二級ボイラー技士の過去問
令和2年10月公表
ボイラーの構造に関する知識 問2

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問題

二級ボイラー技士試験 令和2年10月公表 ボイラーの構造に関する知識 問2 (訂正依頼・報告はこちら)

水管ボイラーについて、誤っているものは次のうちどれか。
  • 自然循環式水管ボイラーは、高圧になるほど蒸気と水との密度差が大きくなり、ボイラー水の循環力が強くなる。
  • 強制循環式水管ボイラーは、ボイラー水の循環系路中に設けたポンプによって、強制的にボイラー水の循環を行わせる。
  • 二胴形水管ボイラーは、炉壁内面に水管を配した水冷壁と、上下ドラムを連絡する水管群を組み合わせた形式のものが一般的である。
  • 高圧大容量の水管ボイラーには、炉壁全面が水冷壁で、蒸発部の対流伝熱面が少ない放射形ボイラーが多く用いられる。
  • 水管ボイラーは、給水及びボイラー水の処理に注意を要し、特に高圧ボイラーでは厳密な水管理を行う必要がある。

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この過去問の解説 (3件)

01

正答は「1」です。

設問は、水管ボイラについて問われています。

以下に、選択肢ごとに説明します。

 1.自然循環式水管ボイラは、高圧になるほど蒸気と水との密度差が小さくなるため、ボイラー水の循環力が弱くなってしまいます。
   そのため、自然循環式水管ボイラは低・中圧のボイラに適しています。

 2.強制循環式水管ボイラは、ボイラ水の循環系路中に設けたポンプによって、強制的にボイラ水の循環を行わせます。
   蒸気と水の密度差に関係なく循環できるため、高圧ボイラにも適しています。

 3.二胴形水管ボイラは、炉壁内面に水管を配した水冷壁と、上下ドラムを連絡する水管群を組み合わせた形式のものが一般的です。

 4.高圧大容量の水管ボイラには、炉壁全面が水冷壁で、蒸発部の対流伝熱面が少ない放射形ボイラーが多く用いられます。

 5.水管ボイラは、給水及びボイラ水の処理に注意を要し、特に高圧ボイラでは厳密な水管理を行う必要があります。
   高圧ボイラのボイラ水は濃縮されやすくなるためです。

以上の説明により、選択肢1が誤っていることがわかります。

正答は「1」です。

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02

正解は、 1 です。

1.誤った記述です。

自然循環式水管ボイラーは、高圧になるほど蒸気と水との密度差が小さくなり、ボイラー水の循環力が弱くなります。

高圧になるほど液体と気体の区別が無くなりますので、密度差としては小さくなります。

2.正しい記述です。

強制循環式水管ボイラーは、水と汽水混合物の密度差が少なくなって自然循環力の低下しがちな高圧ボイラーに用いられます。

3.新しい記述です。

二胴形水管ボイラーは、ドラムが上下に2つあります。上部のドラムを蒸気ドラムといい、下部のドラムを水ドラムといいます。蒸気ドラムと水ドラムの間を水管群で繋げています。

4.正しい記述です。

高圧大容量の水管ボイラーは、炉の上部が放射熱吸収を目的とした水冷壁で囲まれています。

5.正しい記述です。

水管ボイラーは水質の管理不足により、水管へのスケール付着やスラッジの生成が起きやすくなります。スケールやスラッジは、伝熱管の腐食や過熱の原因になります。スケールやスラッジを生成させない為に、厳密な水質管理を行う必要があります。

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03

正解は1です。

1.自然循環は流体の密度差によって生じる現象です。

例えば、少し古いお風呂を沸かした時、上の部分は熱いお湯になっているのに、下の部分は冷たい状態のままということがよくありました。これは、お湯が熱で膨張して密度が小さくなり、自然に上昇するために起こります。

ボイラーの自然循環もこの現象と同じです。ボイラーで加熱された高温の水や蒸気は、加熱前の水に比べて密度が小さくなるため、配管内を上昇していきます。しかし高圧になるほど、蒸気は圧縮され体積が減少するため、密度が大きくなり、水との密度差が小さくなります

これにより水の循環力も弱くなります。

2.高温高圧の大型ボイラーでは、1で説明したように水の循環力が弱くなるため、ポンプによって強制的に水を循環させます。このことを自然循環に対し、「強制循環」と呼びます。

3.二胴形水管ボイラーは、炉壁内面に水管を配した水冷壁と、上下ドラムを連絡する水管群を組み合わせた形式のものが一般的です。上のドラムから降水管と呼ばれる配管を通って下のドラムへ移動し、その後ボイラーで加熱され上昇管を上っていきます。

4.高圧大容量の水管ボイラーには、炉壁全面が水冷壁で、蒸発部の対流伝熱面が少ない放射形ボイラーが多く用いられます。

5.高圧ボイラーは保有水量が少ないことが多く、ボイラー水が濃縮しやすいやめ、厳密な水管理をしなければなりません。

参考になった数17