中小企業診断士 過去問
令和元年度(2019年)
問54 (企業経営理論 問4)

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問題

中小企業診断士試験 令和元年度(2019年) 問54(企業経営理論 問4) (訂正依頼・報告はこちら)

G.ハメルとC.K.プラハラードによるコア・コンピタンスに関する記述として、最も適切なものはどれか。
  • コア・コンピタンスは、企業内部で育成していくものであるため、コア・コンピタンスを構成するスキルや技術を使った製品やサービス間で競争が行われるものの、コア・コンピタンスの構成要素であるスキルや技術を獲得するプロセスで企業間の競争が起きることはない。
  • コア・コンピタンスは、企業の未来を切り拓くものであり、所有するスキルや技術が現在の製品やサービスの競争力を支えていることに加えて、そのスキルや技術は将来の新製品や新サービスの開発につながるようなものであることが必要である。
  • コア・コンピタンスは、顧客が認知する価値を高めるスキルや技術の集合体であるから、その価値をもたらす個々のスキルや技術を顧客も理解していることが必要である。
  • コア・コンピタンスは、他の競争優位の源泉となり得る生産設備や特許権のような会計用語上の「資産」ではないので、貸借対照表上に表れることはなく、コア・コンピタンスの価値が減少することもない。
  • コア・コンピタンスは、ユニークな競争能力であり、個々のスキルや技術を束ねたものであるから、束ねられたスキルや技術を独占的に所有していることに加えて、競合会社の模倣を避けるために個々のスキルや技術も独占的に所有していることが必要である。

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この過去問の解説 (3件)

01

項番1:不適切です。
コア・コンピタンスは、企業内部で育成していくものとは限りません。また、コア・コンピタンスの構成要素であるスキルや技術を獲得するプロセスで企業間の競争が起きる可能性も考えられます。

項番2:適切です。
記述の通りです。

項番3:不適切です。
コア・コンピタンスは顧客が認知・理解していないものも含まれます。

項番4:不適切です。
「コア・コンピタンスの価値が減少」するという言葉の定義がやや分かりにくいですが、企業の持つコア・コンピタンスが市場から必要とされるものでないのであれば、価値が減少しているといえます。そのため、コア・コンピタンスの価値は減少することがあると考えられます。

項番5:不適切です。
コア・コンピタンスは個々のスキルや技術を束ねたものとは限りません。むしろ組織で対応する事によって発生する企業のユニークな競争能力がコア・コンピタンスであるといえます。

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02

コア・コンピタンスに関する問題です。

選択肢の内容にもとづいて解説します。

選択肢1. コア・コンピタンスは、企業内部で育成していくものであるため、コア・コンピタンスを構成するスキルや技術を使った製品やサービス間で競争が行われるものの、コア・コンピタンスの構成要素であるスキルや技術を獲得するプロセスで企業間の競争が起きることはない。

企業内部で育成するものと限定していること、およびコア・コンピタンスの構成要素であるスキルや技術を獲得するプロセスで企業間の競争が起きないとしているところが誤りです。

選択肢2. コア・コンピタンスは、企業の未来を切り拓くものであり、所有するスキルや技術が現在の製品やサービスの競争力を支えていることに加えて、そのスキルや技術は将来の新製品や新サービスの開発につながるようなものであることが必要である。

正解です。

選択肢3. コア・コンピタンスは、顧客が認知する価値を高めるスキルや技術の集合体であるから、その価値をもたらす個々のスキルや技術を顧客も理解していることが必要である。

コア・コンピタンスについては、その価値をもたらす個々のスキルや技術を顧客も理解している必要は必ずしもありませんので誤りです。

選択肢4. コア・コンピタンスは、他の競争優位の源泉となり得る生産設備や特許権のような会計用語上の「資産」ではないので、貸借対照表上に表れることはなく、コア・コンピタンスの価値が減少することもない。

