二級建築士 過去問
令和3年(2021年)
問28 (学科2(建築法規) 問3)

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問題

二級建築士試験 令和3年(2021年) 問28(学科2(建築法規) 問3) (訂正依頼・報告はこちら)

次の記述のうち、建築基準法上、誤っているものはどれか。
  • 建築基準法第6条第1項第一号に掲げる建築物で安全上、防火上又は衛生上特に重要であるものとして政令で定めるもの(国等の建築物を除く。)の所有者(所有者と管理者が異なる場合においては、管理者)は、当該建築物の敷地、構造及び建築設備について、定期に、一級建築士若しくは二級建築士又は建築物調査員にその状況の調査をさせて、その結果を特定行政庁に報告しなければならない。
  • 建築基準法第6条の4第1項第三号に掲げる建築物のうち準防火地域内における一戸建ての住宅を新築しようとする場合においては、建築物の建築に関する確認の特例により、建築基準法第35条の2の規定については審査から除外される。
  • 指定確認検査機関が確認済証の交付をした建築物の計画について、特定行政庁が建築基準関係規定に適合しないと認め、その旨を建築主及び指定確認検査機関に通知した場合において、当該確認済証は、その効力を失う。
  • 災害があった場合において公益上必要な用途に供する応急仮設建築物を建築した者は、その建築工事を完了した後3月を超えて当該建築物を存続させようとする場合においては、原則として、その超えることとなる日前に、特定行政庁の許可を受けなければならない。
  • 建築主は、床面積の合計が10m2を超える建築物を建築しようとする場合においては、原則として、建築主事を経由して、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。

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この過去問の解説 (3件)

01

1.正しいです。

法12条1項の法文であり、特定建築物の定期報告の必要性が記されています。

 

2.間違いです。

法35条の2の特殊建築物の内装について、該当する建築物について令128条の4に記されています。

準防火地域内における一戸建ての住宅が内装制限から除外されるという記載は法文中にありません。

 

3.正しいです。

法6条の2第6項に記されている内容です。

確認申請報告書において特定行政庁が建築基準関係規定に該当しないと認めた場合、確認済証はその効力を失います。

 

4.正しいです。

法85条3項に記されている内容です。

応急仮設建築物は工事完了後3カ月以上存続させるために特定行政庁の許可が必要です。

 

5.正しいです。

10㎡を超える建築物の建築は確認申請が必要であり、

建築主事を通して都道府県知事への届け出が必要となります。

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02

1 〇

法第12条の定期報告についての文です。

特殊建築物の建築設備については一級建築士、二級建築士、建築物調査員(建築物調査員資格者証の交付を受けているもの)に状況の調査をさせて、結果を特定行政庁に報告しなければならないとあります。正しいです。

2 ×

法第35条の2とは、特殊建築物等の内装制限の内容です。

スプリンクラー等の排煙設備を設けた場合や、主要構造部を耐火構造にした場合除外規定はありますが、準防火地域内の建築物についての特別規定の適応はありません。間違いです。

3 〇

法第6条の2において、特定行政庁が建築基準関係規定に適合しないと認めた建築物に関しては、通知を行わなければならず、その場合においては当該確認済証は効力を失うとあります。正しいです。

4 〇

法第85条において、応急仮設建築物を建築した者は、その建築工事が完了した後3月を超えて当該建築物を存続しようとする場合においては、その超えることとなる日前に、特定行政庁の許可を受けなければならない、とあります。正しいです。

5 〇

床面積が10㎡を超える場合は原則として届出が必要です。正しいです。

問題の出方としては床面積が10㎡以内の場合は届け出の必要がない、という逆を問う問題も多く見られます。

よって問の答えは 2 となります。

参考になった数11

03

この問題に取り組む際に意識したいことは、建築基準法における各制度の目的と適用条件を正確に区別することです。

建築確認(法第6条):建物を建てるための主要な手続きであり、法適合性の審査を受けることです。

建築工事届(法第15条):建築確認とは異なり、統計目的で都道府県知事に提出する報告です。

確認の特例(法第6条の4):小規模な建物に適用される、審査の一部省略に関する特例です。ただし、防火・準防火地域などの重要な規定は省略されません

このように、それぞれの制度が「誰が」「何のために」「何を審査・報告するか」を明確に理解することが、正答を導き出す鍵となります。特に、似たような言葉(「申請」と「届出」など)の違いに注意を払うことが、正解への近道となるはずです。

選択肢1. 建築基準法第6条第1項第一号に掲げる建築物で安全上、防火上又は衛生上特に重要であるものとして政令で定めるもの(国等の建築物を除く。)の所有者(所有者と管理者が異なる場合においては、管理者)は、当該建築物の敷地、構造及び建築設備について、定期に、一級建築士若しくは二級建築士又は建築物調査員にその状況の調査をさせて、その結果を特定行政庁に報告しなければならない。

