第一種電気工事士 過去問
令和6年度(2024年)
問33 (一般問題 問33)

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問題

第一種電気工事士試験 令和6年度(2024年) 問33(一般問題 問33) (訂正依頼・報告はこちら)

図は、自家用電気工作物(500 kW未満)の高圧受電設備を表した図及び高圧架空引込線の見取図である。この図に関する問いに対して、答えを1つ選びなさい。

④に示す低圧配電盤に設ける過電流遮断器として、不適切なものは。
問題文の画像
  • 単相3線式(210/105V)電路に設ける配線用遮断器には3極2素子のものを使用した。
  • 電動機用幹線の許容電流が100Aを超え、過電流遮断器の標準の定格に該当しないので、定格電流はその値の直近上位のものを使用した。
  • 電動機用幹線の過電流遮断器は、電線の許容電流の3.5倍のものを取り付けた。
  • 電灯用幹線の過電流遮断器は、電線の許容電流以下の定格電流のものを取り付けた。

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この過去問の解説 (3件)

01

この問題は、低圧配電盤に設ける過電流遮断器に関する基準を理解し、不適切な記述を見抜く形式です。過電流遮断器の選定では、使用する回路や負荷に応じた適切な定格電流や遮断器の特性が求められます。不適切な記述を正しく見抜くためには、基準や技術仕様を正確に把握する必要があります。

選択肢1. 単相3線式(210/105V)電路に設ける配線用遮断器には3極2素子のものを使用した。

この問題は、低圧配電盤に設ける過電流遮断器に関する基準を理解し、不適切な記述を見抜く形式です。過電流遮断器の選定では、使用する回路や負荷に応じた適切な定格電流や遮断器の特性が求められます。不適切な記述を正しく見抜くためには、基準や技術仕様を正確に把握する必要があります。

選択肢2. 電動機用幹線の許容電流が100Aを超え、過電流遮断器の標準の定格に該当しないので、定格電流はその値の直近上位のものを使用した。

過電流遮断器の定格電流は、幹線の許容電流以上の最も近い値を選定することが求められます。この記述は基準に適合しています。
この選択肢は不正解です。

選択肢3. 電動機用幹線の過電流遮断器は、電線の許容電流の3.5倍のものを取り付けた。

過電流遮断器の定格電流は、電線の許容電流以下である必要があります。「3.5倍」という記述は基準に反しており、不適切です。
この選択肢は正解です。

選択肢4. 電灯用幹線の過電流遮断器は、電線の許容電流以下の定格電流のものを取り付けた。

電灯用幹線において、過電流遮断器を電線の許容電流以下の定格電流で選定することは基準に合致しています。
この選択肢は不正解です。

まとめ

過電流遮断器の選定では、電線の許容電流以下の定格電流を選ぶことが基本です。この基準を超えた遮断器を選定すると、回路保護が十分に機能せず、火災や機器の損傷につながる可能性があります。

特に、電動機用幹線の場合、過電流遮断器の選定において注意が必要です。電動機の起動電流(突入電流)が遮断器に影響を与える場合があるため、回路設計時に定格や特性を慎重に確認する必要があります。

さらに、問題を解く際には、次のようなポイントを確認すると類似問題に強くなります。


1.回路の種類に応じた基準を覚える

単相3線式、電動機回路、電灯回路など、それぞれに対応した基準を正確に理解する。

2.遮断器の選定ルール

過電流遮断器の定格電流は、必ず電線の許容電流以下であることを確認する。

3.具体的な数値例で学ぶ

実際の許容電流値や遮断器の規格値を参考に、問題を解く練習を重ねる。

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02

低圧配電盤に設ける過電流遮断器の施設についての適切性を判定する問題です。電気設備の技術基準の解釈 (20241004保局第1号、以下、電技解釈という)の第148条に、低圧幹線の施設に関する規定があります。

