中小企業診断士 過去問
令和2年度(2020年)
問4 (経済学・経済政策 問4)

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問題

中小企業診断士試験 令和2年度(2020年) 問4(経済学・経済政策 問4) (訂正依頼・報告はこちら)

下図は、均衡GDPの決定を説明する貯蓄・投資図である。消費Cは次のようなケインズ型の消費関数によって表されるとする。
C=C0cY
(Y:所得、C:消費、C0:基礎消費、c:限界消費性向(0< c <1)
また、Iは投資、Sは貯蓄であり、S=Y−Cである。
この図に関する記述として、最も適切なものはどれか。
問題文の画像
  • GDPがY0にあるとき、総需要=総供給、投資=貯蓄である。
  • GDPがY1にあるとき、総需要<総供給、投資>貯蓄である。
  • GDPがY1にあるとき、総需要>総供給、投資<貯蓄である。
  • GDPがY2にあるとき、総需要<総供給、投資>貯蓄である。
  • GDPがY2にあるとき、総需要>総供給、投資<貯蓄である。

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この過去問の解説 (3件)

01

正解は1です。

財の需要と供給は、以下の式で表されます。

総需要(Yd)=消費(C)+投資(I)
総供給(Ys)=所得(Y)

各選択肢のGDPの値をグラフと上記式に当てはめて、投資と貯蓄、総需要と総供給の大小を検討します。

各選択肢については、以下のとおりです。

1→適切です。GDPがY0のとき、グラフより、I=S(投資=貯蓄)となります。式S=Y-Cを用いて変形すると、C+I=Yとなり、Yd=Ys(総需要=総供給)となります。

2→GDPがY1のとき、グラフより、I>S(投資>貯蓄)となります。式S=Y-Cを用いて変形すると、C+I>Yとなり、Yd>Ys(総需要>総供給)となります。

3→選択肢2の通りです。

4→GDPがY2のとき、グラフより、I<S(投資<貯蓄)となります。式S=Y-Cを用いて変形すると、C+I<Yとなり、Yd<Ys(総需要<総供給)となります。

5→選択肢4の通りです。

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02

財市場における総需要と総供給は以下の式によって表されます(この式は覚えておきましょう)。

総需要(YD)=消費(C) + 投資(I)

総供給(YS) = 所得(Y)

これを元に選択肢の内容を確認します。

①GDPがYのとき

 S=Iが成立しますので、これを式(S=Y-C)に代入します。

 I = Y-C より Y = C+ I

 以上から総需要と総供給の右辺同士の一致が確認できますので

 総需要=総供給となります。

②GDPがY1のとき

グラフよりI>Sとなります。

 ①よりI > Y-C、したがって Y < I+C

以上より総供給<総需要となります。

③GDPがY2のとき 

グラフよりS>Iとなります。

①よりI < Y-C、したがって Y > I+C

以上より総供給>総需要となります。 

選択肢1. GDPがY0にあるとき、総需要=総供給、投資=貯蓄である。

正解です。

選択肢2. GDPがY1にあるとき、総需要<総供給、投資>貯蓄である。

冒頭の説明より誤りです。

選択肢3. GDPがY1にあるとき、総需要>総供給、投資<貯蓄である。

冒頭の説明より誤りです。

選択肢4. GDPがY2にあるとき、総需要<総供給、投資>貯蓄である。

冒頭の説明より誤りです。

選択肢5. GDPがY2にあるとき、総需要>総供給、投資<貯蓄である。

冒頭の説明より誤りです。

まとめ

財市場における総需要と総供給に関する問題でした。頻出論点ですので、内容をよく理解しておきましょう。

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03

45度線分析に関する問題です。45度線分析とは、財市場の総需要と総供給の関係を分析するものです。

 

財市場においては「総需要=総供給」の関係が成り立つため、総需要曲線と総供給曲線の交点で均衡し、この均衡点を均衡GDPといいます。

(本問では、Y0が均衡GDPとなります)

 

各選択肢の記述を見ると、総需要と総供給の大小関係、投資と貯蓄の大小関係が問われていることが分かります。

本問は、与えられているグラフと各選択肢の記述を照らし合わせることで正答できます。(計算の必要はありません)

選択肢1. GDPがY0にあるとき、総需要=総供給、投資=貯蓄である。

与えられているグラフを見ると、GDPがY0にあるとき、I(投資)とS(貯蓄)が交わっていることが分かります。

すなわち、投資=貯蓄です。

 

冒頭の解説より、45度線分析では総需要曲線と総供給曲線の交点で均衡するため、GDPがY0にあるとき総需要=総供給となります。

 

※I=Sから、与件文のS=Y−C式はI=Y−C式に置き換えることができます。

I=Y−C式を変形するとC+I=Yとなります。

Cは消費であるため、消費+投資=所得と言い換えることができ、総需要(消費+投資)=総供給(所得)という関係が成り立ちます。

選択肢2. GDPがY1にあるとき、総需要<総供給、投資>貯蓄である。

与えられているグラフを見ると、GDPがY1にあるとき、I(投資)>S(貯蓄)の関係にあります。

 

また、与件文のS=Y−C式、I>Sという関係からI>Y−C、変形するとI+C>Y、言い換えると総需要>総供給となり不適切な選択肢です。

選択肢3. GDPがY1にあるとき、総需要>総供給、投資<貯蓄である。

与えられているグラフを見ると、GDPがY1にあるとき、I(投資)>S(貯蓄)の関係にあるため不適切な選択肢です。

 

また、与件文のS=Y−C式、I>Sという関係からI>Y−C、変形するとI+C>Y、言い換えると総需要>総供給となります。

選択肢4. GDPがY2にあるとき、総需要<総供給、投資>貯蓄である。

与えられているグラフを見ると、GDPがY2にあるとき、I(投資)S(貯蓄)の関係にあるため不適切な選択肢です。

 

また、与件文のS=Y−C式、I<Sという関係からI<Y−C、変形するとI+C<Y、言い換えると総需要<総供給となります。

選択肢5. GDPがY2にあるとき、総需要>総供給、投資<貯蓄である。

与えられているグラフを見ると、GDPがY2にあるとき、I(投資)<S(貯蓄)の関係にあります。

 

また、与件文のS=Y−C式、I<Sという関係からI<Y−C、変形するとI+C<Y、言い換えると総需要<総供給となり不適切な選択肢です。

まとめ

【補足】

 

本問の選択肢の構成を見ると、

・GDPがY0にあるときの記述が1つ

・GDPがY1にあるときの記述が2つで、それぞれ正反対の記述(大小関係が逆)

・GDPがY2にあるときの記述も2つで、それぞれ正反対の記述(大小関係が逆)

となります。

 

各選択肢の解答を見ると、総需要と総供給、投資と貯蓄の大小関係があべこべになっているため、例えばY1の正誤判断を行なった結果からY2の正誤判断のパターンも何となく推測でき、GDPがY0にあるときの記述を消去法として正解とすることも可能です。(ただし、それなりの時間を消費することになります)

 

冒頭の45度分析の知識があればGDPがY0にあるときの記述から正解と分かり、他の選択肢は正誤判断しないで時間を節約できることが最も望ましいです。

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