中小企業診断士 過去問
令和2年度(2020年)
問36 (財務・会計 問11)

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問題

中小企業診断士試験 令和2年度(2020年) 問36(財務・会計 問11) (訂正依頼・報告はこちら)

以下の資料に基づき計算された財務比率の値として、最も適切なものを下記の解答群から選べ。
問題文の画像
  • 固定長期適合率は155.6%である。
  • 自己資本比率は25%である。
  • 自己資本利益率(ROE)は30%である。
  • 当座比率は117.5%である。

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この過去問の解説 (3件)

01

財務比率に関する問題です。

1 不正解

固定長期適合率=固定資産÷(固定負債+自己資本)

140÷160=87.5%

2 不正解

自己資本比率=自己資本÷総資本

90÷200=45%

3 不正解

自己資本利益率=当期純利益÷自己資本

18÷90=20%

4 正解

当座比率=当座資産÷流動負債

当座資産は、流動資産から棚卸資産を引いたもの

47÷40=117.5%

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02

【基礎知識】

財務諸表分析です。特に二次試験にも直結しますので、BS、PL、CF計算書の理解と財務諸表分析は必須の知識になります。

財務諸表分析では、以下のような側面を確認するために、各指標を点検していきます。

収益性:事業に投下した資本でどれだけ収益、利益を出しているか

売上高総利益率、売上高営業利益率、総資本回転率、ROEなど

生産性:各資源(人、金など)でどれだけ効率的に収益を上げているか

労働生産性、売上高付加価値率など

安全性:短期的、長期的に安定性があるか

流動比率、当座比率、自己資本比率、固定比率、固定長期適合率など

成長性:成長しているか

売上高伸び率など

今回はこの中の安全性の指標と収益性の指標について問われています。

※以下、比率は最終%表示になりますので、個々の式に100を×必要がありますのでご注意ください。

また、財務諸表のどの数値がどの項目になるのかについても留意してご確認ください。

安全性は借金や資産を、どれぐらい自分のお金や長期的に借り入れているお金で補えているかという視点になります。

流動比率は

流動資産/流動負債で、表されます。

1年以内に返す必要のある負債(流動負債)に対し、1年以内に現金化できそうな資産(流動資産)がどれぐらいの比率で保有しているかを見るものです。

当然現金化できる資産の方が多いことがいいため、おおよそ2倍ぐらい持っておけば安全ということになります。

この2倍は一般的なもので、この基準は業種などでも異なります。目安として見る必要があります。

固定長期適合率の前に、固定比率について説明します。

固定比率は

固定資産 ÷ 自己資本 で表されます。

固定資産を自社のお金(自己資本)でどれだけ賄っているかを見ます。

100%以下、つまり固定資産額が自己資本額以下が目安となります。

日本では、この数値の平均は100%を上回っています(つまり、悪い)。メインバンク制により、長期的・安定的に資金を提供しているため、資本よりも長期借入金を活用しながら事業運営している企業が多いのが特徴です。

そのため、固定比率だけでは長期の安定性がわかりにくくなります。

そこでできたのが固定長期適合率です。

固定資産 ÷ (自己資本 + 固定負債)で表されます。

長期借入金など、固定負債が自己資本的に使えてるでしょという前提で考慮されています。

当然100%が一つの基準になります。ただ、あまりにも固定負債が多いのも問題がありますので、他の指標と合わせて総合的に安全性を確認する必要があります。

次に当座比率です。

当座資産 ÷ 流動負債 で表されます。

当座資産とは流動資産の中でもすぐに現金化できるものが該当します。一般的には現金や売掛金、受取手形になります。棚卸資産は含みません。

この指標は現金化できる資産が大きい方がいいわけですから、100%が目安になります。

これに似た指標で流動比率(流動資産÷流動負債)がありますが、200%が目安となります。棚卸資産等も含めて考える指標になります。

ROEはReturn On Equity の略で自己資本利益率のことです。

当期純利益 ÷ 自己資本 で表されます。

株主が投資した資本でどれだけ効率的にお金を稼いでいるかを示す指標で、投資の参考指標となり、一般的には10%が目安となります。

選択肢1. 固定長期適合率は155.6%である。

固定長期適合率 = 固定資産 ÷ (自己資本 + 固定負債)

 =(80,000+60,000)÷(70,000+50,000+10,000+30,000)

 = 0.875 ⇒ 87.5% で誤り。

自己資本は資本の部全体を指すことに注意

選択肢2. 自己資本比率は25%である。

自己資本比率 = 自己資本 ÷ 総資産

 = (50,000+10,000+30,000)÷200,000

 = 0.45 ⇒45% で誤り。

選択肢3. 自己資本利益率(ROE)は30%である。

ROE = 当期純利益 ÷ 自己資本

 = 18,000 ÷ (50,000+10,000+30,000)

 = 0.2 =20% で誤り。

選択肢4. 当座比率は117.5%である。

当座比率 = 当座資産 ÷ 流動負債

 = (25,000+22,000)÷40,000

 =1.175 ⇒ 117.5% で正しい。

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03

財務分析に関する問題です。

 

財務分析は二次試験事例Ⅳで必ず出題されるため、一次試験の時点から正答できる状態で試験に臨んで下さい。

選択肢1. 固定長期適合率は155.6%である。

固定長期適合率は、「固定資産÷(固定負債+自己資本)」×100%により求められます。

 

以上から、

(建物80,000+備品60,000)÷(長期借入金70,000+資本金50,000+資本剰余金10,000+利益剰余金30,000)

=140,000÷160,000

87.5%のため、不適切な選択肢です。 

 

※計算式を覚えていれば、14÷16で100%を超えないと分かるため、精緻な数値を求めなくても正誤判断は可能です。

選択肢2. 自己資本比率は25%である。

自己資本比率は、「自己資本÷総資産」×100%により求められます。

 

以上から、

(資本金50,000+資本剰余金10,000+利益剰余金30,000)÷200,000

=90,000÷200,000

45%のため、不適切な選択肢です。

 

選択肢3. 自己資本利益率(ROE)は30%である。

自己資本利益率(ROE)は、「当期純利益÷自己資本」×100%により求められます。

 

以上から、

18,000÷(資本金50,000+資本剰余金10,000+利益剰余金30,000)

=18,000÷90,000

20%のため、不適切な選択肢です。

選択肢4. 当座比率は117.5%である。

当座比率は、「当座資産÷流動負債」×100により求められます。

 

以上から、

(現金預金25,000+売掛金22,000)÷買掛金40,000

=47,000÷40,000

=117.5%のため、正解の選択肢となります。

 

※本選択肢が最後に残っている場合、他の選択肢は誤りで確定しているため精緻に計算する必要はありません。

(47÷40なので、分子が少し大きい→100%を少し上回ると分かるので十分です)

まとめ

【補足】

 

140,000÷160,000など取り消し線を入れていますが、誤植ではありません。

 

上記の場合は下4桁を削っても支障が無いため、できるだけ単位を小さくすれば暗算でも計算でき、短い時間で処理できます。

(普段からこのような処理を当たり前にしておくと、本試験でもスムーズに対応できます)

 

なお、本問は大部分の受験生が正答する(しなければならない)問題のため、もし不正解だった場合は猛省してください。

(冒頭の解説で述べたように、財務分析は二次試験で必ず出題されます。この問題を落として科目合格しても、財務分析の予習に時間を使わなければならないため他の論点の対策が手薄になり、二次試験で苦労することになります。)

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