賃貸不動産経営管理士の過去問
令和元年度(2019年)
問15
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問題
賃貸不動産経営管理士試験 令和元年度(2019年) 問15 (訂正依頼・報告はこちら)
建物賃貸借契約と建物使用貸借契約の異同に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
- 使用貸借契約の成立のためには建物の引渡しを要するが、賃貸借契約の場合、引渡しは契約成立の要件とされていない。
- 使用貸借契約は賃貸借契約と異なり、借地借家法の適用がない。
- 使用貸借契約の使用借主も賃貸借契約の賃借人も、使用貸主及び賃貸人に対して、賃料を支払う必要がある。
- 使用貸借契約は賃貸借契約と異なり、期間満了による契約終了に当たり、賃貸借契約の終了時に必要とされる正当事由を要しない。
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この過去問の解説 (3件)
01
本問は使用貸借契約に関する問題です。
1→正しい。(2020年の民法改正後は誤り。)
民法改正前は使用貸借契約の成立には建物の引渡しが必要であり、賃貸借契約の成立には建物の引渡しは必要ではないため、選択肢は「正しい」でした。しかし2020年の民法改正により使用貸借契約も賃貸借契約のどちらも契約の成立のために、建物の引渡しは必要ではないということになりました。
2→正しい。
使用貸借契約には借地借家法は適用されません。
3→誤り。
使用貸借契約は無償で使用できる契約であり、賃料を支払う必要はありません。
4→正しい。
使用貸借契約では契約期間満了による契約終了時に正当事由は不要です。
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02
肢1→✕
使用貸借契約の成立のためには建物の引渡しは必要要件ではありません。「賃貸借契約の場合、引渡しは契約成立の要件とされていない。」という部分が間違いになります。
肢2→○
肢の通り。用貸借契約は賃貸借契約と異なり、借地借家法の適用がありません。
肢3→✕
使用貸借人は、貸借人に対して賃料を支払う必要があります。使用貸借契約は借主に無償で使用及び収益させるようになっています。「使用貸主および賃貸人に対して、賃料を支払う必要がある」という部分が間違いになります。
肢4→○
肢の通り。使用貸借契約は、期間満了による契約終了に当たり、賃貸借契約の終了時に必要とされる正当事由を要しないです。
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03
本問は、有償契約たる「建物賃貸借契約」と無償契約たる「建物使用貸借契約」の異同を問う問題です。
ともに貸主の建物を借主に使用させることを内容としますが、借主が対価的関係にたつ出捐をするかどうかの違いによって、借主の権利の要保護性に違いが出てきます。すなわち、賃料を支払う借主の権利は強く、通常は何らかの信頼関係に基づいて賃料を支払うことなく使用を認められている使用借主の地位は弱いという違いが生じるのです。
1 誤っているとはいえない
建物賃貸借契約は、貸主が使用及び収益を相手方にさせることを約し、借主が賃料を支払うことを約することによって効力を生ずるとされています(民法第601条)。これに対して、建物使用貸借契約は、無償での使用及び収益の後の返還を約することに加え、目的物を「受け取ることによって」その効力を生ずるとされています(同法第593条)。無償での使用収益を認められている借主に、貸主が目的物を引渡さなかった場合の引渡請求まで認める必要はないでしょう。
2 誤っているとはいえない
借地借家法は、地上権設定契約における地上権者及び賃貸借契約における賃借人を政策的に保護するために、一定の場合にこれらの者に適用されます(借地借家法第1条)。無償使用を認められている使用借主は、かかる政策的保護の対象とはされていません。
3 誤っている
賃貸借契約は、契約当事者双方が互いに対価的関係にたつ出捐をなすという意味での有償契約です。これに対して、使用貸借契約は、借主が無償での使用及び収益を認められる無償契約です。つまり、賃借人は賃料を支払う必要がありますが、使用借主は借賃を支払う必要がありません。
4 誤っているとはいえない
建物賃貸借契約において、賃貸人の側から契約を終了させるためには、正当事由を伴う更新拒絶が必要です(借地借家法第28条)。つまり、正当事由が認められない限り、賃借人は賃借権を失わないという形で政策的保護を受けられます。これに対して、使用貸借契約には借地借家法の適用がないため、使用借主は正当事由の有無に関わらず、契約期間の満了等によって終了します(民法第597条・第598条)。
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