二級ボイラー技士の過去問
令和4年10月公表
ボイラーの取扱いに関する知識 問8

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問題

二級ボイラー技士試験 令和4年10月公表 ボイラーの取扱いに関する知識 問8 (訂正依頼・報告はこちら)

ボイラーの水管理について、誤っているものは次のうちどれか。
  • 水溶液が酸性かアルカリ性かは、水中の水素イオンと水酸化物イオンの量により定まる。
  • 常温(25℃)でpHが7未満は酸性、7は中性である。
  • 酸消費量は、水中に含まれる水酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩などのアルカリ分の量を示すものである。
  • 酸消費量(pH4.8)を滴定する場合は、フェノールフタレイン溶液を指示薬として用いる。
  • 全硬度は、水中のカルシウムイオン及びマグネシウムイオンの量を、これに対応する炭酸カルシウムの量に換算し、試料1リットル中のmg数で表す。

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この過去問の解説 (3件)

01

【同一テーマでの出題回数】★★★★★(H27/4~R4/4公表分)

ボイラーの取扱い業務において、不適切な水管理は使用されているボイラーの金属素材腐食をはじめ効率低下など、影響は計り知れません。そのような水管理は、大きくは「補給水」の段階で行う処理とブローなどの「系統内処理」に分けて行われることが一般的です。

選択肢1. 水溶液が酸性かアルカリ性かは、水中の水素イオンと水酸化物イオンの量により定まる。

正しい文章です。

ボイラーの水管理において、対象の水溶液が「酸性」か「アルカリ性」かを把握して対処するのが大切です。特に酸性ではボイラーにとって悪影響を及ぼすことが大きいため、アルカリ性にするよう処理が行われています。なぜ酸性では好ましくないのかといえば、水素イオン(H⁺)濃度が高いため金属中の物質と結合し腐食を促進してしまうからです。一方のアルカリ性は水酸化物イオン(OH⁻)濃度が高いため比較的水溶液中の化学反応は不活発となるためです。

選択肢2. 常温(25℃)でpHが7未満は酸性、7は中性である。

正しい文章です。

ボイラーの水管理では、ボイラー水や補給水が酸性かアルカリ性が勝っているかで対応も大きく変わってきます。そこで日常的に監視しやすいようpH(Potential Hydrogen)と呼ばれる水素イオン濃度を調べることが行われています。このpHの値が中性の7を境として、7未満が酸性であり7を超えるとアルカリ性と判別が可能となります。

選択肢3. 酸消費量は、水中に含まれる水酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩などのアルカリ分の量を示すものである。

正しい文章です。

ボイラーの水管理において、水溶液中のアルカリ成分となる水酸化物や炭酸塩などの量が大きければ多くの酸を消費し、少なければ酸の消費量も少ないと逆説的に判断できます。具体的には炭酸カルシウムの量が試料1ℓ中に何mgあるかで数値化した「酸消費量」と言われるものが利用されています。実際は酸消費量(pH4.8)と酸消費量(pH8.3)の2種類が使われています。

選択肢4. 酸消費量(pH4.8)を滴定する場合は、フェノールフタレイン溶液を指示薬として用いる。

誤った文章です。

ボイラーの水管理で重要な指標となる「酸消費量」を知る方法として使われる指示薬は、酸消費量(pH4.8)では「メチルレッド溶液」で「フェノールフタレイン溶液」が誤りです。フェノールフタレイン溶液は、酸消費量(pH8.3)で使用するものです。

選択肢5. 全硬度は、水中のカルシウムイオン及びマグネシウムイオンの量を、これに対応する炭酸カルシウムの量に換算し、試料1リットル中のmg数で表す。

正しい文章です。

ボイラーの水管理においては、腐食に関係することから水溶液中の酸性とアルカリ性という指標が使われています。そのほか不純物の析出に関係する「カルシウムイオン」と「マグネシウムイオン」の含有量を、試料1リットル中に炭酸カルシウムの量が何mgあるかで換算した「硬度」という数値も使われています。さらに硬度は、カルシウムイオンに対応した「カルシウム硬度」とマグネシウムイオンに対応した「マグネシウム硬度」があり、その合計が「全硬度」と呼ばれているものです。

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02

ボイラーに使用される水は、水道水・地下水・工業用水・天然水などで、このままではボイラーに給水できないため、給水用に軟化、イオン交換などの処理した処理水が給水されます。

ボイラー運転上、重要なことの一つが、水管理です。水による障害を防止するための基準が設けられ、基準を満たすためにボイラー系統内処理水処理などが行われます。他にも、排水処理、吹出し操作、水質の検査なども障害防止の一環です。

