中小企業診断士の過去問
平成28年度(2016年)
企業経営理論 問7
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問題
中小企業診断士試験 第1次試験 企業経営理論 平成28年度(2016年) 問7 (訂正依頼・報告はこちら)
企業が競争優位を獲得するための競争戦略のひとつであるコスト・リーダーシップ戦略に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- コスト・リーダーシップ戦略では、継続的に自社製品を購入する顧客を確保するために、ブランド・ロイヤルティを高めることが課題となり、企業の提供する付加価値が明確になっている。
- コスト・リーダーシップ戦略は、市場成長率が安定してきて、製品ライフサイクルの成熟期以降に採用する戦略として適しており、企業が脱成熟をしていくうえで有益な戦略となる。
- コスト・リーダーシップ戦略は、多角化した企業において、シナジーの創出によるコスト削減を目指していく戦略であるので、事業間の関連性が高い企業の方が、優位性を得やすくなる。
- コスト・リーダーシップ戦略を行う企業が、浸透価格政策をとると、自社の経験効果によるコスト低下のスピードは、競合他社よりもはやくなる。
- コスト・リーダーシップ戦略を行っている企業は、特定モデルの専用工場を建設し、生産性の高い設備を導入しており、新しい市場ニーズへも迅速に対応できる。
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この過去問の解説 (2件)
01
2は、成熟期以降に適しておりますが、脱成熟を図る上で有益とは言えません。
3は、事業間の関連性が高い企業における、他事業への波及効果(シナジー)は期待できますが、当該事業において優位性を得やすくなるとは言えません。
4は、正しいです。
5は、差別化戦略であっても当てはまるため、最適な説明とは言い切れません。
よって、4.が正解です。
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02
正解は、「コスト・リーダーシップ戦略を行う企業が、浸透価格政策をとると、自社の経験効果によるコスト低下のスピードは、競合他社よりもはやくなる。」です。
【基礎知識】
競争戦略のうちのコストリーダーシップ戦略に関する問題です。
ポーターは競争戦略として標的市場の広さ、コストか製品差別化かで競争戦略を4つに分けました。
標的市場が広い場合:
♦コスト♦
コストリーダーシップ戦略
・経験曲線効果
・規模の経済
♦製品差別化♦
差別化戦略
・品質、機能等で差別化
標的市場が狭い場合:
♦コスト♦
コスト集中戦略
・特定市場でのコスト優位
♦製品差別化♦
差別化集中戦略
・特定市場で差別化
コストリーダーシップ戦略は、経験曲線効果、規模の経済を背景にとことんローコストで供給していく戦略です。価格も他社よりも安い価格になります。
製品ライフサイクルにおいては、初期の頃にとられる戦略です。というのは、コストリーダーシップでシェアを拡大させ、市場の成長とともに自社のシェアが拡大し、経験曲線効果や規模の経済が働いてより効果が高くなるからです。
よって、更に市場浸透価格で一気にシェアを広げて、コスト優位を築くといった戦略がとられます。
ただし、コストリーダーシップ戦略のデメリットとして、経験曲線効果等を享受するのに時間がかかることがあります。そのため企業は生産などのプロセスを統合し、集中することでよりメリットを享受しようとします。一方で価格競争の激化や市場の急激な縮小によるリスクを抱えることになるといった懸念があります。
誤り。競争戦略の差別化戦略の内容になります。
誤り。成長率が鈍化しているころにローコストでシェアを広げても、ボリュームが増えないため、経験曲線効果や規模の経済のメリットは限定的になります。
誤り。他事業と関連しているシナジーがあることは優位に働きますが、コストリーダーシップ戦略の内容ではありません。
正しい。浸透価格により、よりシェアを拡大することで経験曲線効果や規模のメリットを享受できるようになります。
誤り。専用ライン等を設けることで新しいニーズに適応しにくくなる懸念があります。
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