中小企業診断士の過去問 令和2年度（2020年） 企業経営理論 問17

J.R.ガルブレイスとD.A.ネサンソは、著書『経営戦略と組織デザイン』で、組織の発展経路はコンティンジェンシーに経営者の意思決定、戦略によってさまざまな道筋を辿るとしています。

本問は、その発展経路の図式についての経営戦略の組み合わせを問う問題です。

わからない部分があってもじっくりと設問と向き合うことで、少しでも正解に近づけるようにしましょう。

A 　垂直統合

単一職能別組織から集権的職能部門

企業成長の一歩としての単一職能の組織から複数の職能を備えた組織への発展です。例えば、従来は製造から販売まで一つの組織で行っていたものを、製造部門と販売部門と分割し、経営者が集権的に両部門を管理する形態です。

B 　関連多角化

集権的職能部門から複数事業部制組織

事業の発展、拡大にともなって、単一の集権職能組織から複数の関連する事業部制組織へと発展します。この段階の発展は有機的な発展であり、事業の関連性があります。

C　規模の経済の活用

世界的複数事業部制組織→世界的職能別組織

同一の事業を世界的に行っている企業が地理的に分かれている場合、いわゆるスケールメリットを発揮できない状態が起こりえます。世界的職能別組織にすることによって、共通の原料をグローバル契約で購入するといった取り組みができます。

D 非関連事業の買収

世界的複数事業部制組織→世界的持株会社

M＆Aなどの外部成長によって企業規模が拡大した場合、複数の事業規模の中には、関連性がないものが生じます。非関連事業の多角化として持株会社に移行することで意思決定の迅速化、収益性評価の透明性化を図ることができます。

よって、正解は２です。

A：垂直統合、B：関連多角化、C：規模の経済の活用、D：非関連事業の買収の組み合わせが正解となります。

組織は拡大する過程で、図の真ん中上から下への変遷を辿ると考えられます。その際に、左右に伸びる矢印のプロセスを選択する可能性があります。分かりやすいところから正誤判断をしていき、選択肢を絞り込みましょう。

選択肢をよく見ると、単に用語を並べ替えているだけではなく、関連多角化と非関連多角化が1つだけ入っている選択肢と両方入っている選択肢に分かれています（非関連事業の買収も含めると、1～3つに分かれます）。多角化の関連／非関連の違いはイメージし易いため、この辺りが正誤判断を付けやすいポイントではないかと考えます。