中小企業診断士の過去問
平成28年度(2016年)
経営法務 問20

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問題

中小企業診断士試験 第1次試験 経営法務 平成28年度(2016年) 問20 (訂正依頼・報告はこちら)

上場準備中に行われる株式移動等に関する規制についての記述として、最も適切なものはどれか。
  • 新規上場申請者の株式を最も多く所有する株主が、新規上場申請日の直前事業年度の末日から起算して2年前から上場日の前日までの期間において、新規上場申請者の株式を譲り受けた場合には、譲渡価格を新規上場申請のための有価証券報告書において開示する必要はない。
  • 新規上場申請日の直前事業年度の末日から起算して1年前より後において取得した新規上場申請者の株式については、当該末日から起算して1年前より前に発行された新株予約権を行使して取得したものであっても、上場後直ちに売却することはできない。
  • 新規上場申請日の直前事業年度の末日から起算して2年前から上場日の前日までの期間において、新規上場申請者の特別利害関係人が、新規上場申請者の株式を譲り受けると、東京証券取引所への上場は認められない。
  • 東京証券取引所が適当と認める役員又は従業員に報酬として割り当てられた新株予約権を行使して取得した新規上場申請者の株式については、上場後直ちに売却することができる。

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この過去問の解説 (2件)

01

【正解4】

[1]不適切
特別利害関係者等が、新規上場申請日の直前事業年度の末日から起算して2年前から上場日の前日までの期間において、新規上場申請者の株式を譲り受けた場合には、譲渡価格を新規上場申請のための有価証券報告書において開示する必要があります。

この特別利害関係者等には、「申請会社の大株主上位10名」を含むため、新規上場申請者の株式を最も多く所有する株主は特別利害関係者等に該当し、譲渡価格の開示が必要です。

[2]不適切

新規上場申請日の直前事業年度の末日から起算して1年前より後において取得した新規上場申請者の株式について、当該末日から起算して1年前より前に発行された新株予約権を行使して取得した場合の所有義務は、上場日の前日、または権利行使を行う日のいずれか早い日までなので、上場後直ちに売却することが可能です。

[3]不適切

新規上場申請日の直前事業年度の末日から起算して2年前から上場日の前日までの期間において、新規上場申請者の特別利害関係人が新規上場申請者の株式を譲り受けても、東京証券取引所への上場は認められます。

[4]適切

東京証券取引所が適当と認める役員又は従業員に報酬として割り当てられた新株予約権を行使して取得した新規上場申請者の株式については、上場後直ちに売却することが可能です。

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02

上場準備中に行われる株式移動等に関する規制についての記述」ということですが、証券取引所の関係者でもない限り全くお手上げの内容と思われます。

したがって、日本語の表現として適切かどうか(違和感があるかないか)という観点で解説を行います。

選択肢1. 新規上場申請者の株式を最も多く所有する株主が、新規上場申請日の直前事業年度の末日から起算して2年前から上場日の前日までの期間において、新規上場申請者の株式を譲り受けた場合には、譲渡価格を新規上場申請のための有価証券報告書において開示する必要はない。

新規上場申請者の株式を最も多く所有する株主」とありますので、大株主に該当する人物と思われます。そのような立場にある方が新規上場申請者の株式を譲り受けた場合に有価証券報告書において開示する必要はない、というのは違和感を感じるのが自然と思われます。

本選択肢については「開示する必要がある」となります。

選択肢2. 新規上場申請日の直前事業年度の末日から起算して1年前より後において取得した新規上場申請者の株式については、当該末日から起算して1年前より前に発行された新株予約権を行使して取得したものであっても、上場後直ちに売却することはできない。

本選択肢では、新株予約権の行使が先(新規上場申請日の直前事業年度の末日から起算して1年前より)で、新規上場申請者の株式を取得したのが後(新規上場申請日の直前事業年度の末日から起算して1年前より)であることが分かります。

権利行使の方が先のため、上場後直ちに売却することはできます

選択肢3. 新規上場申請日の直前事業年度の末日から起算して2年前から上場日の前日までの期間において、新規上場申請者の特別利害関係人が、新規上場申請者の株式を譲り受けると、東京証券取引所への上場は認められない。

他の選択肢で「新規上場申請者の株式を最も多く所有する株主が、新規上場申請者の株式を譲り受けた」という記述がありましたが、本選択肢でも「新規上場申請者の特別利害関係人が、新規上場申請者の株式を譲り受け」ており、(他の選択肢の解説と重複しますが)開示をすれば上場は認められると考えられます。

本問では「最も適切なもの」を選択させるため、正解は1つのみです。新規上場申請者の株式を譲り受けるパターンの選択肢が2つありますが、どちらも不適切である可能性はあっても、どちらも正解である可能性はありません。

本問は、新規上場申請者の株式を譲り受けるパターンの選択肢2つを正誤判断するよりは(おそらく判断できないと思います)、全ての選択肢を比較検討して他に適切と思われる選択肢があれば、それを受けて新規上場申請者の株式を譲り受けるパターンの選択肢は2つとも不適切(適切or不適切とは決めきれないが、他により適切な選択肢がある)という結論の出し方で良いと思います。

選択肢4. 東京証券取引所が適当と認める役員又は従業員に報酬として割り当てられた新株予約権を行使して取得した新規上場申請者の株式については、上場後直ちに売却することができる。

本選択肢での「役員又は従業員」は東京証券取引所が適当と認める人物であり、それらの人物に割り当てられた新株予約権を行使して取得した新規上場申請者の株式を上場「」直ちに売却することは日本語の表現として問題ないと考えられます。

上場「後」とわざわざ表記しているのは、上場日前日までは株式を所有する義務があるためです。

したがって、本選択肢が正解の選択肢となります。

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