貸借対照表上に現れない(金額で表せられない)というのはその通りですが、コア・コンピタンスの価値は競争企業との競争等の中で相対的な価値が減少するといったことは考えられますので誤りです。

選択肢5. コア・コンピタンスは、ユニークな競争能力であり、個々のスキルや技術を束ねたものであるから、束ねられたスキルや技術を独占的に所有していることに加えて、競合会社の模倣を避けるために個々のスキルや技術も独占的に所有していることが必要である。

個々のスキルや技術の独占的所有は必ず必要というわけではありませんので誤りです。

まとめ

コア・コンピタンスに関する問題でした。用語の正確な理解と記憶が必要です。

参考になった数9

03

コア・コンピタンスに関する問題です。各選択肢の情報量が多いですが、記述内容を素直に読めば正答できる難易度です。

選択肢1. コア・コンピタンスは、企業内部で育成していくものであるため、コア・コンピタンスを構成するスキルや技術を使った製品やサービス間で競争が行われるものの、コア・コンピタンスの構成要素であるスキルや技術を獲得するプロセスで企業間の競争が起きることはない。

企業間の競争は、コア・コンピタンスの構成要素であるスキルや技術を獲得するプロセスで起きるため、不適切な選択肢です。

 

※「起きることはない」と100%断定していますが、このような記述は誤りであることが多いため、違和感を感じて選択肢から排除することができれば十分です。

選択肢2. コア・コンピタンスは、企業の未来を切り拓くものであり、所有するスキルや技術が現在の製品やサービスの競争力を支えていることに加えて、そのスキルや技術は将来の新製品や新サービスの開発につながるようなものであることが必要である。

コア・コンピタンスは、所有するスキルや技術が現在の製品やサービスの競争力を支えていることに加えて、そのスキルや技術は将来の新製品や新サービスの開発につながるようなものであることが必要であるため正解の選択肢となります。

選択肢3. コア・コンピタンスは、顧客が認知する価値を高めるスキルや技術の集合体であるから、その価値をもたらす個々のスキルや技術を顧客も理解していることが必要である。

コア・コンピタンスがもたらす個々のスキルや技術を顧客も理解していることが必要であるわけではないため、不適切な選択肢です。

 

※コア・コンピタンスがもたらす個々のスキルや技術を顧客が理解している状態であるとするなら、当然ライバル企業は顧客以上に理解していると考えられるため「理解できない(ほど複雑である)」方が望ましいと考えられます。

選択肢4. コア・コンピタンスは、他の競争優位の源泉となり得る生産設備や特許権のような会計用語上の「資産」ではないので、貸借対照表上に表れることはなく、コア・コンピタンスの価値が減少することもない。

ライバル企業が、自社のコア・コンピタンスの価値を脅かすような独自のコア・コンピタンスを創り出す可能性があるため、コア・コンピタンスの価値が減少することがないとはいえず、不適切な選択肢です。

 

※「価値が減少することもない」と100%断定していますが、このような記述は誤りであることが多いため、違和感を感じて選択肢から排除することができれば十分です。

選択肢5. コア・コンピタンスは、ユニークな競争能力であり、個々のスキルや技術を束ねたものであるから、束ねられたスキルや技術を独占的に所有していることに加えて、競合会社の模倣を避けるために個々のスキルや技術も独占的に所有していることが必要である。

コア・コンピタンスが、競合会社の模倣を避けるために個々のスキルや技術も独占的に所有していることが必要であるとまではいえないため、不適切な選択肢です。

 

※「個々のスキルや技術」という記述が具体的に何を指しているのか不明ですが、個々のスキルや技術が特定の個人に由来するものである場合、その個人の職業選択の自由を制限する(他社への転職を認めない)ことになりかねないと解釈することもできます。

まとめ

【補足】

 

コア・コンピタンスは、他社が模倣することが難しい「その企業独自の競争力の源泉」であり、模倣困難性などの論点で語られます。

 

2~3年に1度は出題される出題頻度の高い論点であり、過去問題でしっかり復習してください。

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