第一種電気工事士 過去問
令和5年度(2023年) 午前
問11 (一般問題 問11)

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問題

第一種電気工事士試験 令和5年度(2023年) 午前 問11(一般問題 問11) (訂正依頼・報告はこちら)

同容量の単相変圧器2台をV結線し、三相負荷に電力を供給する場合の変圧器1台当たりの最大の利用率は。
  • 1/2
  • √2/2
  • √3/2
  • 2/√3

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この過去問の解説 (1件)

01

変圧器2台をV結線して三相交流を供給する場合、変圧器の定格電力をP[VA]とすると、2台の変圧器の有効電力の和は最大で2P[W]とはならずに、√3P[W]になります。このとき、1台当たりの有効電力は、3P/2[W]ですから、利用率は3/2=0.87ということになります。有効電力の和が単純に2倍にならないのは、2つの変圧器の電圧の位相差は120度であるのに、電流の位相差が60度となってしまうからです。このために、両方の変圧器を同時に最大限に利用することができません。

選択肢1. 1/2

値が異なります。

選択肢2. √2/2

値が異なります。

選択肢3. √3/2

正解です。

選択肢4. 2/√3

値が異なります。

まとめ

なぜ、V結線では、2つの変圧器の電流の位相差が60度になるのでしょうか。

 

下の図は、3台の変圧器A、B、CをΔ結線したときの2次側の回路を示したものです。ただし、それぞれの変圧器の電圧と電流の位相は同相としてあります。右図に相電圧VA~VC、相電流IA~IC、線電流IU~IWの関係をベクトル図に表しました。この場合、3つの変圧器の有効電力の合計は、

 

 Pall = 3VI = 3P

 

になります。ただし、V=|VA|=|VB|=|VC|、I=|IA|=|IB|=|IC|です。VとIは、それぞれ、変圧器の定格電圧と定格電流、P=VIは定格容量と考えてください。

 

2台の変圧器をV結線した回路は下図左のようになり、上のΔ結線から変圧器Cが欠落したものとなります。この図も変圧器の2次側の回路を示してあります。変圧器AとBには、上と同じように、定格電圧VA、VBが生じています。

 

 

この回路がΔ結線の回路と同じように三相交流を供給するためには、変圧器Aは-IW、変圧器BはIVの電流を流さなければなりません。つまり、

 

 IA = -IW

 IB = IV

 

としなければいけません。ところが、この2つの電流は図右のベクトル図からわかるように、位相差が60度です。V結線により、2つの変圧器は相電流ではなく、線電流そのものを流すようになり、さらに、その一方の電流の向きが逆なので、位相差が120度でなく、60度になったのです。

 

さて、図右のベクトル図で、VAとIA、VBとIBの位相差がそれぞれ、どちらも30度であることに注意して、変圧器の有効電力を計算すれば、どちらの変圧器についても、

 

 P' = VI cos 30゜= (√3 / 2) P

 

となります。また、その合計は

 

 Pall = 2P' =  √3 P

 

になります。つまり、図に示したV結線の変圧器は、どちらも有効電力が定格電力の √3/2=0.87倍で動作していることになります。

 

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