賃貸不動産経営管理士の過去問
平成30年度(2018年)
問13

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問題

賃貸不動産経営管理士試験 平成30年度(2018年) 問13 (訂正依頼・報告はこちら)

住宅の賃貸借契約の当事者が死亡した場合の法律関係に関する次の記述のうち、誤っているものの組合せはどれか。

ア  貸主が死亡し、相続人が複数いる場合、遺産分割が成立するまでの間、借主は賃料の支払を拒むことができる。
イ  貸主が死亡し、相続人が複数いる場合、相続開始から遺産分割が成立するまでの間に生じた賃料は、遺産分割により賃貸物件を相続した者がすべて取得する。
ウ  借主が死亡し、相続人が複数いる場合、遺産分割が成立するまでの間、貸主は各共同相続人に対して賃料全額の支払を請求することができる。
エ  借主が死亡し、相続人がいない場合、事実上夫婦の関係にある者が同居しているときは、その同居者が借主の地位を承継することができる。
  • ア、イ
  • ア、ウ
  • イ、エ
  • ウ、エ

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この過去問の解説 (3件)

01

正解は1(ア、イ)です。

ア、誤りです。
遺産分割が終わっていなくても、相続は開始しています。(民法882条)相続財産は当然に相続人に移転し、相続人の管理下に入ります。借主が賃料の支払いを拒むことはできません。支払先が不明な場合は供託をする事が出来ます。

イ、誤りです。
相続開始から遺産分割が成立するまでの間に生じた賃料収入は、相続財産とは別の財産として扱います。したがって、遺産分割により賃貸物件を相続した者がすべて取得できるものではなく、各相続人が法定相続分で分けられます。(判例)

ウ、正解です。
この場合の複数の相続人は、遺産分割が成立するまで、この賃貸借建物を共有している形になります。判例では、賃料債務は、反対の事情がない限り、不可分債務であるとしています 。不可分債務の場合には連帯債務の規定が準用されるので、相続人全員は賃料支払債務については連帯して支払う義務を負うことになります。その結果、賃貸人は、共同相続人の1人に対して、賃料の全額を請求できることになります。

エ、正解です。
居住の用に供する建物の賃借人が相続人なしに死亡した場合において、その当時婚姻又は縁組の届出をしていないが、建物の賃借人と事実上夫婦又は養親子と同様の関係にあった同居者があるときは、その同居者は、建物の賃借人の権利義務を承継する。ただし、相続人なしに死亡したことを知った後一月以内に建物の賃貸人に反対の意思を表示したときは、この限りでない。(借地借家法36条)

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02

 本問では、賃貸借契約の当事者が死亡した場合の賃料債権その他の規律が問われています。まず、賃貸人側の共同相続の場合は、遺産分割成立までの間に発生した賃料債権は、相続分に応じて各相続人が分割取得します(民法899条)。これに対して、賃借人側の共同相続の場合は、不可分な給付の対価として、いわゆる不可分債務となり、当該債務の債権者たる賃貸人は、各相続人に対して賃料全額を請求することができます。

肢ア 誤っている
 賃貸人側の共同相続の場合、各相続人はその相続分に応じて賃料を請求することができます。したがって、賃借人は各相続人からの請求を拒むことができません。

肢イ 誤っている
 賃貸人側の共同相続の場合、相続開始後に発生した賃料債権も、遺産分割成立前であれば、各相続人が分割取得します。

肢ウ 誤っているとはいえない
 賃借人側の共同相続の場合、賃料債務は不可分給付の対価として、いわゆる不可分債務として各相続人に帰属します。したがって、当該債務の債権者たる賃貸人は、各相続人に対して、賃料全額の請求をすることができます(民法430条・436条)。

肢エ 誤っているとはいえない
 賃借人が相続人なくして死亡した場合、賃借人の生前、事実上の夫婦の関係にあった同居の者がいるときは、その同居人は相続人ではありませんが、賃借人の地位を承継することができます(借地借家法36条1項)。

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03

誤っているものの組合せは『ア、イ』です。

ア.誤り。

貸主が死亡し、相続人が複数いる場合、遺産分割が成立するまでの間、各相続人が相続分に応じて借主に賃料を請求することができます。よって、借主は賃料の支払を拒むことができません。

イ.誤り。

貸主が死亡し、相続人が複数いる場合、相続開始から遺産分割が成立するまでの間に生じた賃料は、各相続人が相続分に応じて分割取得します。

ウ.正しい。

借主が死亡し、相続人が複数いる場合、遺産分割が成立するまでの間、貸主は各共同相続人に対して賃料全額の支払を請求することができます。

エ.正しい。

借主が死亡し、相続人がいない場合、事実上夫婦や親子の関係にある者(特別縁故者)が同居しているときは、その同居者が借主の地位を承継することができます。

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