中小企業診断士の過去問
平成29年度(2017年)
経営法務 問4
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問題
中小企業診断士試験 第1次試験 経営法務 平成29年度(2017年) 問4 (訂正依頼・報告はこちら)
以下の会話は、中小企業診断士であるあなたと、上場を目指しているベンチャー企業であるX株式会社(以下「X社」という。)の代表取締役甲氏との間で行われたものである。この会話を読んで、下記の設問に答えよ。なお、X社の定款には特段の定めがないものとする。
甲氏:「優秀な人材が会社に定着してくれなくて困っています。何かよい方法はないですか。」
あなた:「御社は上場を目指していましたよね。ストック・オプションを従業員に発行するのはどうでしょうか。」
甲氏:「どういうことですか。」
あなた:「会社法では、新株予約権と呼ばれているものなのですが、会社に対して行使することにより株式の交付を受けることができる権利のことをいいます。」
甲氏:「それをどう使うのですか。」
あなた:「まず、言葉の意味について説明しますね。新株予約権の付与を受けた時点で付与を受けた者が会社に払う金額を『払込金額』といい、その後新株予約権を行使して株式の交付を受ける時点で新株予約権者が会社に払う金額を『行使価額』といいます。また、新株予約権者が新株予約権を行使できる期間を『行使期間』といい、新株予約権者が新株予約権を行使する際に満たしていなければならない条件を『行使条件』といいます。」
甲氏:「それで?」
あなた:「そこで、例えば、新株予約権の内容を
・( A )を無償とすること
・( B )について、現在のX社の株価と一致させるか、又は現在のX社の株価より( C )すること
・行使期間を、新株予約権の付与を受けた日後2年経過した日以降とすること
・新株予約権行使時までX社の役員又は従業員の地位を維持していることを行使条件とすること
にすれば、御社の業績を今よりも向上させようという気持ちを従業員に持たせることができると思います。」
甲氏:「なるほど、その仕組みなら少なくとも2年間は定着して頑張ってくれそうですね。従業員にストック・オプションを付与するに当たって注意しなければならないことはありますか。」
あなた:「( D )。専門家の協力を得ないまま、ストック・オプションを発行することは難しいと思います。詳しい方を紹介しますから、一緒に相談に行ってみませんか。」
甲氏:「ぜひお願いします。」
(設問)
会話の中の空欄Dに入る記述として、最も適切なものはどれか。
甲氏:「優秀な人材が会社に定着してくれなくて困っています。何かよい方法はないですか。」
あなた:「御社は上場を目指していましたよね。ストック・オプションを従業員に発行するのはどうでしょうか。」
甲氏:「どういうことですか。」
あなた:「会社法では、新株予約権と呼ばれているものなのですが、会社に対して行使することにより株式の交付を受けることができる権利のことをいいます。」
甲氏:「それをどう使うのですか。」
あなた:「まず、言葉の意味について説明しますね。新株予約権の付与を受けた時点で付与を受けた者が会社に払う金額を『払込金額』といい、その後新株予約権を行使して株式の交付を受ける時点で新株予約権者が会社に払う金額を『行使価額』といいます。また、新株予約権者が新株予約権を行使できる期間を『行使期間』といい、新株予約権者が新株予約権を行使する際に満たしていなければならない条件を『行使条件』といいます。」
甲氏:「それで?」
あなた:「そこで、例えば、新株予約権の内容を
・( A )を無償とすること
・( B )について、現在のX社の株価と一致させるか、又は現在のX社の株価より( C )すること
・行使期間を、新株予約権の付与を受けた日後2年経過した日以降とすること
・新株予約権行使時までX社の役員又は従業員の地位を維持していることを行使条件とすること
にすれば、御社の業績を今よりも向上させようという気持ちを従業員に持たせることができると思います。」
甲氏:「なるほど、その仕組みなら少なくとも2年間は定着して頑張ってくれそうですね。従業員にストック・オプションを付与するに当たって注意しなければならないことはありますか。」
あなた:「( D )。専門家の協力を得ないまま、ストック・オプションを発行することは難しいと思います。詳しい方を紹介しますから、一緒に相談に行ってみませんか。」
甲氏:「ぜひお願いします。」
(設問)
会話の中の空欄Dに入る記述として、最も適切なものはどれか。
- 株価が値下がりした場合のリスクを従業員に負わせることになります
- 株主総会において、議決権を行使することができる株主の半数以上であって、当該株主の議決権の3分の2以上に当たる多数をもって、募集事項を決定する必要があります
- 従業員だけでなく、社外のコンサルタント等にもストック・オプションの取得を勧誘する場合には、有価証券届出書の提出が義務付けられることがあります
- 租税特別措置法に定める要件を満たしていない場合、株式売却時に売却価格と行使価額の差額部分について譲渡所得として課税されてしまいます
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この過去問の解説 (2件)
01
株価が値下がりしても、付与を受けた従業員は無償で手に入れた株のためリスクはありません。
項番2:不適切です。
記述は株主総会特殊決議の要件となるためストックオプションとは関連しません。
項番3:適切です。
記述の通りです。(従業員のことを聞かれているので質問に答えていないようにも見えますが書かれている内容は正当です)
項番4:不適切です。
租税特別措置法に定める要件を満たしている場合、株式売却時に売却価格と行使価額の差額部分について譲渡所得として課税されます。
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02
経営法務では御馴染みの、会話形式による出題です。与件文のボリュームが多く、時間を浪費させられないようにすることが肝心です。
本問は専門的な知識が無ければ正答することが難しく、難問と言えます。本試験では空欄A~Cが設問1、空欄Dが設問2でしたが、どちらも正答率が低い結果となったようです。したがって、設問1が正解できれば十分と考えます。
ストック・オプションの権利を行使しなければ、従業員がリスクを負うことにはなりません。
本選択肢では株主総会特殊決議の要件が述べられており、従業員にストック・オプションを付与するに当たって注意しなければならないこととは関係ありません。
正解の選択肢となります。
租税特別措置法に定める要件を満たしている場合は、本選択肢の通りとなります。
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