中小企業診断士 過去問
令和2年度(2020年)
問13 (経済学・経済政策 問13)

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問題

中小企業診断士試験 令和2年度(2020年) 問13(経済学・経済政策 問13) (訂正依頼・報告はこちら)

グローバル化の進展には、資本移動と為替レート制度が重要である。ここでは、マンデル=フレミング・モデルの完全資本移動かつ小国のケースを考える。
変動為替レート制下での財政政策と金融政策の効果に関する記述として、最も適切なものの組み合わせを下記の解答群から選べ。

a  財政拡大政策は、完全なクラウディング・アウトを引き起こし、所得は不変である。
b  金融緩和政策は、自国通貨高による純輸出の減少を引き起こす。
c  財政拡大政策は、自国通貨安による純輸出の増加を引き起こす。
d  金融緩和政策は、純輸出の増加を通じて、GDPを押し上げる。
  • aとb
  • aとd
  • bとc
  • cとd

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この過去問の解説 (3件)

01

正解は2です。

各記述については、以下のとおりです。

a→適切です。財政拡大政策はIS曲線を右シフトさせますが、同時に自国通貨高による純輸出の減少を引き起こし、総需要の減少によりIS曲線は左シフトして元の位置で均衡するため、完全なクラウディング・アウトを引き起こし、所得は不変となります。

b→金融緩和政策は、自国通貨安による純輸出の増加を引き起こします。

c→財政拡大政策は、自国通貨高による純輸出の減少を引き起こします。

d→適切です。金融緩和政策はLM曲線を右シフトさせ、同時に自国通貨安による純輸出の増加を引き起こし、総需要の増加によりIS曲線も右シフトするため、GDPを押し上げます。

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02

国際収支と為替変動に関する問題です。

選択肢の内容それぞれについて検討していきます。

a. 財政拡大政策はIS曲線を右にシフトさせ、所得(GDP)を増加させますが、それにより利子率が高くなります。利子率が高くなると輸出高が減るので、所得が減少します。結果として財政政策の効果はなく、所得は不変となります。

b. 金融緩和政策を行うと自国通貨安を発生させます。自国通貨安となると純輸出の増加を引き起こします。

c. 財政拡大政策はIS曲線を右にシフトさせますので、所得が増加し、利子率は高くなります。利子率が高くなると自国通貨高を招きます。自国通貨高になると純輸出が減少します。

d. 金融緩和政策は自国通貨安を招きますが、純輸出を増加させるのでGDPを押し上げます。

選択肢1. aとb

正解は「aとd」ですので誤りです。

選択肢2. aとd

正解です。

選択肢3. bとc

正解は「aとd」ですので誤りです。

選択肢4. cとd

正解は「aとd」ですので誤りです。

まとめ

国際収支と為替変動に関する問題でした。基本論点ですのでしっかり復習しましょう。

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03

完全資本移動かつ小国のケースにおける、マンデル=フレミング・モデルの問題です。a~dの解答群の記述から、aまたはc、bまたはdのいずれかが正解であることは分かると思います。

 

本問はグラフがなく文章のみで問われていますので、問題用紙の余白にマンデル=フレミング・モデルのグラフを描いて正誤判断しましょう。

以下、誤りの解答群のみ解説します。

 

c.財政拡大政策は、自国通貨安による純輸出の増加を引き起こす。

財政拡大政策は、自国通貨による純輸出の減少を引き起こします。

 

財政拡大政策は、以下のような展開になります。

①財政拡大政策により、IS曲線が右シフトする

②利子率が上昇し、自国通貨高(円高)となる

③輸出が減少(完全なクラウディング・アウト)を引き起こす

→所得(GDP)は不変である(解答群aが正解です)

 

マンデル=フレミング・モデルのグラフで示すと、以下のようになります。

自国通貨は日本円のことで、今回は円高になったら輸出はどうなるのかをイメージすれば正誤判断できます。

b.金融緩和政策は、自国通貨高による純輸出の減少を引き起こす。

→金融緩和政策は、自国通貨による純輸出の増加を引き起こします。

 

金融緩和政策は、以下のような展開になります。

①金融緩和政策により、LM曲線が右シフトする。

②利子率が下落し、自国通貨安(円安)となる

③純輸出が増加する(財政政策であるIS曲線が右シフトする)

④GDPを押し上げる(解答群dが正解です)

 

マンデル=フレミング・モデルのグラフで示すと、以下のようになります。

自国通貨は日本円のことで、今回は円安になったら輸出やGDPはどうなるのか、をイメージすれば正誤判断できます。

したがって、最も適切な組み合わせはaとdとなります。

選択肢1. aとb

冒頭の解説より、最も適切な組み合わせはaとdであるため不適切な選択肢です。

選択肢2. aとd

冒頭の解説より、最も適切な組み合わせはaとdであるため正解の選択肢となります。

選択肢3. bとc

冒頭の解説より、最も適切な組み合わせはadであるため不適切な選択肢です。

選択肢4. cとd

冒頭の解説より、最も適切な組み合わせはaとdであるため不適切な選択肢です。

まとめ

【補足】

 

マンデル=フレミング・モデルは頻出論点で、本問の「完全資本移動かつ小国のケース」は最もオーソドックスな設定です。

 

本問はグラフが与えられていない分だけ難易度は高めですが、非常に復習に適しています。

グラフが与えられていなければ自分で描けばよいので、グラフを描く練習も兼ねて確実に正答できる自信がつくまで繰り返し解いてください。

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