中小企業診断士 過去問
令和元年度(2019年)
問157 (経営法務 問22)

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問題

中小企業診断士試験 令和元年度(2019年) 問157(経営法務 問22) (訂正依頼・報告はこちら)

民法に基づく保証に関する記述として、最も適切なものはどれか。なお、別段の意思表示はなく、商法は適用されないものとする。
  • 主たる債務者の意思に反して保証をした者は、求償権を有しない。
  • 数人の保証人がある場合には、それらの保証人が各別の行為により単純保証したときは、全員が当該債務全部の弁済義務を負う。
  • 保証人が主たる債務者の委託を受けて保証をした場合において、主たる債務者が弁済をしたことを保証人に通知することを怠ったため、保証人が善意で弁済をしたときは、その保証人は、自己の弁済を有効であったものとみなすことができる。
  • 保証人は、主たる債務者の委託を受けないで保証をした場合において、債務が弁済期にあるときは、主たる債務者に対して、あらかじめ、求償権を行使することができる。

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この過去問の解説 (3件)

01

正解は3です。

各選択肢については、以下のとおりです。

1→主たる債務者の意思に反して保証をした者であっても、その債務者が利益を受けている限度においては求償権を有します。

2→数人の保証人がある場合には、それらの保証人が各別の行為により単純保証したときは、それぞれ等しい割合で弁済義務を負います。

3→適切です。選択肢の記述の通りです。

4→保証人は、主たる債務者の委託を受けないで保証をした場合においては、主たる債務者が現に利益を受けている限度においてのみ求償権を有します。あらかじめ求償権を行使することはできません。

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02

【基礎知識】

主たる債務者が債務を履行しない場合、債権者に対して債務の履行を約束する人を保証人と言います。

保証は債権者と保証人の間の契約になります。

通常は債務者からの依頼に基づきますが、勝手に保証人になることもできます。

保証人を保護する方向性で民法が改正されています。例えば、個人による保証の上限の設定などが行われました。

また、求償権に関する部分も改正が加わっています。

どのような経緯で保証人になったかで、以下のように求償できる範囲が異なります。

・債務者から依頼されてなった場合

 立て替えて払った分のみならず、経費や法定利息も求償できる

・債務者から依頼されずになった場合

 債務者が利益を受けた範囲で求償が可能。利息や損害賠償の請求はできない。

・債務者の意思に反してなった場合

 求償時に債務者が現に利益を受けている限度で求償できる

なお、保証人が肩代わりの際に債務者に情報提供しなかった場合、求償できる範囲が制限されますので、お気を付けください。

保証を委任されている場合は、肩代わりの前に費用の前払い等を請求できる事前求償が可能です。これは委任関係が成立しているからです。

選択肢1. 主たる債務者の意思に反して保証をした者は、求償権を有しない。

範囲は変わるが、求償権は有するため、誤り。

選択肢2. 数人の保証人がある場合には、それらの保証人が各別の行為により単純保証したときは、全員が当該債務全部の弁済義務を負う。

数人の単純保証では等しく平等な割合での負担となる。誤り。

選択肢3. 保証人が主たる債務者の委託を受けて保証をした場合において、主たる債務者が弁済をしたことを保証人に通知することを怠ったため、保証人が善意で弁済をしたときは、その保証人は、自己の弁済を有効であったものとみなすことができる。

保証人にも当義務はあるが、当然債務者にもあり。正しい。

選択肢4. 保証人は、主たる債務者の委託を受けないで保証をした場合において、債務が弁済期にあるときは、主たる債務者に対して、あらかじめ、求償権を行使することができる。

委任関係がある場合に事前求償が可能となる。誤り。

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03

民法の保証に関する問題です。情報量の多い選択肢もあり、難易度はやや高めです。

選択肢1. 主たる債務者の意思に反して保証をした者は、求償権を有しない。

主たる債務者の意思に反して保証をした者は、求償権を有しないということはないため不適切な選択肢です。

 

※主たる債務者の意思に反して保証をした者でも、求償権を有する場合があります。

選択肢2. 数人の保証人がある場合には、それらの保証人が各別の行為により単純保証したときは、全員が当該債務全部の弁済義務を負う。

数人の保証人がある場合には、それらの保証人が各別の行為により単純保証したときは、当該債務を保証人の人数で割った分だけ弁済義務を負うため不適切な選択肢です。

 

※「分別の利益」の論点であり、暗記しておく必要があります。

選択肢3. 保証人が主たる債務者の委託を受けて保証をした場合において、主たる債務者が弁済をしたことを保証人に通知することを怠ったため、保証人が善意で弁済をしたときは、その保証人は、自己の弁済を有効であったものとみなすことができる。

保証人が主たる債務者の委託を受けて保証をした場合において、主たる債務者が弁済をしたことを保証人に通知することを怠った場合、保証人は債務者が弁済をしたことを知る機会がありません。

 

その場合、保証人が知らずに弁済をすることが考えられますので、その保証人は自己の弁済を有効であったものとみなすことができるため正解の選択肢となります。

 

※本選択肢は情報量が多いため、上記のように分解して判断する必要があります。(情報量が多いと焦って読み飛ばしがちになり、注意力が散漫になってしまいます)

選択肢4. 保証人は、主たる債務者の委託を受けないで保証をした場合において、債務が弁済期にあるときは、主たる債務者に対して、あらかじめ、求償権を行使することができる。

債務が弁済期にある場合はあらかじめ求償権を行使することができますが、保証人は主たる債務者の委託を受けないで保証をしており、その場合は求償権を行使することはできないため不適切な選択肢です。

 

※本選択肢は情報量が多いため、「債務が弁済期にあるのか、ないのか」「保証人は主たる債務者の委託を受けているのか、いないのか」など個別に分解して判断する必要があります。(情報量が多いと焦って読み飛ばしがちになり、注意力が散漫になってしまいます)

まとめ

【補足】

 

保証は出題頻度が高く優先して学習すべき論点ですが、法律の初学者にとって難しい過去問題にいきなり取り組むと挫折しかねません。

 

まずは、本問で問われているような「分別の利益」など保証の論点を押さえてから、易しいレベルの過去問題で知識を確認する、正解して手応えを得る(小さな成功体験を積む)、難しめの過去問題にチャレンジ、という手順を踏むことをおススメします。

 

※頻出論点ですが、難しめの過去問題になると歯が立たないのであれば、他の頻出論点と併せて60点取れることを目指してください。

(頻出論点だからといって、難しめの過去問題を攻略する必要は必ずしもありません=標準的な難易度の問題に正答できれば十分です)

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