第一種衛生管理者の過去問
令和6年4月公表
労働衛生(有害業務に係るもの) 問5

このページは閲覧用ページです。
履歴を残すには、 「新しく出題する(ここをクリック)」 をご利用ください。

この過去問の解説 (3件)

01

有機溶剤に関する問題です。

内容を整理しておきましょう。

選択肢1. 有機溶剤の多くは、揮発性が高く、その蒸気は空気より軽い。

分子量が大きいため、空気より重いです。

選択肢2. 有機溶剤は、脂溶性が低いため、脂肪の多い脳などには入りにくい。

誤りです。

有機溶剤は脂溶性のものが多く、脳など神経系に入りやすいです。

選択肢3. メタノールによる障害として顕著なものには、網膜の微細動脈瘤(りゅう)を伴う脳血管障害がある。

誤りです。

視覚障害があり、失明になりやすいです。

選択肢4. 二硫化炭素は、動脈硬化を進行させたり、精神障害を生じさせることがある。

正しいです。

記述のとおりです。

選択肢5. N,N-ジメチルホルムアミドによる障害として顕著なものには、視力低下を伴う視神経障害がある。

誤りです。
頭痛、めまい、嘔吐等の自覚症状、皮膚障害、前眼部障害、気道障害、肝障害又は胃腸障害などがあります。

参考になった数54

02

有機溶剤についての問題です。以下に特徴と中毒症状をまとめます。

 

・呼吸器だけでなく、皮膚や粘膜からも吸収されやすい。

・刺激性があり、皮膚や粘膜などに付着すると炎症が起こる。

・揮発性が高く、一般的にその蒸気は空気より重い。

・脂溶性が高く、脳などの脂肪の多い組織に入りやすい。

 有機溶剤 中毒症状
二硫化炭素精神障害、網膜細動動脈瘤を伴う脳血管障害
ベンゼン造血器障害、白血病、がん

トリクロロエチレン

(尿中代謝物はトリクロロ酢酸

肝障害、腎障害

トルエン

(尿中代謝物は馬尿酸

中枢神経障害、自律神経障害

ノルマルヘキサン

(尿中代謝物は2,5-ヘキサンジオン

頭痛、めまい、多発性神経炎
酢酸メチル視力低下、視野狭窄
メタノール中枢神経障害(視神経障害、脳浮腫)、精神神経障害

N,N-ジメチルホルムアミド

(尿中代謝物はN-メチルホルムアミド

頭痛、めまい、肝機能障害

選択肢1. 有機溶剤の多くは、揮発性が高く、その蒸気は空気より軽い。

誤りです。

有機溶剤の多くは、揮発性が高く、その蒸気は空気より重いです。

選択肢2. 有機溶剤は、脂溶性が低いため、脂肪の多い脳などには入りにくい。

誤りです。

有機溶剤は、脂溶性が高いため、脂肪の多い脳などには入りやすいです。

選択肢3. メタノールによる障害として顕著なものには、網膜の微細動脈瘤(りゅう)を伴う脳血管障害がある。

誤りです。

メタノールによる健康障害には、中枢神経障害(視神経障害、脳浮腫)、精神神経障害などがあります。

選択肢4. 二硫化炭素は、動脈硬化を進行させたり、精神障害を生じさせることがある。

正しいです。

選択肢5. N,N-ジメチルホルムアミドによる障害として顕著なものには、視力低下を伴う視神経障害がある。

誤りです。

N,N-ジメチルホルムアミドによる健康障害には、頭痛めまい肝機能障害などがあります。

参考になった数15

03

有機溶剤に関する問題です。

以下のポイントをおさえておきましょう。

①有機溶剤の蒸気は一般的に空気よりも「重い」という特性があります。また、水溶性と脂溶性ともに高いです。

②有機溶剤は、呼吸器・皮膚・消化器から人体に吸収されるという特性があります。皮膚からも吸収されることがあります。

③低濃度の有機溶剤の繰り返しばく露すると、不眠などの不定愁訴や記憶力減退、めまい、頭痛を引き起こすことがあります。

④メタノールによる障害としては、神経症状や精神神経障害及び消化器の中毒症状が該当します。

⑤二硫化炭素による障害としては、網膜細動脈瘤(りゅう)を伴う脳血管障害や精神障害が該当します。

N,N-ジメチルホルムアミドによる障害としては、発がん性があるほか、肝臓への障害や皮膚に対する刺激が該当します。

選択肢1. 有機溶剤の多くは、揮発性が高く、その蒸気は空気より軽い。

上記①より、空気より軽くありません。

よって、本選択肢の内容は誤りです。

選択肢2. 有機溶剤は、脂溶性が低いため、脂肪の多い脳などには入りにくい。

上記①より、脂溶性は低くありません。

よって、本選択肢の内容は誤りです。

選択肢3. メタノールによる障害として顕著なものには、網膜の微細動脈瘤(りゅう)を伴う脳血管障害がある。

上記④より、網膜の微細動脈瘤(りゅう)を伴う脳血管障害ではありません。

よって、本選択肢の内容は誤りです。

選択肢4. 二硫化炭素は、動脈硬化を進行させたり、精神障害を生じさせることがある。

上記⑤の内容と合致します。

よって、本選択肢の内容は正しいです。

選択肢5. N,N-ジメチルホルムアミドによる障害として顕著なものには、視力低下を伴う視神経障害がある。

上記⑥より、視力低下を伴う視神経障害ではありません。

よって、本選択肢の内容は誤りです。

参考になった数9