中小企業診断士の過去問
令和元年度(2019年)
経営法務 問23

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問題

中小企業診断士試験 第1次試験 経営法務 令和元年度(2019年) 問23 (訂正依頼・報告はこちら)

債権譲渡に関する記述として、最も適切なものはどれか。なお、別段の意思表示はないものとする。
  • AがBに対する指名債権を二重譲渡した場合において、Cへの債権譲渡に係る通知の確定日付が 2019年 7月 23日、Dへの債権譲渡に係る通知の確定日付が同月 24日であり、債務者であるBに当該通知が到達したのが、前者は同月 26日、後者は同月 25日であったときは、債務者Bは、Cに対して弁済をする必要がある。
  • 指名債権の譲渡の対抗要件としての債務者の承諾は、譲渡人又は譲受人のどちらに対してしても、有効である。
  • 指名債権の譲渡の通知以前に、弁済期の到来している反対債権を有していた場合でも、譲渡の通知後においては相殺することができない。
  • 指名債権の譲渡は、譲受人が譲渡人に代位して債務者に通知をすることによっても、債務者に対抗することができる。

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この過去問の解説 (2件)

01

正解は2です。

各選択肢については、以下のとおりです。

1→債権者Aが債務者Bに対する指名債権を、C・Dの2者に譲渡した場合に、BはC・Dのどちらに弁済する必要があるのかの問題です。判断基準となるのは確定日付ではなく、債務者Bに当該通知が到達した日であり、BはDに対して弁済する必要があります。

2→適切です。債務者が指名債権譲渡後の債権者を認識できればよいため、承諾は譲渡人・譲受人のどちらに対しても有効となります。

3→指名債権の譲渡の通知以前に、債務者が譲渡人に対する反対債権を有していた場合、譲渡の通知後であっても相殺することができます。

4→指名債権の譲渡では、譲渡人が債務者へ通知する必要があり、譲受人が代位して行うことはできません。

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02

【基礎知識】

債権譲渡とは、債権者が持つ債権を、第三者に移転する行為のことです(民法(以下同)第466条1項)。

中小企業では売掛金債権を担保として譲渡し、資金調達するようなケースがあります。

この債権譲渡が有効で、債務者、第三者への対抗要件を備えるためには以下の2つのどちらかを満たす必要があります。

・ 債務者の承諾

・ 債務者への確定日付のある証書での通知

この証書とは、内容証明郵便のことになります。

しかし、債権者が取引先でもある債務者に、売掛金が担保になったと通知されてしまうと、少し信頼感が薄れてしまうこともあります。よって、対抗要件を備えるために、登記をすることもあります。

また、第三者が多い場合も登記はより強固な対抗要件となります。

次に債権譲渡の相殺についてです。債務者が債権者に対して、反対債権を持つ場合、相殺することが可能です。ただし、これには債権譲渡の通知前に反対債権を持つことが必要となります。

選択肢1. AがBに対する指名債権を二重譲渡した場合において、Cへの債権譲渡に係る通知の確定日付が 2019年 7月 23日、Dへの債権譲渡に係る通知の確定日付が同月 24日であり、債務者であるBに当該通知が到達したのが、前者は同月 26日、後者は同月 25日であったときは、債務者Bは、Cに対して弁済をする必要がある。

通知が届いた日が対抗要件の発生日となりますので、先に届いた方に対抗要件が発生します。よって1日早いDに弁済をする必要があります。誤り。

選択肢2. 指名債権の譲渡の対抗要件としての債務者の承諾は、譲渡人又は譲受人のどちらに対してしても、有効である。

債務者の承諾は両方に有効ですが、第三者には有効ではありません。正しい。

選択肢3. 指名債権の譲渡の通知以前に、弁済期の到来している反対債権を有していた場合でも、譲渡の通知後においては相殺することができない。

通知以前に反対債権を保有しているので相殺が可能です。誤り。

選択肢4. 指名債権の譲渡は、譲受人が譲渡人に代位して債務者に通知をすることによっても、債務者に対抗することができる。

譲渡人から債務者に通知しなければ有効ではありません。関係のない人から通知されても判断ができなくなります。よって誤り。

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