「建築基準法第8条(維持保全)」に規定されている定期報告文章によると、特定行政庁が指定する特定建築物、特定建築設備、防火設備、昇降機等については、その所有者(または管理者)が、一級建築士、二級建築士、またはそれぞれの専門資格者(建築物調査員、建築設備検査員、昇降機等検査員など)に定期的に調査・検査をさせ、その結果を特定行政庁に報告する義務があります。国等の建築物は、この報告義務の対象外とされています。

つまり、この記述は正しいです。

選択肢2. 建築基準法第6条の4第1項第三号に掲げる建築物のうち準防火地域内における一戸建ての住宅を新築しようとする場合においては、建築物の建築に関する確認の特例により、建築基準法第35条の2の規定については審査から除外される。

「建築基準法第6条の4第1項第3号(いわゆる4号建築物(小規模な木造建築物など)の確認の特例)」に規定されている文章によると、建築士が設計した特定の小規模建築物について、構造関係規定等の審査が省略されることがあります。しかし、防火地域及び準防火地域内の建築物に対する制限の緩和を定める「建築基準法第35条の2」の規定は、この確認の特例の対象外であり、審査から除外されることはありません。 

したがって、この記述は誤りです。

選択肢3. 指定確認検査機関が確認済証の交付をした建築物の計画について、特定行政庁が建築基準関係規定に適合しないと認め、その旨を建築主及び指定確認検査機関に通知した場合において、当該確認済証は、その効力を失う。

「建築基準法第9条の2第2項」に規定されています。指定確認検査機関が交付した確認済証であっても、特定行政庁がその計画が建築基準関係規定に適合しないと認めた場合、特定行政庁は建築主と指定確認検査機関にその旨を通知し、当該確認済証はその効力を失います。これは、建築基準法の最終的な執行責任が特定行政庁にあるためです。

つまり、この記述は正しいです。

選択肢4. 災害があった場合において公益上必要な用途に供する応急仮設建築物を建築した者は、その建築工事を完了した後3月を超えて当該建築物を存続させようとする場合においては、原則として、その超えることとなる日前に、特定行政庁の許可を受けなければならない。

「建築基準法第85条第3項」に規定されている文章によると、災害応急仮設建築物は、災害発生後3ヶ月は建築確認なしで存続できますが、それ以降も存続させる場合は、3ヶ月を超える日前に特定行政庁の許可が必要となります。許可期間は最長で2年とされています(同条第4項)。

つまり、この記述は正しいです。

選択肢5. 建築主は、床面積の合計が10m2を超える建築物を建築しようとする場合においては、原則として、建築主事を経由して、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。

「建築基準法第15条第1項」に規定されているのは「建築工事届」の提出義務です。床面積の合計が10mを超える建築物を建築しようとする場合、建築主は「建築工事届」を建築主事を経由して都道府県知事に届け出なければなりません。これは建築確認申請とは別の統計報告のための届出であり、建築確認申請の対象となる建築物(法第6条第1項各号に該当するもの)は、この届出ではなく建築確認申請を行う必要があります。

つまり、この記述は正しいです。

まとめ

この問いで誤りな記述は「建築基準法第6条の4第1項第三号に掲げる建築物のうち準防火地域内における一戸建ての住宅を新築しようとする場合においては、建築物の建築に関する確認の特例により、建築基準法第35条の2の規定については審査から除外される。」でした。

不適切な理由:この規定(いわゆる4号建築物の確認の特例)では、特定の小規模建築物について、構造関係規定などの審査が一部省略されます。しかし、防火地域や準防火地域に関する規定(建築基準法第35条の2)は、この特例の対象外です。したがって、これらの地域で建築される建物は、規模に関わらず、防火・準防火に関する規定の審査を必ず受けなければなりません。

・その他の選択肢のポイント:

・定期報告制度(法第8条):国等の建築物を除き、特定建築物等の所有者(管理者)は、定期的に専門家による調査・検査を受け、特定行政庁に報告する義務があります。

確認済証の効力失効(法第9条の2):指定確認検査機関が発行した確認済証でも、特定行政庁が不適合と判断した場合は、その効力が失われます。

・応急仮設建築物(法第85条):災害時の応急仮設建築物は、3ヶ月を超えて存続させる場合、特定行政庁の許可が必要です。

・床面積が10m²を超える建物:床面積が10m²を超える建物を建てる場合、原則として「建築確認申請」を行い、確認済証の交付を受ける必要があります。

この問題を通じて、建築確認制度、定期報告制度、応急仮設建築物など、建築基準法の基本的な手続きやルールを正しく理解しているかが問われていることがわかります。

 

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