中小企業診断士の過去問
令和3年度(2021年)
財務・会計 問10(1)

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問題

中小企業診断士試験 第1次試験 財務・会計 令和3年度(2021年) 問10(1) (訂正依頼・報告はこちら)

以下の貸借対照表と損益計算書について、下記の設問に答えよ。

固定長期適合率として、最も適切なものはどれか。
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  • 60%
  • 110%
  • 150%
  • 167%

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この過去問の解説 (3件)

01

固定長期適合率の計算式は以下の通りです。

固定資産÷(固定負債+純資産)×100(%)

よって、

=110,000÷(34,000+66,000)×100

=110%

正解は、2

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02

【基礎知識】

財務諸表分析です。特に二次試験にも直結しますので、BS、PL、CF計算書の理解と財務諸表分析は必須の知識になります。

財務諸表分析では、以下のような側面を確認するために、各指標を点検していきます。

収益性:事業に投下した資本でどれだけ収益、利益を出しているか

    売上高総利益率、売上高営業利益率、総資本回転率、ROEなど

生産性:各資源(人、金など)でどれだけ効率的に収益を上げているか

    労働生産性、売上高付加価値率など

安全性:短期的、長期的に安定性があるか

    流動比率、当座比率、自己資本比率、固定比率、固定長期適合率など

成長性:成長しているか

    売上高伸び率など

今回はこの中の安全性について問われています。

安全性は自分のお金や自分の資産で借金等をどれぐらい補えているかという視点になります。流動比率は流動資産/流動負債で、200%以上で安全と言われています。1年以内に返す必要のある負債(流動負債)に対し、1年以内に現金化できそうな資産(流動資産)がどれぐらいかるかを見るものです。当然現金化できる資産の方が多いことがいいに決まっていますし、その目安が2倍ということになります。この2倍は一般的なもので、この基準は業種などでも異なります。目安として見る必要があります。

固定長期適合率の前に、固定比率について説明します。

固定資産 ÷ 自己資本 の式で表され、固定資産を自社のお金(自己資本)でどれだけ賄っているかを見ます。当然自己資本が大きい方がいいので、100%以下が目安となります。日本では、この数値の平均は100%を上回っています(つまり、悪い)。日本特有な話でもありますが、企業にはメインバンクがあり、そこが長期的・安定的に資金を提供しており、長期の借入金も活用しながら事業運営している企業が多いのが現状です。

そのため、固定比率だけでは長期の安定性がわかりにくいため、できたのが固定長期適合率です。

固定資産 ÷ (自己資本 + 固定負債)の式で表され、長期借入金など、固定負債が考慮されています。

当然100%が一つの基準になります。ただ、あまりにも固定負債が多いのも問題がありますので、他の指標と合わせて総合的に安全性を確認する必要があります。

【選択肢評価】

固定長期適合率 = 固定資産 ÷ (自己資本 + 固定負債)

        = 110,000 ÷ (66,000 + 34,000)

        = 1.1 → 110%

選択肢1. 60%

上記説明より、不適切です。

選択肢2. 110%

正解です。

選択肢3. 150%

上記説明より、不適切です。

選択肢4. 167%

上記説明より、不適切です。

参考になった数6

03

固定長期適合率を問う問題です。

 

固定長期適合率は、固定資産/(純資産+固定負債)×100%で求めることができます。

選択肢1. 60%

不適切な選択肢です。

選択肢2. 110%

正解の選択肢となります。

選択肢3. 150%

不適切な選択肢です。

選択肢4. 167%

不適切な選択肢です。

 

なお、固定比率であれば(固定資産/純資産)×100%の計算式になるため、正解となります。

まとめ

【補足】

 

2次試験の事例Ⅳの第1問目では財務指標分析が出題されますが、固定比率もしくは固定長期適合率も用いられることが多い指標のひとつになります。

 

財務指標分析は確実に得点しなければならない項目であるため、1次試験の段階で計算式は覚えておきましょう(本問では、計算式を覚えていないと正答できません)。

 

なお、お分かりいただけると思いますが、固定長期適合率を求めるにあたって損益計算書は必要ありません。

別の問題で損益計算書を使用しているので、損益計算書がダミーデータとまでは言いませんが、固定長期適合率の計算式を理解していないと、損益計算書の数値も気になって時間を浪費させられてしまう可能性があります。

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