第二種電気工事士の過去問
令和3年度下期 午後
一般問題 問9

１：×

２：×

３：×

４：○

接続されている電熱器[H]は1台での定格電流は5A、電動機[M]は2台で定格電流は5Aと15Aなので、合計20Aです。

本問題はI_M＞I_Hに該当し、I_M≦50であることが分かります。

公式より、I_W≧1.25I_M+I_HにI_M=20A、I_H=5Aを代入し

　I_W≧1.25×20+5

　　≧25+5

　　≧30[A]

となります。

続いて、I_Bを求めると、本問題は電動機が2台接続されています。また、2.5I_W≧3I_M+I_Hが成り立つ状態なので、公式I_B≦3I_M+I_Hが適用されます。

　I_B≦3×20+5

　　≦60+5

　　≦65[A]

よって、4が正解となります。

この問題は出題科目「配電理論及び配線設計」からの出題です。

この問題では下記の知識を求められています。

＜必要知識＞

◯幹線の許容電流 I_W が計算できる。

◯幹線の過電流遮断器の定格電流 I_B が計算できる。

幹線の許容電流は、負荷の定格電流の総和によって決めますが、

負荷に電動機がある時は、電動機が動き出す時に大きな電流が流れるので、

その電流分を踏まえた計算式で計算します。

この必要知識に伴う計算式は下記です。

＜必要計算式＞

・電動機の定格電流の合計値 I_M が、電動機以外の負荷の定格電流の

合計値 I_H よりも小さいか等しい場合

I_W ≧ I_M ＋I_H

・電動機の定格電流の合計値 I_M が、電動機以外の負荷の定格電流の

合計値 I_H よりも大きい場合

I_M ≦ ５０［A］なら　 I_W ≧１.２５ × I_M ＋ I_H

I_M ＞５０［A］なら　 I_W ≧１.１ × I_M ＋ I_H

幹線の過電流遮断器の定格電流 I_BはWよりも小さいか等しく設定するのが原則です。

ただし電動機が接続されている場合は、電動機有りの計算式で計算します。

・２.５ × I_W ≧３ × I_M ＋ I_H なら、 I_B ≦３ × I_M ＋ I_H

・２.５ × I_W ＜３ × I_M ＋ I_H なら、 I_B ≦２.５ × I_W

それでは上記の必要知識及び計算式を使って問題を解いていきます。

電熱器の定格電流の合計値 I_H ＝５［A］

電動機の定格電流の合計値 I_M ＝５［A］＋１５［A］＝２０［A］

よって電動機の定格電流値の合計値 I_M が電熱器の

定格電流値の合計値 I_Hよりも大きく、かつ I_M ≦５０［A］のため、

I_W ≧１.２５ × ２０［A］＋５［A］＝３０［A］

幹線の過電流遮断器の定格電流 I_B は、電動機ありの計算式に当てはめると、

２.５ × I_W ＝２.５ × ３０［A］＝７５［A］

３ × I_M ＋ I_H ＝３ × ２０［A］＋５［A］＝６５［A］

２.５ × I_W ≧３ × I_M ＋ I_H の条件に当てはまるため I_B は、

I_B ≦３ × I_M ＋ I_H ＝３ × ２０［A］＋５［A］＝６５［A］

上記の計算式から、

正解は、I_W ≧３０［A］、 I_B ≦６５［A］となります。

本問は、幹線から分岐した負荷によって、幹線太さの根拠となる電流値と、過電流遮断器の定格電流を決める根拠を求める問題です。

幹線太さの根拠となる電流値、すなわち幹線の許容電流を I_W [A]、分岐した負荷のうち電動機の定格電流の総和を I_M [A]、電動機以外の負荷(問題ではヒータ)の総和を I_H [A] とします。

図から、I_M [A]＝20 [A]、I_H [A]＝5 [A] です。

I_M [A]＞I_H [A] となるため、次に2つの選択肢から、I_W [A] を求めます。

➀ I_M [A] ≦ 50 [A]の場合　⇒　I_W [A] ＝ 1.25 × I_M [A] ＋ I_H [A]

② I_M [A] ＞ 50 [A]の場合　⇒　I_W [A] ＝ 1.1 × I_M [A] ＋ I_H [A]

I_M [A]＝20 [A] ≦ 50 [A] ですから、➀の方で、I_W [A] を求めます。

I_W [A] ＝1.25 × 20 [A] ＋ 5 [A] ＝ 30 [A]

となります。

次に、過電流遮断器の定格電流 I_B [A]を求めます。

I_B [A] は幹線の許容電流 I_W [A] より小さくしますが、電動機が負荷にある場合は、次の2つの選択肢から、I_B [A] を決めます。

③ 2.5 I_W [A] ≧ 3 I_M [A] ＋ I_H [A]　⇒　I_B [A] ≦ 3 I_M [A] ＋ I_H [A]

④ 2.5 I_W [A] ＞ 3 I_M [A] ＋ I_H [A]　⇒　I_B [A] ≦ 2.5 I_W [A]

2.5 I_W [A]＝2.5 × 30 [A] ＝ 75 [A]

3 I_M [A] ＋ I_H [A] ＝ 3 × 20 [A] ＋ 5 [A] ＝ 65 [A]

となり、③ の式が適用されます。

I_B [A] ≦ 3 I_M [A] ＋ I_H [A] ＝ 65 [A]