第一種衛生管理者 過去問
令和6年10月公表
問31 (労働衛生(有害業務に係るもの以外のもの) 問4)

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問題

第一種 衛生管理者試験 令和6年10月公表 問31(労働衛生(有害業務に係るもの以外のもの) 問4) (訂正依頼・報告はこちら)

脳血管障害及び虚血性心疾患に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
  • 出血性の脳血管障害は、脳表面のくも膜下腔(くう)に出血するくも膜下出血、脳実質内に出血する脳出血などに分類される。
  • 虚血性の脳血管障害である脳梗塞は、脳血管自体の動脈硬化性病変による脳塞栓症と、心臓や動脈壁の血栓が剥がれて脳血管を閉塞する脳血栓症に分類される。
  • 虚血性心疾患は、冠動脈による心筋への血液の供給が不足したり途絶えることにより起こる心筋障害である。
  • 心筋梗塞では、突然激しい胸痛が起こり、「締め付けられるように痛い」、「胸が苦しい」などの症状が、1時間以上続くこともある。
  • 運動負荷心電図検査は、虚血性心疾患の発見に有用である。

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この過去問の解説 (3件)

01

1。脳血管疾患

脳の血管のトラブルによって、脳細胞が破壊される病気の総称で、「出血性脳血管疾患」と「虚血性脳血管疾患」の2つのタイプがあります。 
 

〇出血性脳血管疾患
脳の血管が破れて出血することから起こるもので、出血した血液は「血腫」という血の塊をつくり、血腫のできた部分の脳細胞が破壊されます。出血性脳血管疾患は、出血した部位によって2つに分けられます。

・「脳出血」

 脳の奥深くの細い血管に加齢や高血圧によって小さなこぶができて、これが破裂して出血が起こるもの

 

・「くも膜下出血」

 頭蓋骨の下で脳の表面を保護している「くも膜」という膜の下で出血が起こるもの

 

〇虚血性脳血管疾患
脳の血管が詰まることによって脳への血流が悪くなり、脳細胞が酸素不足・栄養不足に陥るもので、代表的なものに「脳梗塞」があり、これは以下の2つに分類されます。

・「脳血栓」

 脳の血管に血栓という血の塊ができて、血栓が血管を詰まらせるもの

 

・「脳塞栓」

心臓など脳以外の血管にできた血栓が、血流にのって脳へと運ばれて、その血栓が脳の血管を詰まらせるもの

 

 

2。虚血性心疾患
心疾患とは心臓に起こる病気の総称で、代表的なものは「虚血性心疾患」です。これは、心臓の筋肉へ血液を送る冠動脈の血流が悪くなって、心筋が酸素不足・栄養不足に陥るものです。以下の2つが代表的なものです。 
 

・「狭心症」
冠動脈が狭くなり、心臓の筋肉への血流が不足した状態をいいます。症状は胸の痛みや呼吸困難などです。多くの場合1〜2分、長くても15分くらいでおさまります。

 

・「心筋梗塞」
冠動脈に血栓ができ、冠動脈が詰まって心臓の筋肉への血液の供給が止まった状態です。非常に強い痛みが長時間続きます。

選択肢1. 出血性の脳血管障害は、脳表面のくも膜下腔(くう)に出血するくも膜下出血、脳実質内に出血する脳出血などに分類される。

正しいです。

選択肢2. 虚血性の脳血管障害である脳梗塞は、脳血管自体の動脈硬化性病変による脳塞栓症と、心臓や動脈壁の血栓が剥がれて脳血管を閉塞する脳血栓症に分類される。

誤っています。【正解】

 

説明が逆になっています。正しくは、以下の通りです。

 

・「脳血栓」

 脳の血管に血栓という血の塊ができて、血栓が血管を詰まらせるもの

 

・「脳塞栓」

心臓など脳以外の血管にできた血栓が、血流にのって脳へと運ばれて、その血栓が脳の血管を詰まらせるもの

選択肢3. 虚血性心疾患は、冠動脈による心筋への血液の供給が不足したり途絶えることにより起こる心筋障害である。

正しいです。

選択肢4. 心筋梗塞では、突然激しい胸痛が起こり、「締め付けられるように痛い」、「胸が苦しい」などの症状が、1時間以上続くこともある。

正しいです。

選択肢5. 運動負荷心電図検査は、虚血性心疾患の発見に有用である。

正しいです。

 

運動負荷心電図検査は、体を動かしながら心電図を取る検査で、安静時では認められない虚血性心疾患などの診断などを検査できるものです。

 

2段ある階段を昇り降りする運動行う前後で心電図を記録する方法(マスター2階段負荷検査)、ベルトコンベアの上を歩いたり固定式自転車をこいだりして、運動負荷を与えながら心電図を観察する方法があります。

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02

脳血管障害及び虚血性心疾患に関する問題です。各疾患の定義と特徴を覚えましょう。

選択肢1. 出血性の脳血管障害は、脳表面のくも膜下腔(くう)に出血するくも膜下出血、脳実質内に出血する脳出血などに分類される。

出血性の脳血管障害は、くも膜下出血と脳出血などに分類されます。くも膜下出血は、脳表面のくも膜下腔に出血することであり、脳出血は脳実質内に出血することを言います。出血が起きる場所で分類されています。

