一級建築士の過去問
令和2年(2020年)
学科1(計画) 問3

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問題

一級建築士試験 令和2年(2020年) 学科1(計画) 問3 (訂正依頼・報告はこちら)

西洋の歴史的な建築物とその背景との組合せとして、最も不適当なものは、次のうちどれか。
  • 大英博物館(イギリス、1824 - 47年):考古学の成果に基づく古代ギリシアや古代ローマ建築の研究及び正確な理解を通じ、その造形原理の復興を試みた新古典主義を背景としている。
  • タッセル邸(ベルギー、1893年):植物の茎や葉、長い髪などの自然物をモチーフとした非対称な曲線や曲面を造形に用いたアール・ヌーヴォーを背景としている。
  • ウィーン郵便貯金局(オーストリア、1906年):機械生産による低品質な製品を否定し、工業化社会における芸術性を中世的な手工芸に求めたアーツ・アンド・クラフツ運動を背景としている。
  • シュレーダー邸(オランダ、1924年):対象を幾何学によって客観的かつ普遍的に表現するために、要素を水平・垂直の線や面で構成し、三原色と無彩色を使用するデ・ステイルを背景としている。

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この過去問の解説 (3件)

01

1[正]
大英博物館は新古典主義建築の代表でギリシャ神殿を思わせる正面入り口とイオニア式オーダーが特徴です。
2[正]
タッセル邸は建築にアール・ヌーヴォーを融合させた例で植物などの有機的なモチーフが意匠に用いられています。
3[誤]
ウィーン郵便貯金局はオットー・ワーグナー設計の合理主義・機能主義を重視した必要様式です。
アーツ・アンド・クラフツ運動はウィリアム・モリスが主導した中世の職人の世界に理想を求めた運動です。
4[正]
シュレーダー邸はリートフェルト設計のデ・ステイルを表現した建築です。単純な矩形と三原色を用いているのが特徴です。

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02

1 [正]
設問の通りです。
ギリシア神殿を模したファサードで、イオニア式オーダーによる柱頭のある列柱が44本そびえる、荘厳で重みのあるデザインが特徴的な新古典主義(ネオクラシズム)様式の建築物です。

2 [正]
設問の通りです。
アール・ヌーヴォーは、19世紀末のベルギーに端を発し、その後にフランスやドイツなどのヨーロッパ全土に広がった新しい装飾美術の様式です。有機的な自由曲線の組み合わせを鉄やガラス等を用いて創り出す感情豊かな造形が特徴です。
V.オルタによる「タッセル邸」(ベルギー、18931年)はその初期の代表作です。

3 [誤]
設問の記述は「レッド・ハウス」(イギリス、1859)が該当します。
「ウィーン郵便貯金局」(オーストリア、1906年)は、オットー・ヴァグナーが「必要様式」という考え方を提示して、「ゼツェッション(分離派)」とよばれる造形運動を指導し、機能主義・合理主義の設計理論の先駆者とされており、その作品は、古い様式にとらわれない単純で明快な幾何学的構成が特徴です。

4 [正]
設問の通りです。
G.T.リートフェルトによる「シュレーダー邸」(オランダ、1924年)は、明快な幾何学形態や空間を実現しようとする造形運動「デ・ステイル」の代表作品です。無彩色と赤・青・黄の三原色で鮮やかに色彩された面と線の要素が組合わされ、それぞれの要素は壁面や建具として独立したものであることが強調されています。

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03

1.〇
1753年に設立。ファサードはギリシャ神殿を範にして、イオニア式の円柱が並んでいます。19世紀の新古典主義のグリーク・リバイバルの代表的な作品です。

2.〇
タッセル邸はブリュッセルの都市型住宅の一つです。最初のアール・ヌーヴォ建築とも言われ、内部は自由な曲線で形成されています。

3.×
ウィーン郵便局は、アーツ・アンド・クラフト運動を背景としていません。

4.〇
オランダにあるリートフェルトによる設計です。建築材料の素材感は消され、形態や色彩を重視され、青・赤・黄の三原色に彩られた、デ・スティルの代表的作品です。

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