第一種衛生管理者 過去問
令和6年10月公表
問16 (労働衛生(有害業務に係るもの) 問6)

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問題

第一種 衛生管理者試験 令和6年10月公表 問16(労働衛生(有害業務に係るもの) 問6) (訂正依頼・報告はこちら)

電離放射線による健康影響に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
  • 電離放射線の被ばくによる生体への影響には、身体的影響と遺伝的影響がある。
  • 電離放射線の被ばくによる身体的影響のうち、白内障は晩発障害に分類される。
  • 電離放射線の被ばくによる発がんと遺伝的影響は、確定的影響に分類され、その発生には、しきい値があり、しきい値を超えると発生率及び症状の程度は線量に依存する。
  • 電離放射線に被ばく後、数週間程度までに現れる造血器系障害は、急性障害に分類される。
  • 造血器、生殖腺、腸粘膜など頻繁に細胞分裂している組織・臓器は、電離放射線の影響を受けやすい。

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この過去問の解説 (3件)

01

電離放射線がの被ばくによって引き起こされる健康障害に関する問題です。

白血病・肺がん・皮膚がん・骨肉腫・甲状腺が・多発性骨髄腫・非ホジキンリンパ腫などがあげられます。

選択肢1. 電離放射線の被ばくによる生体への影響には、身体的影響と遺伝的影響がある。

細胞集団が傷つくことにより引き起こされる身体的影響(嘔吐、脱毛、造血機能の低下、白内障など)と突然変異がおこる遺伝的影響があります。

よって、本選択肢の内容は正しいです。

選択肢2. 電離放射線の被ばくによる身体的影響のうち、白内障は晩発障害に分類される。

白内障は、電離放射線の被ばくが引き起こす身体的影響の中では晩発障害に該当します。

よって、本選択肢の内容は正しいです。

選択肢3. 電離放射線の被ばくによる発がんと遺伝的影響は、確定的影響に分類され、その発生には、しきい値があり、しきい値を超えると発生率及び症状の程度は線量に依存する。

発がんと遺伝的影響は、確定的影響ではなく確率的影響に該当します。確率的影響は、発生率は線量に依存しますが、症状の程度は線量に依存しない関係にあります。

よって、本選択肢の内容は誤りです。

選択肢4. 電離放射線に被ばく後、数週間程度までに現れる造血器系障害は、急性障害に分類される。

被ばくから発症までが数週間までのものを急性障害といい、造血器系障害が該当します。

よって、本選択肢の内容は正しいです。

選択肢5. 造血器、生殖腺、腸粘膜など頻繁に細胞分裂している組織・臓器は、電離放射線の影響を受けやすい。

造血器、生殖腺、腸粘膜、皮膚などは頻繁に細胞分裂している組織や臓器です。これらの臓器は、電離放射線の影響を受けやすいという特徴があります。

よって、本選択肢の内容は正しいです。

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02

電離放射線とは、一般的には「放射線」と言われているもので、X線、α線、β線などが含まれます。電離放射線は物質を構成する原子を電離(正電荷のイオンと負電荷の電子に分離)する能力があり、身体が電離放射線を被ばくすると、身体を構成している細胞の分子が破壊されて、健康障害が起きます。

 

一般的な生活の中では、健康障害を引き起こす量の電離放射線を浴びることは稀ですが、医療用X線検査(レントゲン)を扱う医療従事者や原子力発電所での労働者などは比較的被ばく量が高くなる傾向にあり、被ばく防止対策が求められています。(電離放射線障害防止規則)

 

本問題は電離放射線被ばくによる健康障害の基礎的な内容を問うものとなっています。

選択肢1. 電離放射線の被ばくによる生体への影響には、身体的影響と遺伝的影響がある。

正しいです。

 

身体的影響:電離放射線を受けた本人に影響が出ること

遺伝的影響:放射線を受けた人のこどもや孫に影響が出ること

 

また、身体的影響は、以下の2つに分けられます

急性障害:放射線を受けて数週間以内に出る症状・障害(嘔吐、脱毛、赤血球・白血球・リンパ球の減少)

