中小企業診断士の過去問
令和元年度(2019年)
経済学・経済政策 問10

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問題

中小企業診断士試験 第1次試験 経済学・経済政策 令和元年度(2019年) 問10 (訂正依頼・報告はこちら)

総需要 − 総供給分析の枠組みで、財政・金融政策の効果と有効性を考える。下記の設問に答えよ。

「流動性のわな」の状況下における財政政策と金融政策の効果と有効性に関する記述として、最も適切なものの組み合わせを選択肢の中から選べ。

a  政府支出を増加させても、クラウディング・アウトによって総需要は不変である。したがって、物価水準も実質GDPも当初の水準から変化しない。
b  政府支出の増加は、総需要を拡大させる。その結果、物価水準が上昇し、実質GDPも増加する。
c  名目貨幣供給の増加は、総需要を変化させない。したがって、物価水準も実質GDPも当初の水準から変化しない。
d  名目貨幣供給の増加は、総需要を拡大させる。その結果、物価水準が上昇し、実質GDPも増加する。
  • a と c
  • a と d
  • b と c
  • b と d

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この過去問の解説 (2件)

01

流動性のわなが発生している状況での財政・金融政策に関する問題です。

流動性のわなとは、利子率が最低水準にまで低下して、貨幣の利子弾力性が無限大になっている状況のことです。

各選択肢について解説します。

a: 流動性のわなの状況下で政府支出を増加するとIS曲線が右方にシフトして、IS曲線とLM曲線の交点も右方にシフトしてGDPが増加します。そのため本選択肢は誤ってます。

b: 流動性のわなの状況下での政府支出の増加はGDPの増加、総需要を拡大させることができます。そのため本選択肢は正しいです。

c: 流動性のわなの状況下にある場合に、名目貨幣供給量を増加させても、水平にとなっているLM曲線が右方にシフトするだけで、IS曲線との交点は変わりません

物価水準もGDPも変化しないため、本選択肢は正しいです。

d: 選択肢cの解説のとおり、物価水準も実質GDPも変化しないため、本選択肢は誤っています。

正しい選択肢の組み合わせは bとc です。

選択肢1. a と c
  • 本選択肢は不正解です。

選択肢2. a と d

本選択肢は不正解です。

選択肢3. b と c

本選択肢が正解です。

選択肢4. b と d

本選択肢は不正解です。

まとめ

クラウティング・アウトとは、政府支出の増加というような財政拡張政策を行った結果、利子率が上昇してしまい投資が抑制されてしまい、GDPの増加額が少なくなってしまうことです。

流動性のわなの状況下では、利子率は不変のため財政拡張政策は極めて有効ということになります。

反対に金融緩和政策は無効ということになります。

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02

正解は3です。

「流動性のわな」に関する問題です。

通常であれば、世の中の実質的貨幣供給が増えると貨幣の値打ちが下がり、利子率は低下します。そして投資が増加し、GDPが増加できます。

ところが流動性のわなでは、金利が最低になっているため、いくら世の中の実質的貨幣供給を増やしても皆が貨幣を持とうとするので利子率が変わりません。

項目の説明です。

a.政府支出の変化が金利に影響を及ぼすクラウディングアウトは起こらず、所得(実質GDP)も変化しません。

b.政府支出の増加は、総需要を拡大させます。その結果、物価水準が上昇し、実質GDPも増加します。

c.流動性のわなでは利子率が最低であり、貨幣需要の利子率弾力性が無限大になっています。このような状態ではいくら貨幣供給を増やしても物価水準も実質GDPも変化しません。

d.流動性のわなの状態では、貨幣供給の増加は物価は上昇せず、実質GDPも増加しません。

よって正しいのはb.cになります。

各選択肢については、以下の通りです。

1→上記より適切ではありません。

2→上記より適切ではありません。

3→上記より適切です。

4→上記より適切ではありません。

参考になった数7