よって、本選択肢の内容は正しいです。

選択肢2. 虚血性の脳血管障害である脳梗塞は、脳血管自体の動脈硬化性病変による脳塞栓症と、心臓や動脈壁の血栓が剥がれて脳血管を閉塞する脳血栓症に分類される。

虚血性の脳血管障害である脳梗塞は、脳血栓症と脳塞栓症に分類されます。脳血栓症は、脳血管自体の動脈硬化性病変によるものであり、脳塞栓症は心臓や動脈壁の血栓などが剥がれて脳血管を閉塞するものを言います。

よって、本選択肢の内容は誤りです。

選択肢3. 虚血性心疾患は、冠動脈による心筋への血液の供給が不足したり途絶えることにより起こる心筋障害である。

虚血性心疾患とは、心筋に血液を送っている冠動脈が動脈硬化などのため狭小し、もしくは血管がけいれんを起こすことにより、血液が十分に供給されなくなったことが原因となって引き起こされる心筋障害のことを言います。

よって、本選択肢の内容は正しいです。

選択肢4. 心筋梗塞では、突然激しい胸痛が起こり、「締め付けられるように痛い」、「胸が苦しい」などの症状が、1時間以上続くこともある。

心筋梗塞とは、安静にしていても短時間では回復せず、強い痛みが1時間以上続くことがあるという特性があります。

よって、本選択肢の内容は正しいです。

選択肢5. 運動負荷心電図検査は、虚血性心疾患の発見に有用である。

心筋の異常や不整脈を測るためには、安静な状態のもとで実施する心電図検査が効果的と言われています。運動負荷心電図検査は、安静時では発見することができないような虚血性心疾患の診断に最適であると考えられています。

よって、本選択肢の内容は正しいです。

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03

脳血管障害と虚血性心疾患は以下の特徴があります。

この設問を通して覚えましょう。

脳血管障害

 脳の血管が詰まったり破れたりして脳に障害が起こる疾患で、脳卒中とも呼ばれる。

 脳梗塞、脳出血、くも膜下出血などが含まれる。

 〇原因

  高血圧、脂質異常症、糖尿病、 加齢。

 〇症状

  ・手足の力が抜ける

  ・片足に痺れがでる

  ・めまいがする

  ・片目が見えなくなる

  ・物が二重に見える

  ・言葉が出なくなる、詰まる

 〇予防法

  ・減塩や栄養バランスのとれた食事を心がける

  ・禁煙、節酒、適度な運動を習慣にする

 〇治療

  脳梗塞⇒内服と点滴による治療

  くも膜下出血⇒頭部CTスキャンや頭部MRIなどの検査で診断し、治療する

 〇特徴

  ・突然発症することが多く、後遺症が残ることも多い

  ・再発しやすい

虚血性心疾患

 心臓の筋肉(心筋)に血液を送る冠動脈が狭くなったり詰まったりして、心筋に十分な酸素が供給されなくなる病気。

 狭心症や心筋梗塞などが含まれる。

 〇原因

  ・動脈硬化(高血圧、高脂血症、糖尿病、喫煙、肥満などが原因)

  ・冠状動脈の攣縮(痙攣性の収縮)

 〇症状

  胸の痛み。

 〇治療

  薬物療法、 再灌流療法。

 〇予防

  食生活の改善(塩分とコレステロールを控える)、適度な運動、 禁煙。

 〇受診の目安

  ・今までにないひどい痛みの時

  ・薬を舌下しても30分以上痛みが続く時

  ・胸の痛くなる回数が以前より増えてきた時

  ・安静時にも痛みが起こる場合

 〇危険因子

  高血圧、高脂血症、糖尿病、喫煙、肥満

  ストレスや攻撃性の性格

  加齢

  家族歴

  男性であること



選択肢1. 出血性の脳血管障害は、脳表面のくも膜下腔(くう)に出血するくも膜下出血、脳実質内に出血する脳出血などに分類される。

正しいです。

選択肢2. 虚血性の脳血管障害である脳梗塞は、脳血管自体の動脈硬化性病変による脳塞栓症と、心臓や動脈壁の血栓が剥がれて脳血管を閉塞する脳血栓症に分類される。

間違いです。

脳塞栓症と脳血栓症はそれぞれ以下の症状です。

〇脳塞栓症

 心臓の病気などが原因で血栓(血液のかたまり)が脳の血管を詰まらせる病気

〇脳血栓症

 脳の動脈が狭くなって血栓が形成され、血管が詰まることで起こる脳梗塞の一種

 

選択肢3. 虚血性心疾患は、冠動脈による心筋への血液の供給が不足したり途絶えることにより起こる心筋障害である。

正しいです。

選択肢4. 心筋梗塞では、突然激しい胸痛が起こり、「締め付けられるように痛い」、「胸が苦しい」などの症状が、1時間以上続くこともある。

正しいです。

選択肢5. 運動負荷心電図検査は、虚血性心疾患の発見に有用である。

正しいです。

運動負荷心電図検査は、運動によって心臓に負荷をかけ、心電図の変化を測定する検査です。

安静時ではわからない不整脈や狭心症、心筋梗塞などの心疾患の診断に役立ちます。

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