中小企業診断士 過去問
令和2年度(2020年)
問5 (経済学・経済政策 問5)

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問題

中小企業診断士試験 令和2年度(2020年) 問5(経済学・経済政策 問5) (訂正依頼・報告はこちら)

下図は、均衡GDPの決定を説明する貯蓄・投資図である。消費Cは次のようなケインズ型の消費関数によって表されるとする。
C=C0cY
(Y:所得、C:消費、C0:基礎消費、c:限界消費性向(0< c <1)
また、Iは投資、Sは貯蓄であり、S=Y−Cである。
人々の節約志向が高まって、貯蓄意欲が上昇したとする。このときの消費とGDPの変化に関する記述として、最も適切なものはどれか。
問題文の画像
  • 消費が減少し、GDPも減少する。
  • 消費が減少し、GDPが増加する。
  • 消費が増加し、GDPが減少する。
  • 消費が増加し、GDPも増加する。

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この過去問の解説 (3件)

01

正解は1です。

財の需要と供給は、以下の式で表されます。

総需要(Yd)=消費(C)+投資(I)
総供給(Ys)=所得(Y)

式S=Y-Cより、貯蓄意欲(S)が上昇すると、消費(C)は減少します。

財の需要の式より、消費(C)が減少すると、総需要(Yd)が減少して超過供給となることから、企業は供給量を減らす(生産量を減らす)ことでGDPも減少します。

各選択肢については、以下のとおりです。

1→上記の通り、適切です。

2→上記の通り、不適切です。

3→上記の通り、不適切です。

4→上記の通り、不適切です。

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02

総需要と総供給の式の応用問題です。

総需要(YD)=消費(C) + 投資(I)

総供給(YS) = 所得(Y)

所得Yが不変の状態で貯蓄Sが増えると、S=Y-Cより消費Cが減ることになります。

消費Cが減ると総需要(C+I)が減ることになります。

総需要が減るので総供給も減ることになり、所得(=GDP)も減ることになります。

選択肢1. 消費が減少し、GDPも減少する。

正解です。

選択肢2. 消費が減少し、GDPが増加する。

冒頭の説明より誤りです。

選択肢3. 消費が増加し、GDPが減少する。

冒頭の説明より誤りです。

選択肢4. 消費が増加し、GDPも増加する。

冒頭の説明より誤りです。

まとめ

総需要と総供給に関する問題でした。計算式から解答を導けるように復習しましょう。

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03

45度線分析に関する問題です。

 

前問に続き2問構成となっていますが、各選択肢の記述から明らかに違和感を感じる選択肢が2つあることがすぐに分かります。

前問は少し手間のかかる内容でしたが、本問はボーナス問題です。

 

本問では、人々の節約志向が高まって貯蓄意欲が上昇した場合の消費とGDPの変化が問われています。

グラフが与えられていますが、人々の節約志向が高まって貯蓄意欲が上昇した場合に自分だったらどのような行動を取るかイメージすることで十分に正答できます。

 

※グラフを使って解く場合、S=Y−Cの傾きが急になり、総需要曲線と総供給曲線が均衡する均衡GDPが左シフトします(縦軸に近付く)。

与件文からS=Y−CのYが所得(=GDP)、Cが消費であるため、GDPと消費のいずれも減少します。

選択肢1. 消費が減少し、GDPも減少する。

人々の節約志向が高まって貯蓄意欲が上昇した場合、消費が減少し、GDPも減少するため正解の選択肢となります。

選択肢2. 消費が減少し、GDPが増加する。

人々の節約志向が高まって貯蓄意欲が上昇した場合、消費が減少し、GDPも減少するため不適切な選択肢です。

 

※本選択肢は、明らかに違和感を感じる記述であることが分かります。

(消費が減少するならGDPも減少し、GDPが増加するなら消費も増加するはずです)

選択肢3. 消費が増加し、GDPが減少する。

人々の節約志向が高まって貯蓄意欲が上昇した場合、消費が減少し、GDPも減少するため不適切な選択肢です。

 

※本選択肢は、明らかに違和感を感じる記述であることが分かります。

(消費が増加するならGDPも増加し、GDPが減少するなら消費も減少するはずです)

選択肢4. 消費が増加し、GDPも増加する。

人々の節約志向が高まって貯蓄意欲が上昇した場合、消費減少し、GDPも減少するため不適切な選択肢です。

 

※本選択肢は、「人々の消費志向が高まって消費意欲が上昇した場合」(つまり、限界消費性向が高まった場合)であれば正解の選択肢となります。

まとめ

【補足】

 

限界消費(または貯蓄)性向について解説します。(なお、本問はこの知識がなくても余裕で正答できます)

 

限界消費性向は0~1の間で変化し、1に近付くほど消費性向が高まります。

限界消費性向の対義語が限界貯蓄性向で、限界貯蓄性向が1に近付くほど貯蓄性向が高まります。

 

限界消費性向が0.5で、限界貯蓄性向も0.5と共に等しいということはありません。

限界消費性向が0.6であれば限界貯蓄性向は0.4となり、必ずいずれか一方が高くなります。(逆の場合も同様です)

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