中小企業診断士の過去問 令和2年度（2020年） 経済学・経済政策 問8

正解は1です。

金融緩和政策は、マネーサプライを増加して、LM曲線を右シフトさせます。

政府支出の増加は、拡張的な財政政策であり、IS曲線を右シフトさせます。

IS曲線が右シフトするとき、利子率の増加により投資が減少し、その分GDPの増加が妨げられることを、クラウディング・アウトといいます。

各記述については、以下の通りです。

a→適切です。LM曲線が右シフトすると、IS曲線との交点は下に移動するため、利子率は低下しますが、IS曲線が垂直で投資が増加しないため、GDPは増加しません。

b→記述aの通りです。IS曲線が垂直なため、利子率が低下しても投資は増加せず、GDPも増加しません。

c→適切です。IS曲線が右シフトすると、LM曲線との交点は右上に移動するため、利子率は上昇します。しかし、IS曲線が垂直であるため投資は減少せず、クラウディング・アウトが発生しないため、GDPは妨げられることなく増加します。

d→記述cの通りです。IS曲線が垂直なため、利子率が上昇しても投資は減少せず、クラウディング・アウトも発生しないため、GDPは妨げられることなく増加します。

IS曲線とLM曲線に関する問題です。

IS曲線とは、縦軸に利子率、横軸にGDPをとったグラフにおいて、財市場が均衡する点の組み合わせを表す曲線です。

LM曲線とは、同じグラフにおいて、資本市場(貨幣市場)が均衡する点の組み合わせを表す曲線です。

金融緩和政策は、利子率の低下によってLM曲線を右にシフトさせます。しかしIS曲線が垂直(投資需要の利子率弾力性がゼロ)のため、投資は増加せず、GDPは増加しません。

一方で政府支出が増加すると、GDPの増加につながります。したがってIS曲線を右にシフトさせます。このとき利子率は上昇します(IS曲線とLM曲線の交点が右に移動するため)。

IS曲線が右にシフトするとき、利子率が上昇して投資の増加に影響を与えることをクラウディング・アウトと言います。

本問ではIS曲線が垂直となっているため、利子率が上昇しても投資、およびGDPの増加には影響を与えません。

上記の内容を踏まえて選択肢の正誤を確認します。