晩発性障害:数カ月から数年後になって出る症状・障害(がんや白内障

選択肢2. 電離放射線の被ばくによる身体的影響のうち、白内障は晩発障害に分類される。

正しいです。

 

身体的影響は、以下の2つに分けられます

急性障害:放射線を受けて数週間以内に出る症状・障害(嘔吐、脱毛、赤血球・白血球・リンパ球の減少)

晩発性障害:数カ月から数年後になって出る症状・障害(がんや白内障

選択肢3. 電離放射線の被ばくによる発がんと遺伝的影響は、確定的影響に分類され、その発生には、しきい値があり、しきい値を超えると発生率及び症状の程度は線量に依存する。

誤りです【正解】

 

電離放射線の被ばくによる発がんと遺伝的影響は、「確的影響」ではなく、「確的影響」に分類されます。

 

〇確定的影響
ある一定の線量以上(しきい値と言います)の放射線による被ばくをしたときに現れる影響です。

しきい値以下のばく露では影響(健康障害)が出ず、それを超えると影響が出てくるものです。


〇確率的影響
高い線量でも低い線量でも、被ばくから数年以上たってから現れる可能性がある影響です。

ある確率で影響が出て、受けた放射線量が多いほど発生する確率が高くなります。

選択肢4. 電離放射線に被ばく後、数週間程度までに現れる造血器系障害は、急性障害に分類される。

正しいです。

 

急性障害とは放射線を受けて数週間以内に出るもので、以下のような症状・障害となります。

嘔吐

脱毛

赤血球・白血球・リンパ球の減少 など

選択肢5. 造血器、生殖腺、腸粘膜など頻繁に細胞分裂している組織・臓器は、電離放射線の影響を受けやすい。

正しいです。

 

電離放射線は物質を構成する原子を電離(正電荷のイオンと負電荷の電子に分離)する能力があり、身体が電離放射線を被ばくすると、身体を構成している細胞の分子が破壊されて、健康障害が起きます。そのため、細胞分裂が頻繁な部位にはより大きい影響を与えます。

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03

電離放射線とは、原子や分子に影響を与えるエネルギーの高い電磁波や粒子のことで、

物質を構成する原子を電離する能力があり、以下に分類されます。

粒子線:粒子線にはα(アルファ)線、β(ベータ)線、中性子線など

電磁波:γ(ガンマ)線、X(エックス)線



電離放射線による健康影響には、急性放射線症やがん、白内障、不妊症などがあります。

〇急性放射線症

・血液障害(白血球の減少)

・消化管障害(嘔吐、下痢)

・脱毛

・男性の一過性不妊症

〇がんや白内障などの障害

・比較的少ない量の被ばくでも、数年以降に発症する危険性がある

・放射線量に依存して影響の現れる頻度も増加する

 

放射線による健康影響は、細胞死によって起こる確定的影響と、遺伝等による確率的影響に分けられます。

〇確定的影響

・一定量の放射線を受けると、影響が現れる

・受けた放射線の量が多くなるほど、その影響度(障害)も大きくなる

〇確率的影響

・放射線量に依存して影響の現れる頻度も増加する

・しきい値は無いと仮定されている

 

いくつか問題を解く中で上記のことをおさえていきましょう。

選択肢1. 電離放射線の被ばくによる生体への影響には、身体的影響と遺伝的影響がある。

正しいです。

選択肢2. 電離放射線の被ばくによる身体的影響のうち、白内障は晩発障害に分類される。

正しいです。

選択肢3. 電離放射線の被ばくによる発がんと遺伝的影響は、確定的影響に分類され、その発生には、しきい値があり、しきい値を超えると発生率及び症状の程度は線量に依存する。

間違いです。

遺伝的影響は、確定的影響ではなく確率的影響です。

選択肢4. 電離放射線に被ばく後、数週間程度までに現れる造血器系障害は、急性障害に分類される。

正しいです。

選択肢5. 造血器、生殖腺、腸粘膜など頻繁に細胞分裂している組織・臓器は、電離放射線の影響を受けやすい。

正しいです。

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