中小企業診断士の過去問
令和元年度(2019年)
経済学・経済政策 問11

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問題

中小企業診断士試験 第1次試験 経済学・経済政策 令和元年度(2019年) 問11 (訂正依頼・報告はこちら)

自然失業率仮説に関する記述として、最も適切なものの組み合わせを選択肢の中から選べ。

a  インフレと失業の間には、短期的にも長期的にも、トレード・オフの関係が成立する。
b  自然失業率とは、非自発的失業率と自発的失業率の合計である。
c  循環的失業の拡大は、実際のインフレ率を抑制する。
d  政府による総需要拡大策は、長期的にはインフレを加速させる。
  • a と b
  • a と d
  • b と c
  • c と d

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この過去問の解説 (2件)

01

自然失業率に関する難易度が高い問題です。

各選択肢を以下に解説します。

a: インフレと失業率の間には短期的にトレード・オフの関係が成立します。フィリップス曲線のことです。なお長期的にはインフレと失業率に相関関係はなく、失業率は自然失業率で均衡するとされています。

そのため本選択肢は誤っています。

b: 自然失業率とは、労働市場の需要と供給が均衡している完全雇用状態にて発生する失業率のことです。言い換えると、景気の動向に左右されずに存在している失業者の割合のことです。

完全雇用状態では、非自発的失業は発生していません。

そのため本選択肢は誤っています。

c: 循環的失業とは、景気の悪化に伴う労働需要の減少によって発生する失業のことです

短期においてはインフレと失業率の間にトレード・オフ(負の相関関係)が成立するとされています。循環的失業の拡大により失業率が上昇すると、負の相関関係にあるインフレ率の上昇は抑制されることになります。

そのため本選択肢が正解です。

d: 総需要拡大策を行うとインフレが起きて、失業率が低減します。その後期間が経過すると失業率は元に戻りますが、上昇した物価は下がりません。

結果的にですが、総需要拡大策によりインフレを加速させると考えることもできるため、本選択肢が正解です。

正しい選択肢の組みわせは cとd です。

選択肢1. a と b
  • 本選択肢は不正解です。

選択肢2. a と d

本選択肢は不正解です。

選択肢3. b と c

本選択肢は不正解です。

選択肢4. c と d

本選択肢が正解です。

まとめ

補足説明です。

フィリップス曲線とは縦軸に賃金上昇率、横軸に失業率をとった右下がりの曲線のグラフです。賃金上昇率と失業率にトレード・オフの関係が成立することを表しています。

自発的失業とは、現行の賃金率で働く意思がないため自発的に失業している状態です。非自発的失業とは、働く意志と能力があっても、景気が悪く失業している状態のことです。

上記の二つに加えて、摩擦的失業と呼ばれる景気とは関係なく、転職などの理由により一時的に失業している状態も存在します。

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02

正解は4です。

自然失業率仮説に関する問題です。自然失業率とは完全雇用の状態であり、自発的な失業者などしかいない状態のことです。

各項目の説明です。

a.自然失業率仮説では長期的にはトレード・オフの関係にはなりません。

b.自然失業率の時は自発的な失業者などしかいない完全雇用の状態であり、非自発的な失業はありません。

c.適切です。循環的失業とは循環的不況によって発生する失業で、循環的失業の拡大はインフレ(物価高)を抑制します。

d.適切です。総需要を拡大すると物価が上昇します。

各選択においては、以下の通りです。

1→上記より適切ではありません。

2→上記より適切ではありません。

3→上記より適切ではありません。

4→上記より適切です。

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