選択肢1. 単相3線式(210/105V)電路に設ける配線用遮断器には3極2素子のものを使用した。

この処置は正しいです。電技解釈第148条第1項第六号に、


低圧幹線の過電流遮断器は、各極(多線式電路の中性極を除く。)に施設すること
 

と定められており、中性極には設けません。単相3線式の極数は3、うち1極は中性極なので、3極2素子のものを使用するのは正しいです。

選択肢2. 電動機用幹線の許容電流が100Aを超え、過電流遮断器の標準の定格に該当しないので、定格電流はその値の直近上位のものを使用した。

この処置は正しいです。電技解釈第148条第1項第五号は、低圧幹線に電動機等が接続される場合、


当該低圧幹線の許容電流が100Aを超える場合であって、規定による値が過電流遮断器の標準定格に該当しないときは、規定による値の直近上位の標準定格であること

 

としています。規定による値とは、当該低圧幹線の許容電流が100Aを超えない場合に、この条文が規定する値のことです。

選択肢3. 電動機用幹線の過電流遮断器は、電線の許容電流の3.5倍のものを取り付けた。

この処置は誤りです。電技解釈第148条第1項第五号は、低圧幹線に電動機等が接続され、当該低圧幹線の許容電流が100Aを超えない場合の過電流遮断器について、その定格電流は、次のいずれかによるものと規定しています。


イ 電動機等の定格電流の合計の3倍に、他の電気使用機械器具の定格電流の合計を加えた値以下であること。
ロ イの規定による値が当該低圧幹線の許容電流を2.5倍した値を超える場合は、その許容電流を2.5倍した値以下であること。


このことから、過電流遮断器の定格電流は、電線の許容電流の2.5倍を超えることはなく、3.5倍のものを取り付けることは誤りであることがわかります。

選択肢4. 電灯用幹線の過電流遮断器は、電線の許容電流以下の定格電流のものを取り付けた。

この処置は正しいです。電技解釈第148条第1項第五号は、低圧幹線に電動機等が接続されてない場合、
 

「当該低圧幹線を保護する過電流遮断器」は、その定格電流が、当該低圧幹線の許容電流以下のものであること


としています。

まとめ

電線の許容電流と過電流遮断器の定格電流について、電技解釈第148条の規定を表にまとめておきます。

条件電線の許容電流 iW遮断器の定格電流 iB
電動機等がないiW ≥ iHiB ≤ iW

電動機

等があ

iM ≤ iH iW ≥ iH + iM

iB ≤ min(iH + 3 iM, 2.5 iW)

 

特別な場合は

iB ≈ min(iH + 3 iM, 2.5 iW)

iM > iH,  iM ≤ 50iW ≥ iH + 1.25 iM
iM > iH,  iM > 50iW ≥ iH + 1.1 iM

iM:低圧幹線に接続される電動機等の定格電流の合計

iH:他の電気機械器具の定格電流の合計

iW:電線の許容電流

iB:遮断器の定格電流

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03

低圧配電盤に設ける過電流遮断器の選定には、動力機器の有無が大きく関わってきます。

選択肢をそれぞれ見ていき、特徴を掴みましょう。

選択肢1. 単相3線式(210/105V)電路に設ける配線用遮断器には3極2素子のものを使用した。

3極2素子の極、素子とは

極:電線の接続本数

素子:過電流を検知する素子

のことです。

単相3線式は、3本の電線で、2本が電圧線、1本が中性線となります。

単相3線式の場合は電線3本が接続でき、電圧線2本に素子があればよいので、

この文章は正しいです。

選択肢2. 電動機用幹線の許容電流が100Aを超え、過電流遮断器の標準の定格に該当しないので、定格電流はその値の直近上位のものを使用した。

電技解釈148条1項5号にございますので、正しいです。

選択肢3. 電動機用幹線の過電流遮断器は、電線の許容電流の3.5倍のものを取り付けた。

過電流遮断器は電線の許容電流以下でなければいけません。よって不適です。

 

※一応、似たような文言で、電技解釈148条1項5号より、

電動機用幹線の過電流遮断器は、電動機の定格電流の3倍以下でなければならない

というものあります。電動機の場合、定格電流より大きな始動電流が流れるためです。

選択肢4. 電灯用幹線の過電流遮断器は、電線の許容電流以下の定格電流のものを取り付けた。

電線の過熱焼損防止の観点から、正しいです。

まとめ

過電流遮断器の選定のほか、幹線の許容電流を求める問題も頻出です。

こちらも確認しておきましょう。

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