二級建築士の過去問
令和3年(2021年)
学科3(建築構造) 問21
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問題
二級建築士試験 令和3年(2021年) 学科3(建築構造) 問21 (訂正依頼・報告はこちら)
コンクリートに関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- コンクリート養生期間中の温度が高いほど、一般に、初期材齢の強度発現は促進されるが、長期材齢の強度増進は小さくなる。
- コンクリートの乾燥収縮は、一般に、乾燥開始材齢が遅いほど小さくなる。
- 高炉セメントB種を用いたコンクリートは、圧縮強度が同程度の普通ポルトランドセメントを用いたコンクリートに比べて、湿潤養生期間を短くすることができる。
- アルカリ骨材反応によるコンクリートのひび割れは、骨材中の成分がセメントペースト中に含まれるアルカリ分と反応し、骨材が膨張することによって生じる。
- コンクリートの線膨張係数は、常温時において、鉄筋の線膨張係数とほぼ等しい。
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この過去問の解説 (3件)
01
1:正。
コンクリートの養生期間中の温度が高いほど水和反応が促進されるため、強度発現が促進されます。
ただし、長期材齢の強度増進は小さくなります。
2:正。
コンクリートの乾燥収縮は、乾燥開始材齢は遅いほど小さくなります。
3:誤。
湿潤養生の期間は、普通ポルトランドセメントは短期・標準で5日以上、長期で7日以上です。
高炉セメントB種は短期・標準で7日以上、長期で10日以上です。
よって、高炉セメントB種を用いたコンクリートは、圧縮強度が同程度の普通ポルトランドセメントを用いたコンクリートに比べて、湿潤養生期間が長くなります。
4:正。
アルカリ骨材反応によるコンクリートのひび割れは、骨材中の成分がセメントペーストに含まれるアルカリ分と反応し、
吸水によって膨張することで生じます。
5:正。
コンクリートの線膨張係数は、常温時において、鉄筋の線膨張係数とほぼ等しく「約1×10-5/℃」です。
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02
建築材料(コンクリート)に関する問題です。
正しい内容です。
養生期間中の温度が高い方が初期強度の発現が早くなります。
しかし、温度が高すぎると長期材齢の強度促進が小さくなります。
正しい内容です。
コンクリートの乾燥収縮は、乾燥開始材齢が遅いほど小さくなります。
不適当な内容です。
高炉セメントB種を用いたコンクリートは、普通ポルトランドセメントを用いたコンクリートと比較して養生期間が「長く」なります。
正しい内容です。
アルカリ骨材反応は、骨材がセメントに含まれるアルカリ成分と化学反応を起こして膨張し、コンクリートひび割れの原因となります。
正しい内容です。
鉄筋とコンクリートの膨張係数はほぼ等しくなっています。
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03
最も不適当な選択肢は、
「高炉セメントB種を用いたコンクリートは、圧縮強度が同程度の普通ポルトランドセメントを用いたコンクリートに比べて、湿潤養生期間を短くすることができる。」
です。
高炉セメントB種は高炉スラグを混ぜたセメントで、主な特徴としては、水和速度が遅い、塩害や化学抵抗性に強い、中性化速度が大きいといったものが挙げられます。
水和速度が遅いと初期強度の発現も遅くなるので、強度を確保するために、湿潤養生期間は長くなります。
各選択肢の解説は以下のとおりです。
正しい選択肢です。
コンクリート養生期間中の温度に関して、温度の高い方が初期材齢の強度発現は早いのですが、長期材齢の強度発現に関しては温度が低い方が良く、最終的な強度は逆転します。
正しい選択肢です。
コンクリートの乾燥収縮は、養生期間を長く取り、乾燥開始材齢を遅くするほど小さくなります。
なお、乾燥開始材齢とは、型枠を脱型してから乾燥させる期間のことです。
不適当な選択肢です。
高炉セメントB種は、普通ポルトランドセメントと比べると下記の特徴があります。
・水和速度が遅い(初期強度が小さく、水和熱が上がりにくい)
・塩害や化学抵抗性に強い
・中性化速度が大きい
高炉セメントB種は水和速度が遅く初期強度の発現が遅いため、強度を確保するために、普通ポルトランドセメントと比べて湿潤養生期間は長くなります。
※参考(湿潤養生期間)
早強 短期標準3日、長期5日
普通 短期標準5日、長期7日
その他 短期標準7日、長期10日
正しい選択肢です。
骨材に含まれる成分とセメントペーストに含まれるアルカリ分が反応すると、骨材が膨張し、コンクリートのひび割れが発生します。
正しい選択肢です。
コンクリートと鉄筋の線膨張係数はほぼ等しいです。
これが鉄筋コンクリート造のメリットであり、鉄筋コンクリート温度が変わっても一体で変形すると考えることができます。
なお、具体的な値は「約1×10-5/℃」です。
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