中小企業診断士の過去問
平成27年度(2015年)
経営法務 問11

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問題

中小企業診断士試験 第1次試験 経営法務 平成27年度(2015年) 問11 (訂正依頼・報告はこちら)

商標制度に関する記述として最も適切なものはどれか。
  • 自己の氏名を普通に用いられる方法で表示する商標であっても、先に登録された商標と同一であれば商標権の侵害となる。
  • 商標の更新登録の申請の際には、審査官による実体審査はなされない。
  • テレビやコンピュータ画面等に映し出される変化する文字や図形は商標登録される場合はない。
  • 文字や図形等の標章を商品等に付す位置が特定される商標が商標登録される場合はない。

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この過去問の解説 (3件)

01

1:不適切です。
自己の氏名を普通に用いられる方法で表示する商標である場合、先に登録された商標の商標権は及びません。

2:適切です。
記述の通りです。

3:不適切です。
テレビやコンピュータ画面等に映し出される変化する文字や図形であっても商標登録される場合があります。

4:不適切です。
文字や図形等の標章を商品等に付す位置が特定される商標であっても商標登録される場合があります。

本問は項番3、4において「場合はない」という記述が使われておりました。この記述のある選択肢は誤りであること多いため、選択に迷った際の選定基準として覚えておきましょう。

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02

正解は、「商標の更新登録の申請の際には、審査官による実体審査はなされない。」です。

【基礎知識】

・商標とは

事業者が、自己(自社)の取り扱う商品・サービスを他人(他社)のものと区別するために使用するマーク(識別標識)

・商標権の設定

特許庁へ出願し、商標権を設定し、自社のマークを保護すること → 先願主義(先に出願した方が優先)

・登録できない商標

① 自己の商品等と他人の商品等を区別できないもの

 → 地名など。そもそも商標の意味がなくなるため。

② 公益に反するもの(卑猥なものなど)や誤解を生じるもの

 (ビールなのに○○ウィスキーなど)

③ 他と紛らわしいもの

 (ただし、似た区分内で判断され、全く別の区分のものであれば認められる場合がある)

ありふれた氏名、名称のみの表示

 (山田、鈴木など) 等

 

・登録手続き

方式審査(書類の不備がないか)

実体審査(審査官が商標としての要件に合致するか、類似のものはないか等をチェック)

③ 登録

更新手続きは更新登録料の支払いだけで、実体審査は行われない

・期間 10年有効

以上が商標登録の基本ですが、当問題は平成26年度の商標法の改正を理解できているかがポイントです。このように法改正内容は出題されやすい傾向があります。

・改正内容 → 新しい以下のタイプの商標が追加

① 色彩のみからなる商標

 色彩のみを構成要素とする商標が追加(これまでは図形等との組み合わせが必要だった)。一色のみならず、複数色の組み合わせも対象。② 音商標

 楽器、自然音、言語、これらの組み合わせからなる音が追加。例えば企業CMのサウンドロゴなど。

動き商標

 文字、図形、立体的形状等に動きがある場合、一連の動きを含め、変化する商標として追加。

④ ホログラム商標

 ホログラムとは、ホログラフィ技術を用いて平面上に描かれた立体的画像のことで、見る角度によって映る姿が異なるものであり、一連の変化を含め追加。

位置商標

 文字、図形等の構成要素が商品等の特定の位置に付されていることに特徴がある場合、その位置を特定して商標登録が可に。

選択肢1. 自己の氏名を普通に用いられる方法で表示する商標であっても、先に登録された商標と同一であれば商標権の侵害となる。

誤りです。氏名等は基本的に商標登録を行うことができません。

選択肢2. 商標の更新登録の申請の際には、審査官による実体審査はなされない。

正しいです。更新審査には実体審査はありません。

選択肢3. テレビやコンピュータ画面等に映し出される変化する文字や図形は商標登録される場合はない。

誤りです。新しいタイプの商標として平成27年度より追加されました。

選択肢4. 文字や図形等の標章を商品等に付す位置が特定される商標が商標登録される場合はない。

誤りです。新しいタイプの商標として平成27年度より追加されました。

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03

商標制度に関する問題です。

選択肢の絞り込みのテクニックとして、「断定的表現」は誤りの可能性が高いです。本問では、「商標登録される場合はない」という断定的表現(100%否定している)が2か所あります。

断定的表現は、肯定的な表現で用いられることもあります。

但し、あくまでも「誤りの可能性が高い」というだけであり、全ての選択肢を比較検討しながら正誤判断するようにして下さい。

選択肢1. 自己の氏名を普通に用いられる方法で表示する商標であっても、先に登録された商標と同一であれば商標権の侵害となる。

自己の氏名を普通に用いられる方法で表示する商標の場合、商標権の効力は及びません

自己の氏名を普通に用いて有名になった場合は、商標権が認められます。(ドラッグストアチェーンの「マツモトキヨシ」など)

選択肢2. 商標の更新登録の申請の際には、審査官による実体審査はなされない。

正解の選択肢となります。

選択肢3. テレビやコンピュータ画面等に映し出される変化する文字や図形は商標登録される場合はない。

テレビやコンピュータ画面等に映し出される変化する文字や図形は商標登録される場合があります。(動きの商標)

選択肢4. 文字や図形等の標章を商品等に付す位置が特定される商標が商標登録される場合はない。

文字や図形等の標章を商品等に付す位置が特定される商標が商標登録される場合があります。(位置の商標)

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