中小企業診断士の過去問
平成28年度(2016年)
企業経営理論 問6

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問題

中小企業診断士試験 第1次試験 企業経営理論 平成28年度(2016年) 問6 (訂正依頼・報告はこちら)

多数の競争相手が互いにしのぎを削る熾烈(しれつ)な競争を繰り広げている業界での、効果的な戦略対応に関する記述として、最も不適切なものはどれか。
  • これまでの内部留保を活用して、同業他社との合併を進めることで市場シェアを拡大し、規模の経済や経験効果を高めて、コスト優位性を生み出して収益の拡大を図る。
  • 差別化が難しい汎用品による乱戦状況を改善するべく、加工の水準をあげて顧客の信頼を得たり、顧客に利便性の高いサービスを付け加えたりして、自社製品の付加価値を高めて、根強いロイヤルティをもつ顧客層の拡大を図る。
  • 多種多様な顧客ニーズに対応するべくあらゆる製品を提供して、大量生産によるコスト優位による競争優位を確立する。
  • 多数の企業が乱立する原因である多様な市場ニーズに対応するべく、製品の設計を見直して生産コストを大幅に切り下げて、標準品が買い得であることを理解してもらい、規模の経済を基に競争優位をつくり出す。

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この過去問の解説 (2件)

01

1、2、は熾烈な競争下において正しい戦略です。

3と4は、一見同じように見えますが、
3はあらゆる製品を提供する、とあるのに対し、
4は標準品を提供する、という違いがあります。
3より4の方が、提供製品を絞った上で、コスト優位戦略を図り易いです。

よって、最も不適切な選択肢は3.になります。

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02

正解は、「多種多様な顧客ニーズに対応するべくあらゆる製品を提供して、大量生産によるコスト優位による競争優位を確立する。」です。

【基礎知識】

競争戦略の問題です。

ポーターは競争戦略として標的市場が広いか狭いか、差別化の内容がコストか製品差別化かで競争戦略を4つに分けました。

〇コストリーダーシップ ← 広い市場でコスト優位を築く戦略。背景には経験曲線効果、規模の経済があります。

・標的市場の広さ:広い

・差別化の内容:コスト

〇製品差別化 ← 広い市場で製品の品質、機能等で差別化。

・標的市場の広さ:広い

・差別化の内容:製品

※以下の標的市場が狭い2つの戦略を集中戦略と呼びます。特に経営資源の乏しい小規模企業でとられる戦略です。

〇コスト集中戦略 ← 特定市場でコスト優位を築きます。

・標的市場の広さ:狭い

・差別化の内容:コスト

〇差別化集中戦略 ← 特定市場でコスト優位を築きます。

・標的市場の広さ:狭い

・差別化の内容:製品

選択肢1. これまでの内部留保を活用して、同業他社との合併を進めることで市場シェアを拡大し、規模の経済や経験効果を高めて、コスト優位性を生み出して収益の拡大を図る。

正しい。コストリーダーシップです。合併により低コスト構造(規模の経済、経験曲線効果)を得ることができます。

選択肢2. 差別化が難しい汎用品による乱戦状況を改善するべく、加工の水準をあげて顧客の信頼を得たり、顧客に利便性の高いサービスを付け加えたりして、自社製品の付加価値を高めて、根強いロイヤルティをもつ顧客層の拡大を図る。

正しい。差別化戦略です。ターゲット市場の広さで製品差別化戦略、差別化集中戦略があります。

選択肢3. 多種多様な顧客ニーズに対応するべくあらゆる製品を提供して、大量生産によるコスト優位による競争優位を確立する。

誤り。多種多様なニーズに応えると、生産手法も多様になるため、規模の経済や経験曲線効果を得ることは困難になります。

選択肢4. 多数の企業が乱立する原因である多様な市場ニーズに対応するべく、製品の設計を見直して生産コストを大幅に切り下げて、標準品が買い得であることを理解してもらい、規模の経済を基に競争優位をつくり出す。

正しい。コスト集中戦略です。製品の設計を見直し、特定市場でのコスト優位を築きます。

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