤師の過去問
第99回
薬学実践問題(病態・薬物治療/実務、法規・制度・倫理/実務、実務) 問299

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問題

薬剤師国家試験 第99回 薬学実践問題(病態・薬物治療/実務、法規・制度・倫理/実務、実務) 問299 (訂正依頼・報告はこちら)

30歳男性。全身倦怠感、食欲不振、下痢、体重減少を訴えて受診した。
HIV抗体が陽性であり、CD4陽性リンパ球の減少が見られた。
後天性免疫不全候群(AIDS)の診断を受け、薬物療法を開始することとなった。

この患者への治療に関する記述のうち、適切でないのはどれか。1つ選べ。

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この過去問の解説 (3件)

01

正解:3

1 AIDSの治療では、血中ウイルス量を検出限界以下に抑え続けること、免疫機能を回復させることなどが治療目標となります。

2 HAARTと呼ばれる多剤併用療法が主な治療法です。

3 AIDSの治療では免疫機能の指標が改善したとしても、まだ体内にウイルスが存在する場合があります。投与の急な中止は病態を悪化させる原因となります。

4 AIDS患者では免疫機能が低下しているため、日和見感染を起こしやすくなっています。

5 抗HIV薬であるエファビレンツはCYP3A4、CYP2B6を誘導するため相互作用には注意が必要です。

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02

【答え】3

【現在のHIV療法の特徴】
 ・多剤併用療法(Highly Active Anti-Retroviral Therapy:HAART療法)が一般的に用いられます。
 ・治療目標は、根治的な療法ではなく、血中のウイルス量を検出限界以下にすることです。(完治・治癒は現在でも困難です。)
 ・服薬を中止すると、AIDSを再発してしまうため、HAART療法は、基本的に一生継続する必要があります。

【選択肢に対する説明】
 1:正.記載の通りです。
 2:正.記載の通りです。
 3:誤.現在、体内のHIVウイルスを0にするのは困難のため、薬剤の服用を中止すると、AIDSを再発する可能性があります。
 4:正.記載の通りです。
 5:正.記載の通りです。プロテアーゼ阻害薬はCYP3A4と親和性が高く、非核酸系逆転写酵素阻害薬は一部CYP3A4を阻害します。

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03

1:血中HIV-RNA量を検出限界以下に抑え、CD4陽性T細胞数を一定に保つことでAIDS発症を抑制します。

2:治療は3剤以上併用するHAARTと呼ばれる多剤併用療法が主です。

3:誤りです。ウイルス量が検出限界以下になったといっても体内のウイルスが完全に0になった訳ではないため、ウイルスの増殖を抑えることが目的である抗HIV薬の服用を急に中止することは不適切です。
中止した場合予後が悪化する可能性が高まります。

4:AIDSを発症するとCD4陽性T細胞数が大幅に減少するため日和見感染症を併発しやすいので、予防と早期発見の必要があります。

5:プロテアーゼ阻害薬はCYP3A4と親和性が高く、非核酸系逆転写酵素阻害薬は一部CYP3A4を阻害するため薬物相互作用に注意しなければなりません。

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