今回の出題は、水の基本とも言うべき、pH,酸消費などに水の性質に関する問題です。

選択肢1. 水溶液が酸性かアルカリ性かは、水中の水素イオンと水酸化物イオンの量により定まる。

正しいです。

水が酸性かアルカリ性のどちらかですが、それはボイラー水の水素イオン(H+) 水酸化イオン(OH)の量で決まり、尺度としてpHが使用されます。

選択肢2. 常温(25℃)でpHが7未満は酸性、7は中性である。

正しいです。

pHは、25℃で、7が中性、7を超えるとアルカリ性、7未満で酸性となります。

選択肢3. 酸消費量は、水中に含まれる水酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩などのアルカリ分の量を示すものである。

正しいです。

酸消費量は、水中に含まれる水酸化物などのアルカリ分を示しますが、炭酸カルシウムの量に換算して、mg/L で表します。ボイラー水はアルカリ性ですが、これを中和するに必要な酸の量によって、ボイラー水のアルカリ度を確認します。

選択肢4. 酸消費量(pH4.8)を滴定する場合は、フェノールフタレイン溶液を指示薬として用いる。

誤りです。

酸消費量(pH4.8)の滴定には、メチルレッド指示薬が変色するpH4.8を中和点とするもので、M-アルカリ度と言います。また、フェノールフタレイン溶液指示薬は、pH8.3を中和点とするもので、P-アルカリ度と言います。

酸消費量は、酸消費量(pH4.8),酸消費量(pH8.3)があり、それらを中和するために必要な酸量を炭酸カルシウム量に換算します。

酸消費量(pH4.8)は、水のpHを4.8より高くしているものの濃度を示し、アルカリ分をpH4.8まで中和するために必要な酸量を表します。

酸消費量(pH8.3)は、水のpHを8.3より高くしているものの濃度を示し、アルカリ分をpH4.8まで中和するに要する酸の消費量を示します。

選択肢5. 全硬度は、水中のカルシウムイオン及びマグネシウムイオンの量を、これに対応する炭酸カルシウムの量に換算し、試料1リットル中のmg数で表す。

正しいです。

硬度は水に含まれる塩類の度数であり、20度以上が硬水、10度以下が軟水です。硬度には、カルシウム硬度、マグネシウム硬度、全硬度があります。全硬度は、カルシウム硬度とマグネシウム硬度を加えた硬度です。

まとめ

今回の問題は、ボイラー水中のアルカリ分を一定のpHまで中和するために必要な酸の量を求めることに対しての出題でしたが、これもボイラーの水管理の問題です。ボイラーの水管理からの出題は、今回のように狭い範囲で出題する場合、水管理項目と対策方法で出題する場合など、切り口はいくつも見られます。

ボイラーの水管理はほぼ毎年出題されますので、どのような切り口で出題されても良いように準備しましょう。

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03

ボイラーの水質に関する問題です。

選択肢1. 水溶液が酸性かアルカリ性かは、水中の水素イオンと水酸化物イオンの量により定まる。

正しいです。

記述のとおり、水素イオンと水酸化物イオンによってphの値が決まります。

ボイラー水は腐食を防止する為に、水酸化物イオンの濃度が多いアルカリ性に保っています。

選択肢2. 常温(25℃)でpHが7未満は酸性、7は中性である。

正しいです。

pH常温で7未満が酸性、7が中性、7を超えるとアルカリ性になります。

選択肢3. 酸消費量は、水中に含まれる水酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩などのアルカリ分の量を示すものである。

正しいです。

水質管理において、液中のアルカリ成分の量が多ければより多くの酸を消費し、少なければ酸の消費量も少なくなります。

よって酸消費量はアルカリ分の量を示す指標になります。

選択肢4. 酸消費量(pH4.8)を滴定する場合は、フェノールフタレイン溶液を指示薬として用いる。

誤りです。

酸消費量(pH4.8)を計測する方法に使用される指示薬は、メチルレッド溶液です。

フェノールフタレイン溶液は、酸消費量(pH8.3)の時に使用されます。

選択肢5. 全硬度は、水中のカルシウムイオン及びマグネシウムイオンの量を、これに対応する炭酸カルシウムの量に換算し、試料1リットル中のmg数で表す。

正しいです。

硬度は、カルシウムイオンに関するカルシウム硬度とマグネシウムイオンに関するマグネシウム硬度があります。

その2つの合計が全硬度になります。

まとめ

ボイラーにおいて水質管理はとても重要な項目です。

しっかりと把握しておきましょう。

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