中小企業診断士の過去問
令和元年度(2019年)
企業経営理論 問30

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問題

中小企業診断士試験 第1次試験 企業経営理論 令和元年度(2019年) 問30 (訂正依頼・報告はこちら)

製品ライフサイクルの各段階に対応したマーケティングに関する記述として、最も適切なものはどれか。
  • 成熟期に入ると市場はより多くの消費者に支えられるようになるため、技術的に、より複雑で高度な製品の人気が高まる。
  • 導入期に他社に先駆けていち早く市場の主導権をとることが重要なので、投資を抑えつつ競合他社から明確に差別化された製品やサービスを導入期に投入することが望ましい。
  • 導入期の主要顧客は市場動向や他者の行動を見ながら製品・サービスの購入を決める追随型採用者なので、このような消費者が抱える問題を解決できる製品・サービスを投入することが望ましい。
  • 導入期や成長期において市場の業界標準が成立する場合、これに準拠する、または対抗するなど、成立した業界標準に対応したマーケティングを実行することが望ましい。

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この過去問の解説 (2件)

01

製品ライフサイクルの問題です。導入期、成長期、成熟期、衰退期の特徴をおさえておきましょう。

選択肢1. 成熟期に入ると市場はより多くの消費者に支えられるようになるため、技術的に、より複雑で高度な製品の人気が高まる。

成熟期に入ると製品はほぼ出尽くして、市場の伸びは鈍化し、市場の同質化が起こります。

技術的に、より複雑で高度な製品の人気が高まる」のは、成熟期以前のフェーズであると考えられます。

選択肢2. 導入期に他社に先駆けていち早く市場の主導権をとることが重要なので、投資を抑えつつ競合他社から明確に差別化された製品やサービスを導入期に投入することが望ましい。

導入期には2つの戦略を志向することが考えられます。早期にシェアを押さえる戦略と、高い利益を確保する戦略です。本選択肢では、この2つの戦略がごちゃ混ぜになっています。

「導入期に他社に先駆けていち早く市場の主導権をとることが重要」なので、早期にシェアを押さえる戦略のことを指していると考えられます。その場合は、投資を増やすことが重要です。

なお、もう一つの「高い利益を確保する戦略」はスキミング・プライシング(上澄み吸収価格戦略)と言います。差別化された製品から高い利益を確保する=ミルクの美味しいところだけを頂く、というイメージです。本選択肢の後半部分は、それを指していると思われます。

選択肢3. 導入期の主要顧客は市場動向や他者の行動を見ながら製品・サービスの購入を決める追随型採用者なので、このような消費者が抱える問題を解決できる製品・サービスを投入することが望ましい。

導入期の主要顧客は、新しいもの好きな「イノベーター」です。

選択肢4. 導入期や成長期において市場の業界標準が成立する場合、これに準拠する、または対抗するなど、成立した業界標準に対応したマーケティングを実行することが望ましい。

正解の選択肢となります。

市場の業界標準はデファクト・スタンダードといいます。古くは、録画メディアのVHS・ベータ戦争が有名です。VHSは画質面ではベータに劣っていましたが、多くの人に使ってもらうことを優先した(例えば、レンタルビデオ店へのソフト供給をVHSで行った等)ことでシェアを拡大して事実上の業界標準を確立することが出来たため、各メーカーも追従しました。

多くの人に使ってもらうことを「ネットワーク外部性」といいます。まとめて覚えておきたい用語です。

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02

項番1:不適切です。
成熟期に入ると市場はより多くの消費者に支えられるようになりますが、技術的に、より複雑で高度な製品の人気が高まるとは限りません。

項番2:不適切です。
導入期は、競合他社との競争が始まる前の段階であるため、明確に差別化された製品やサービスはあまり必要ではありません。

項番3:不適切です。
導入期の主要顧客は、革新型採用者(イノベーター)です。

項番4:適切です。
記述の通りです。

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