賃貸不動産経営管理士の過去問
平成27年度(2015年)
問10

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この過去問の解説 (3件)

01

1 . 誤り。
まず、AとBとの賃貸借契約(原賃貸借契約)と、BとCとの賃貸借契約(転貸借契約)の賃料を比較します。
原賃貸借契約20万円>転貸借契約18万円です。
この場合、転借人であるCはAに対して小さい方の金額である18万円の支払い義務があります。

2 . 正しい。
原賃貸借契約(AB間の契約)が終了し、それが転借人(C)に対抗できる場合は、転借人(C)は原賃貸人(A)に対して、賃貸物件の返還義務を負います。

3 . 誤り。
更新を拒絶する正当事由の判断にあたっては、原契約当事者ではない転借人(C)の事情も考慮されます。

4 . 誤り。
転貸人(B)の債務不履行により原賃貸借契約(AB間)が解除された場合に、原賃貸人(A)が転借人(C)に賃貸物件の返還を請求すれば、転貸借契約(BC間)の契約も終了します。

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02

1.転借人は原賃貸人に対して直接賃料を支払う義務がありますが、原賃貸人が転借人に請求できる賃料は両契約で定めた額との、低い方が限度額なります。
よってこのケースですと18万円の支払義務が生じます。

2.原賃貸契約が終了している場合、転借人は原賃貸人に対して転貸借契約の継続を主張できないケースとなり、転借人は返還請求に応じなければなりません。

3.賃貸借契約の更新拒絶には正当事由が必要ですが、転借人もこの場合の借主に含まれます。

4.債務不履行により原賃貸借契約が終了しているため、転借人は原賃貸人に対して転貸借契約を主張することはできません。

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03

 本問は、いわゆるサブリースの規律を問う問題ですが、サブリースは法形式としては現賃貸借契約及び転貸借契約ですから、民法の転貸借契約の知識によって正解することができます。

肢1 正しいとはいえない

 適法な転貸借がなされている場合、転借人は自らは契約関係にたたない賃貸人に対して直接に義務を負います(民法第613条第1項)。このとき、賃貸人が転借人に直接請求できる賃料は、転貸借契約で定められた賃料の範囲内で、かつ、自ら賃借人との間で締結した現賃貸借契約で定められた賃料の範囲内の金額に限られます。

肢2 正しい

 賃借人と転借人の間で締結される転貸借契約は、賃貸人と賃借人の間で締結される原賃貸借契約をその存立の基礎とします。ゆえに、存立の基礎となる原賃貸借契約が消滅すれば、その消滅を転借人に対抗できない場合を除き、転貸借契約も消滅します。

肢3 正しいとはいえない

 建物の賃貸人が更新を拒絶するためには正当事由を伴う通知が必要です(借地借家法第26条第1項・第28条)。そして、正当事由の有無については、建物の賃貸人及び賃借人の建物使用の必要性のほか、従前の経緯、建物の利用状況、建物の現況、立ち退き料の有無・金額が考慮要素となります(同法第28条)。ここで、「賃借人には転借人を含む」とされていますので、正当事由の判断にあたり、転借人の事情も考慮要素となり得ます。

肢4 正しいとはいえない

 原賃貸借契約が債務不履行解除された場合、転貸借契約もその存立の基礎を失い消滅することになります。この場合、賃貸人が原賃貸借契約の消滅を前提として転借人に明渡しを請求した時点で、賃借人の転借人に対する使用収益させる債務が社会通念上履行不能になったと評価され、転貸借契約も消滅します。

 原賃貸借契約の消滅を転借人に対抗できない合意解除の場合との対比でおさえてください。

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