中小企業診断士の過去問
平成28年度(2016年)
経済学・経済政策 問25

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問題

中小企業診断士試験 第1次試験 経済学・経済政策 平成28年度(2016年) 問25 (訂正依頼・報告はこちら)

下図では、利潤最大化を目指す合理的な企業が直面する寡占市場を念頭において、点Eで屈曲する「屈折需要曲線」DEFが描かれている。この需要曲線のDE部分に対応する限界収入曲線が線分LM、EF部分に対応する限界収入曲線が線分RSである。いま、当該市場でq1の生産量を選択していた企業の限界費用曲線MC1がMC2へシフトしたものとする。下図に関する記述として、最も適切なものを下記の解答群から選べ。
問題文の画像
  • 限界費用曲線がMC2へシフトしたことにより生産量をq1からq2へ増加させる。
  • 限界費用曲線がMC2へシフトしたことにより生産量をq1からq3へ増加させる。
  • 限界費用曲線がMC2へシフトしても、価格は変わらない。
  • 限界費用曲線がMC2へシフトすると、価格をp1からp2へ引き下げる。

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この過去問の解説 (2件)

01

寡占市場と、屈折需要曲線に関する問題です。

寡占市場では少数の大企業によって市場が支配されているため、市場の競争原理が働きにくいという特徴があります。

「市場の競争原理が働きにくい」とは、具体的には価格が変わりにくいため企業側の「言い値」で購入せざるを得ない、需要に対して供給が過少気味である、等です。

少数の企業しかいないので、他の企業を出し抜いて自社だけが大量に生産しようというインセンティブが起こりにくくなります。また、供給が過少気味であれば市場の枯渇感を醸成することもできます。欲しいという需要がたくさんあれば意図的に供給を絞ることで高値でも買ってくれるので、生産を増やさなくても高い利潤を得ることができます。

上記の寡占市場の特徴を知っていれば、対応し易くなります。競争市場では当たり前の「生産量や価格が変化する」という記述が、寡占市場ではそうではないのです。

選択肢1. 限界費用曲線がMC2へシフトしたことにより生産量をq1からq2へ増加させる。

限界費用曲線がMC2へシフトしても、生産量はq1から変化しません

選択肢2. 限界費用曲線がMC2へシフトしたことにより生産量をq1からq3へ増加させる。

限界費用曲線がMC2へシフトしても、生産量はq1から変化しません

選択肢3. 限界費用曲線がMC2へシフトしても、価格は変わらない。

正解の選択肢となります。

選択肢4. 限界費用曲線がMC2へシフトすると、価格をp1からp2へ引き下げる。

限界費用曲線がMC2へシフトしても、価格は変化しません

なお、生産量q1の時の価格はグラフに描かれていません。点Eから左に横線を引いた価格水準で、価格は維持されます。

まとめ

【補足】

競争市場(一般的な市場):価格は需要によって決定されます。大部分の企業は、需要によって決定された市場価格を受容せざるを得ない「プライステイカー(価格受容者)」になります。

独占・寡占市場:価格は市場を支配する企業によって決定されます。市場を支配する企業は、自分達の好きな価格を付けることができる「プライスメイカー(価格設定者)」です。

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02

寡占市場下にある合理的な企業の状態が、屈折需要曲線で表現され、
生産量q1を境目に、線分LMと線分RSの、不連続な限界収入曲線が描かれております。
また、生産量q1で限界収入曲線と限界費用曲線が接しており、
利潤最大化が図られております。
質問のように、限界費用曲線がMC1からMC2へシフトした場合でも、
限界収入曲線RSには接さないので利潤の観点から価格と生産量は変わりません。

よって、正解は3.になります。

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