二級建築士 過去問
令和3年(2021年)
問29 (学科2(建築法規) 問4)
問題文
木造2階建て、延べ面積180m2の長屋の計画に関する次の記述のうち、建築基準法に適合しないものはどれか。
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問題
二級建築士試験 令和3年(2021年) 問29(学科2(建築法規) 問4) (訂正依頼・報告はこちら)
木造2階建て、延べ面積180m2の長屋の計画に関する次の記述のうち、建築基準法に適合しないものはどれか。
- 建築材料には、クロルピリホスを添加しなかった。
- 各戸の界壁を小屋裏又は天井裏に達するものとしなかったので、遮音性能については、天井の構造を天井に必要とされる技術的基準に適合するもので、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるものとした。
- 居間の天井の高さを2.3mとし、便所の天井の高さを2.0mとした。
- 階段の片側にのみ幅12cmの手すりを設けたので、階段の幅は、77cmとした。
- 下水道法第2条第八号に規定する処理区域内であったので、便所を水洗便所とし、その汚水管を合併処理浄化槽に連結させ、便所から排出する汚物を公共下水道以外に放流した。
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この過去問の解説 (3件)
01
1 〇
クロルピリホスは現在の建築基準法では使用が禁止されています。
建築材料に添加しなかったのは適切となります。
2 〇
法第30条において、長屋又は共同住宅の各界壁は、小屋裏又は天井に達するものか、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものとしなければならないとあります。正しいです。
3 〇
居室の天井の高さは2.1m以上とします。
天井高さが違う部屋が複数ある場合は、その室の平均高さとする、とありますが、便所はそもそも居室ではない為、2.0mでも問題はありません。
(実際の建築で2.0mの天井はかなりの圧迫感はありますが・・・)
4 〇
階段の幅は指定の住宅であれば75cm以上とします。
手摺は10cmを限度に無いものとみなしてよい為、
75+(12 - 10)=77cm となり適切となります。
5 ×
下水道法第2条第八号の処理区域に関しては、便所の汚水は終末処理できる公共下水道に接続しなければなりません。
合併処理浄化槽に連結させることはできませんので、間違いです。
よって問の答えは 5 となります。
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02
1.正しいです。
令20条の6において、「クロルピリホスを添加しないこと」と
「クロルピリホスをあらかじめ添加した建築材料を使用しないこと」が規定されています。
2.正しいです。
法30条において、長屋又は共同住宅の各戸の界壁は小屋裏又は天井裏に達するものとするほか、政令に定める技術的基準に適合するもので告示仕様又は大臣認定のものに必要があります。
3.正しいです。
令21条1項により居室の天井高さは2.1m以上としなければならないと示されています。
便所は居室には該当しないため2.1m以下とすることができます。
4.正しいです。
令23条1項により、住宅の階段の幅は75cm以上とすることが定められています。
また、手すりは10cmを限度としてないものとしてみなすことができます。(3項)
問題文の場合 77ー(12-10)=75cmとなり建築基準法を満たしています。
5.間違いです。
下水道法第2条第八号の処理区域においては、終末処理場により処理する必要があります。
終末処理場とは6号に示されている通り、「下水道の施設として設けられる処理施設及びこれを補完する施設」とありますので、問題文は間違いとなります。
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03
この問題では、建築基準法だけでなく、他の関連法規(この場合は下水道法)との関係性を理解していることが、問題を解くカギとなります。特に、建築計画においては、建築基準法以外の法律(都市計画法、消防法など)の規定も遵守する必要があることを意識することが重要です。各設備の設置基準や寸法規定だけでなく、特定の地域における法的義務(例:処理区域での公共下水道接続義務)を正確に把握することがこの問題では一番に求められます。
建築基準法は、シックハウス対策として、居室を持つ建築物の建築材料に使用される化学物質に規制を設けています。特に、クロルピリホスは、2003年(平成15年)の建築基準法改正により、その使用が全面禁止されました。つまり、この記述は建築基準法に適合しています。
「建築基準法第30条」および「建築基準法施行令第22条の2」によれば、共同住宅や長屋の各戸の界壁は、小屋裏又は天井裏に達するように設けなければなりません。しかし、例外が存在し、「国土交通大臣が定めた構造方法を用いるか、又は国土交通大臣の認定を受けたもの」であれば、界壁を小屋裏・天井裏まで達しない構造とすることが認められています。
つまり、この記述は建築基準法に適合しています。
「建築基準法施行令第21条」では、居室の天井の高さは2.1m以上と定められています。居間(居室)の天井高さを2.3mとすることは、この基準を満たしているため適合しています。一方、便所は居室ではないため、天井の高さに関する明確な最低基準は定められていません。
つまり、この記述は建築基準法に適合しています。
「建築基準法施行令第23条」に規定されている文章によると、長屋の階段の有効幅員は75cm以上と定められています。階段の幅員は、手すりの幅(10cmを超える部分)を除いて計測されます。この計画では、手すりの幅12cmのうち、10cmを超える2cmが階段の幅から除外されるため、実際の幅員は77cm-2cm=75cmとなり、法令の基準を満たしています。また、幅員1m未満の階段では、手すりは片側のみの設置で良いとされています。
そのため、この記述は建築基準法に適合します。
「下水道法第2条第8号」に規定する「処理区域」とは、公共下水道が整備され、利用可能な区域を指します。「同法第11条の3」では、この処理区域内では、原則として汚水を公共下水道に接続して排出することが義務付けられています。したがって、処理区域内において、汚水を合併処理浄化槽に連結させ、公共下水道以外に放流する計画は、下水道法に反しています。
したがって、建築基準法に不適合です。
この問いで最も不適切な記述は「 下水道法第2条第八号に規定する処理区域内であったので、便所を水洗便所とし、その汚水管を合併処理浄化槽に連結させ、便所から排出する汚物を公共下水道以外に放流した。」でした。
不適切な理由: 下水道法で定められる「処理区域」とは、公共下水道が整備されている地域です。この区域内では、原則として便所からの汚水を公共下水道に接続して処理することが義務付けられています。したがって、公共下水道が利用可能にもかかわらず、個別の合併処理浄化槽を設置して放流する計画は、建築基準法に適合しません。
その他の選択肢のポイント:
・クロルピリホス不使用: 2003年以降、建築材料へのクロルピリホスの使用は全面禁止されており、これを使用しなかった計画は適合しています。
・界壁の構造: 長屋の界壁は、小屋裏や天井裏に達する必要がありますが、国土交通大臣が定めた構造方法を用いることで、達しない構造も認められています。
・天井の高さ: 居室の天井高さは2.1m以上が基準であり、2.3mは適合しています。便所は居室ではないため、2.0mでも問題ありません。
・階段の幅: 階段の有効幅員は75cm以上が必要ですが、手すりの幅は10cmを超える部分のみ除外して計算するため、幅77cmの階段に幅12cmの手すりを設けた場合、有効幅員は75cmとなり基準を満たします。
この問題では、建築基準法の条文知識だけでなく、建築物の各部(建材、構造、寸法など)の基準、さらには他の関連法規(下水道法など)との関連性を理解していることが解くうえで大切になってきます。
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